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しおりを挟むそれから数ヶ月が過ぎた。叔父は日によって、『人形』を避けて通った。
薫にも何も話さなくなった。時々、志津緒が別人に見えると薫は心無しかおもった。
その違和感を志津緒本人に打ち明けようかどうしようかと一人悩んだ。
が、ある日梅雨明けの暑い時間に『人形』が一人で部屋で遊んでいると志津緒が入ってきた。
「お前はいったい何がしたいんだアゲハ。今更出てきて。このままでは、不安要素が現れてしまうんだぞ。」
そう言い捨てると、出かけようとしている薫に声をかけた。
「いつまでアレをあの部屋に置いておくつもりだ。まったく、人の気も知らないで勝手な事をあいつがするからこんな事に・・・・・」
「?・・・あいつって誰ですか、叔父上?」
「あぁ?お前は何も知らなくていいんだよ。そのうち教える。それよりお前はどこに行くんだ?」
「こないだの古美術商のお店です。ようやく退院できたそうなので、見舞いに。」
ニコニコと笑う薫に「はぁ。」と頭を抱えるようにため息をつくと志津緒は、書斎の方へと足を向けた。
「いってきます。」
「早めに帰って来い。」
「わかりました。」
「ごめんくださぁい。」
古美術商に薫の声が響く。奥からこの間出会った若者達が出てきた。
「何?オヤジに用?」
「えぇ、今日退院だって聞いたからいらっしゃるかなっと。」
「あぁいるよ。右腕失ってしょげてるけど。ちゃんと生きてるよ。」
ニカッと笑うと気を使ってくれたのか、それぞれ少し離れた場所に移動してくれた。
「やぁ、元気かね?アレは元気か?」
「アレ?あぁ、『人形』の事ですか?元気ですよ。妹の部屋で元気に過ごしてます。」
「そうか。で、アレの詳しい話を聞きに来たんだろう?」
左手で文字を書いていたオヤジは、薫の方に体ごと向き直すと座るように言った。
「えぇ、あの子の名前と秘密を。」
「話が長くなるがいいか?」
「かまいません。」
「そうか。それじゃぁ話そう・・・・どこから話そうか。」
奥のキッチンから冷たいお茶とお菓子を持ってきて話し始めた。
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