勇者の拳士様

星村直樹

文字の大きさ
11 / 59
冒険者学校編

おれは、合成魔法が使える特異体質だった

しおりを挟む
 学校生活が始まった。生徒は、みんな食堂でお昼を食べる。銀貨1枚。値段的に食堂で食べれないことはないが、バザールの亜人屋台でなら弁当も銅貨5枚。だからここで、弁当を作ってもらう日々。ホブゴブリンの姉妹店のサンドイッチ屋が、重宝する。オレに、昼食を飽きさせないために、サンドイッチの具材をいろいろな屋台から調達する。なので、ずっとおいしく使っている。飲料水が銅貨2枚というのが気に入らないが、水魔法を覚えるまでの辛抱だ。

 しばらくして、水魔法が使えるようになったと喜んでいたら、また、校長室に呼ばれた。

「ユウ君、君は結局4大属性全部に適性があることが分かった。我々もいろいろ話し合ったのだが、本人に聞くのが早いと思って、ここに呼んだのだよ」

 校長室にいるのは、校長先生。魔法学部長、魔法省のアンナさん、担任のゴース先生までいる。

「全部の魔法が使えるのって、どんな感じですか」

 アンナさんが抽象的なことを聞いてきた。これに対して、風竜のシップウに聞いたところ、無属性の話は、しても、神域の話だから、人には無駄だと言っていた。ただ、魔力には大元があって、そこから属性が分かれるんじゃないかぐらいはいいだろうと言っていた。それなら、適正以外の属性をみんなも弱いながら使える話に繋がる。

「ゴース先生に聞いたのですが、実際は、他の人も、適正以外の魔法が使えるんですよね。自分は、たまたまその魔法の力が拮抗していただけだということじゃないかと思います。ですよね。ゴース先生」

「親父殿。この現象を認めて次に進むべきだ」

「それは、合成魔法の事ですかな。ゴース先生」
 魔法学部長のジョナサン先生が、身を乗り出して話に食いつく。

「今までは、学問だけでしたが、良いサンプルだと思いませんか、ジョナサン部長」

「ジョナサン先生、アンナ監察官も、ゴースの意見に異論は、ありませんな」

 全会一致で、おれは、補習を受けることになった。合成魔法研究は、ジョナサン先生の専門。補習だが、こっちは、げっそりするぐらい疲れた。それもそのはず。おれは、やっと初期魔法を覚えたばかりだったからだ。 

 この補習授業に、生徒や先生だけでなく、元生徒さんがたくさん見学に来るようになった。その割には、外国人は一人もいない。そう言う暗黙のルールで見に来ているようだった。

 ずっと、合成魔法が進まない中、初めての進展があった。

 今日は、火と風の合成魔法。難易度の高いファイヤーウォールとハリケーンの合成魔法の発動という超難題を言いつけられた。風魔法のメアリー寮長と担任のゴース先生の補助で、ジョナサン先生の無茶な注文内容が、始まった。

「とりあえず、二人の補助で、両方の魔法を出してみましょう。では、メアリー先生。ゴース先生お願いします」

 オレは、二人の先生に片手ずつ取られて、無理やり、アイヤーウォールと、ハリケーンを出さされた。

「すごいですわね。補助があるとはいえ、両方出ましたね」
「ユウ、頑張るんだ」

「無理です」

「両方を合わせたら、ファイヤーパイラーになるのですが、両先生どうでしょう」

「火と風は相性がようございます。ですが、さっきできなかったということは、無理だということでしょう」
「我々の補助が、合成を阻害しているのではないですか。それができるのでしたら、私とメアリー先生だけで、合成魔法が成功するはずです」
「私もそう思います」

 その先生方の話を聞いていたレミアが、頬杖ついて、「ユウの言葉でやればいいのよ。人を頼りにするからできないの」と、辛らつなことを言う。

「分かったよ。やってやる」

 それで思いついたんだが、これは、日本語で言ったほうがいいんじゃないかと思った。実は、あのダボ神は、この世界の言葉を理解させてくれなかった。片言は、ノイ村の村長に、今、流ちょうに話せるのは、シップウのおかげで話せるようになった。でも、気持ちを込めようと思ったら使い慣れていた日本語だ。

「レミア見てろよ『火柱』!」

 ゴーーーっと物凄い火柱が上がって、コロシアムのような魔法練習場の空を焼いた。

「おお、成功だ」

 初の快挙に、練習場に来ていたギャラリーが、総立ちになった。

 おれは、みんなの前で、目を回した。
 ここのところ目立ってばかりいたから、魔力を抑えるより簡単なので、内陽功を練らないようにしていたので、魔力が枯渇してしまった。

「おい、ユウ」
「キャー、ユウ」 おいおい、レミア、自分で言っといて。
「大丈夫か!」

 仲良くなった、ダニエル、ブライアン、レミアが、観覧席から、競技場に飛び込んできた。

「よくやったぞ、ユウ」
「成功ね」
「偉いぞ、思った通りの、合成魔法だ」

 三先生は大喜び。やはり、気功術を使わないと、おれは、ただの人なのだ。あー腹減った。この技は、ファイヤーパイラーではなく「火柱」と命名された。

 その日の夕食は、三軒の屋台を梯子した。いくら食っても銅貨5枚×三軒。本当にバザールの屋台は安い。お腹がいっぱいになったところで、剛気功から初めて、内陽功、鋭気功と、気を膨らませた。体調が戻ったところで、見張り台倉庫の裏でシャワーを浴びて、おれは、深い眠りについた。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

無職が最強の万能職でした!?〜俺のスローライフはどこ行った!?〜

あーもんど
ファンタジー
不幸体質持ちの若林音羽はある日の帰り道、自他共に認める陽キャのクラスメイト 朝日翔陽の異世界召喚に巻き込まれた。目を開ければ、そこは歩道ではなく建物の中。それもかなり豪華な内装をした空間だ。音羽がこの場で真っ先に抱いた感想は『テンプレだな』と言う、この一言だけ。異世界ファンタジーものの小説を読み漁っていた音羽にとって、異世界召喚先が煌びやかな王宮内────もっと言うと謁見の間であることはテンプレの一つだった。 その後、王様の命令ですぐにステータスを確認した音羽と朝日。勇者はもちろん朝日だ。何故なら、あの魔法陣は朝日を呼ぶために作られたものだから。言うならば音羽はおまけだ。音羽は朝日が勇者であることに大して驚きもせず、自分のステータスを確認する。『もしかしたら、想像を絶するようなステータスが現れるかもしれない』と淡い期待を胸に抱きながら····。そんな音羽の淡い期待を打ち砕くのにそう時間は掛からなかった。表示されたステータスに示された職業はまさかの“無職”。これでは勇者のサポーター要員にもなれない。装備品やら王家の家紋が入ったブローチやらを渡されて見事王城から厄介払いされた音羽は絶望に打ちひしがれていた。だって、無職ではチートスキルでもない限り異世界生活を謳歌することは出来ないのだから····。無職は『何も出来ない』『何にもなれない』雑魚職業だと決めつけていた音羽だったが、あることをきっかけに無職が最強の万能職だと判明して!? チートスキルと最強の万能職を用いて、音羽は今日も今日とて異世界無双! ※カクヨム、小説家になろう様でも掲載中

後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます

なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。 だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。 ……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。 これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

処理中です...