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しおりを挟む「じゃぁ、その時人形を洗った人って・・・」
「私だよ。そして・・・いや、これは言わないでおこう。君の身体に影があるだろう?それはアレの、いや、「アゲハ」の物だ。これはのちのち君の志津緒が、話していたのを盗み聞きしたんだがね。あの時、アレを買いにきたのは、志津弥だったのか。」
段々声が小さくなる店主の話を聞いて思い出した様に手を叩いて『あ。』と薫は言った。
「アゲハの母親はその後どうなったんですか?」
「彼女は、数ヶ月狂ったように踊りまわり、発狂し、笑って去年の夏に死んだよ。」
「そうですか・・・・名前も分かったし帰ろうかな。」
足がないのにのどうやって踊ったんだろう?とか薫は考えていたが、外が暗くなり始めたのでドアを開け、
店主に会釈した。すると店主は、
「君、志津弥に気をつけろよ。」
「志津弥って誰ですか?」
店主の言葉に応えた。
「君は、志津緒の双子の弟を知らないのか!」
「叔父上って双子だったんですか!?」
薫はびっくりした。店主もびっくりした。
「・・・」
二人に沈黙が訪れた。
カランカランカララン
そんな中、志津緒が店に現れた。
「なんだ、まだ居たのか。」
「あ、叔父上。」
志津緒は、沢山の紙と袋を抱えながら、めんどくさそうに言った。
「薫、お前最近あの『人形』以外に何か見たか?」
「へ?」
「いや、見てないならいいんだが。」
志津緒は少しイライラしているようで、薫にそんなことを言うと店に置いてある品物を見て回った。
そして、一つの大きな鏡をとると、
「おい、オヤジこの鏡はどれくらいするんだ。20か?30か?」
「そんなにしませんよ。15です。」
「そうか。15か。」
ううむと志津緒はうなる。その鏡は、端に小さな天使や花の装飾が付いた姿見のようだった。
「15か。いいだろう、ほれ、15万カロン。」
「あんた、こんなのどうすんだい。まさかアレにプレゼントかい・・・」
店主は半ば呆れた様な声で笑った。
「薫、私と同じ顔をした男には気をつけろ。あいつは自分の欲望の為なら、兄の家族でさえ実験道具にするような男だ。」
「え?ええ。」
志津緒は、
「あの言葉・・どういう意味だろう?まさか・・・・ま、まさかな。ははは、何考えてんだろ家族があの日に亡くなってから僕を育ててくれた叔父上に。」
少し、僕は背中に変な汗を感じながら店を出ると馬にまたがり、家路についた。
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