狂った家族の愛の形

RodMond

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「・・・数年前、その地方で知られている奇人変人が生まれると言われた家の男が、ある美しい女性と結婚をした。

その数年後には、父親そっくりの綺麗な男の子が生まれ、次に長女が生まれ、次男が生まれた、その3年後には男の子が生まれたが、心臓に重い病を持って生まれた為にずっと病院で過ごしその後、里子に出されたが事故で死亡してしまった。

長男が成人するまでは何の変哲もない幸せな家庭だったが、母親そっくりの女の子が生まれると事態は急変した。

父親は弟の研究に怯え、長男は飼っていた犬や猫を残忍な方法で殺すようになった。

次男は、逃げる様に全寮制の学校に入学して出て行った。

長女は何故か、父親の弟の研究にのめり込んだ。

末娘が、ある程度育ち物事の善し悪しが分かる時期になると、父親の弟は無理矢理次女を監禁し、ある化学技術を使い、少女を『人形』としてあらゆる教育を施し、また心臓を機械と交換して、その彼女の心臓は鉛でコーティングされ、10分の1の大きさまで縮め、どこかの子供の体内に移植されてしまった。

数日後、明らかにおかしい夫の声で目覚めた夫人が、声にならない叫び声をあげた。

そして、その場に硬直して召使いの呼び鈴を鳴らしたが、誰もやってくることはなく、

変わりに異変に気がついた少女が大きな熊のぬいぐるみを引きずって現れた。

「どうしたの?ママ?」

その子は、母親の狂気に満ちた声に驚きながらも、眠そうな目を擦りつつ母親の居るベッドの方向を見た。

そこで見たモノは、兄が父親の上に馬乗りになり楽しそうに父親をめった刺しにしている様子だった。

母親の目覚めに気付いた兄は、ニタリと笑い母親の顔を舐めると彼女の足を見て、

傍に置いていた大きなのこぎりを取り出し勢いよく足を切り始めた。

「!!!!」

声にならない言葉が部屋を覆い尽くす。

笑っている兄、苦しんでいる母、息も絶え絶えで悲しそうな父。

その場に姉ともう一人の兄がその場に居なくてよかったと、母は足を押さえて泣きながら言った。

父と母の血を浴びて、狂気に犯された兄の姿を見ながら、少女は今までのことが嘘のように壊れて行くのを感じた。

憎いと思った。

変人ではあったが、姉にも兄にも亡くなったという兄にも優しかったと聞かされた優しくて面白かった兄が、

どうしてこうも気が狂ったのか知りたかった、知りたかったが、

死にかけた父を見るとどうしてもその衝動を押さえられなかった。

父の傍に行き、兄がさっきまで持っていたナイフをつかむと兄の目にナイフを投げた。



数週間後、訪ねても出てこない夫婦や使用人をおかしいと思った近所の人は、

学校の寮に入っていた長女と次男を呼び寄せて押しても引いても動かない、

硬く閉ざされた玄関の扉を村の全員で壊した。


「っっっっ!?」


血なまぐさい匂いが屋敷に漂っていた。そこら中に使用人達の無惨な姿が転がっていた。

皆、首をかっ切られて絶命していた。

必死に吐きそうなのをこらえ、夫婦の寝室へ急いだ。

皆足取りが重かった。もしかしたら四人とも死んでいるかもしれないと思ったからだ。

「う、う、うぅう、うぅう。」

その時だった、夫婦の寝室の前に兄の姿があった。

彼は両手両端を壁にくくりつけられ、はりつけにされ舌を引き抜かれ、目は潰されていて血だらけだった。

もしかしたら・・・と村人は思った。

しかし、何故それで生きているんだとも思った。

次男は兄の息絶え絶えの様子を見て泡を吹いてその場に倒れた。

長女は心なしか少し笑っているようだった。

村人達は勢いよく扉を開け明かりを灯し部屋に入ったが、あまりの凄惨な光景に目をみはった。


 そこには、はりつけにされ腸が飛び出し、兄と同じように目を抉られた父親の姿があった。

ベットの上には両足を包帯で巻かれ、手には包丁を持ち小さな目がうつろで人形のような血まみれの少女を

抱えた母親の姿があった。


「兄さん・・・。なんで!!!」

街一番の化学者が口を押さえて磔にされた男のそばに行って大声で泣いた。

「いったい、何があったんだ・・・・」

村人は口々に言った。そして、一人の男が何かボソボソ言っている母親のもとに行くと、

「この『人形』を・・密閉したガラスケースに入れて・・保管して、でも・・・血を浴びせないで。あの子・・・を殺して・・・・そして・・アゲハの・・・。」

「アゲハの?」

耳元で囁かれた男は、大事そうに『人形』を受け取るとバスルームに行き綺麗にソレについた血を洗い流した。

そして、「アゲハ」となる人物が誰なのか、村人全員で屋敷の中をくまなく探した。

手がかりがないものかと・・・・

残された次男はまだ気絶していたし、長女は寝室の前に磔になっている長男に何か言って笑っていたので何も聞けなかったが、


「・・・これじゃないか?」

口を押さえて磔にされた父親にすがって泣いていた男が、ベッド脇に置かれた写真を指して言った。

差し出された写真立てには、まだ血の痕があったが、“8人”の家族の写真があった。

そこにいたのは、父親そっくりの長男と、髪が長く青白い顔の少女と、

背の高い男の子、引きつった笑顔の若い女と、人形と同じ顔をした女の子と、

その子そっくりの赤ん坊が写っていた。

という訳だ。」



話し終わるといきおいよくお茶を店主は飲み干した。
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