勇者の拳士様

星村直樹

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冒険者学校編

自由過ぎる嵐のようなお嬢様たち

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 翌日、午後に宮廷に行って、メアリー先生に、桃ジュース入りポーション瓶をプレゼントした。メアリー先生の彼にもあげないと、機嫌悪くなるだろうからそれで2瓶取られた。彼とは、当然王様のことだ。王様は、おれから見ても分かるぐらいメアリー先生にメロメロだ。

「これが、ホームラ王国の桃ジュースね。ミハエルも呼んでいいかしら」

「そうですね、はい、もう一本。全部で3本貰ったんですけど、ジャック魔法省大臣にも、お世話になったので・・」

「そうしてちょうだい。セバス、ミハエルを呼んできて」

「かしこまりました」

 ミハエル王は、この間来たときの倍のスピードで、この庭に現れた。その上、若返ったメアリー先生と、いちゃいちゃいている。

「旨いな」
「癖になる美味しさね」

「ユウ、もうないのか。ポーション瓶だと一口ではないか」
「もう一瓶あるそうですが、ジャックにあげるそうです。我慢して」
「メアリーがそう言うなら、仕方ない」

 なんか、ラブオーラが、すごすぎて近寄れない。ホームラ王国の事情を話して、そそくさと、退散することにした。その時王は、難しい話に対してバランスの良いことを言っていた。

「だいたい、人の世界でも国盗りというのは、よくある話だ。魔王ゼゲスは、人種が敵だからと言って、サラマンダーに人種と交流をさせないことはないのだな。魔王ゼゲスが、自分の国民の自由を奪っていない話に聞こえる。人族の方が、魔族に対して、よっぽど偏見を持っているように聞こえるぞ」
「敵は敵です。でも、私たちが勝った場合、今のままだと魔族を殲滅しそうね」
「そうは、ならないだろ、個々人の力の差は歴然だ」
「そうかしら、じゃあ、港町にいるムーマ大陸の難民が反乱したら、私たちは抑えきれないわね」
「そこまでは・・・、ふうむ。確かにもっと彼らのことを知らぬといけないのであろうな、メアリー」
「そうですよ、ミハエル」

 おれの前で、見つめ合うのはいいけど、後にしてくれー

「それでは、魔法省に行って、もう一度この話をします」

「そうしてくれ」
「今日、リリーは、どうしたのですか」

「通いの学生と、城下町に繰り出しています。女は、女同士のほうがいいと思いまして」

「わたくしが後見人なのですから、城にも顔を出すように言ってちょうだい」

「承知しました」


 魔法省に行くと、冒険者派遣省のお役人が来ていて、てんやわんやの忙しさ。ジャック大臣も忙しそうにしていたのだが、10分だけ時間を取ってくれた。

「すまんな、ごたごたしていて」

「もしかして、おれたちの性ですか?」

「そうだ。だが、それで良い。我が国は、異種族を国民にした。だから、嫌がらせで、他国のサポートをさせていた者に、暇を出すと思われる」

「すいません」

「いいのだ。我らは、これから、隣国3国を助ける。そのためには、人材がいる。帰って好都合なのだよ。諸外国からは、自然な流れに見えるからな。それで今日は何の話だ」
 ジャック大臣は、この間のおれの申し開きの話が、聖獣様の話だと知っているので、もう実務的な動きをしていた。

「その3国の内の、ホームラ王国なんですけど、なんで、他国と接触を持たないかわかりました。昨日、生活費を工面するために、村長から毛皮を貰いに故郷のノイ村に帰ったんです。そこに山の民の市が開かれていました。これ、お土産です。ホームた王国特産の桃ジュースです。飲んでみてください。さっき王宮にも持ってい行ったんですけど、王様とメアリー先生に美味しいって褒められました」

「どれ」
 ゴクン
「美味いな。これしかないのか、もっと飲みたいぞ」

「すいません、それで全部です。それをくれたのは、山の民を率いる頭領から貰ったものです。ノイ村は、ホームラ王国から遠いです。山の民を運んでくれていたのは、サラマンダーでした。頭領は、オレンジ色の竜の羽と足を持った女の子でした」

「サラマンダー・・・、そうか。その市を開いた山の民とサラマンダーの関係はどうだった」

「とても良好でしたね。山の民はサラマンダーを信頼しきっていました」 

「なるほどな。我らがエルフと仲良くしているのと一緒だ。同属性のサラマンダーと仲良くするのは、当たり前の事。しかしゼゲス魔王国の亜人ともなると、いささか状況が違ってくる。近隣諸国と付き合えないわけだ」

「ミハエル王は、人より、魔王ゼゲスの方が寛大なんじゃないかって言ってました。人の里に行き来しているのは、サラマンダーの方です」

「飛べるからな。貴重な情報をありがとう。参考になったよ。ぜひ、桃ジュースをもっと飲みたいと思った」

「これもリリーが居たおかげです。向こうもリリーがどうやって国民に受け入られたのか興味津々で聞いて来たので、実態を知ることが出来ました」


 ジャック魔法省大臣との会談も終わったので、港町のバザールに向かう。今日の夕飯は、オークのおやじ自慢のトンテキに決めた。

 バザールの亜人と獣人の出店まで行くと、冒険者学校の女の子が5人、おれを待っていた。

「みんな何しているんだ。こんなところで女ばっかは、危ないだろ」

「あっ、ご主・・ユウ様。待ってました。みんなに、バザールのご飯を自慢したら食べたいっていうんです」

「寮生は、みんな、ここのお弁当を食べたんでしょう。ずるいわよ」
「トンテキ食べたい」

「おれもトンテキ食べたいって思っていたけど。みんな、お嬢様ばかりだろ。親に怒られるぞ」

「大丈夫、お母様には、後で話すから」

「それ、違うんじゃないか!」思わず突っ込んだ。

「ここの治安はいいんでしょう」
「臭いって言うのは嘘なんでしょ。確かめたいじゃない」


「はーー、仕方ない。みんなおれから離れるなよ」

「もちろん、ユウのおごりよね」
「寮生に、おごったんでしょう」

「どうしてそれを」
 思わずリリーをにらんでしまった。リリーは、悪びれていない顔をしている。

「リリーを入れて6人か。みんなにおごるよ。リリーは、明日からメルルのなんでも屋でバイトな」

 わーーー
「えーー、わかりました」

 今日のトンテキ屋のおやじの機嫌がいいこと。しっかり野菜炒めも持って来て、他の店の宣伝もしていた。

 こういう華やかなのがいると注目されるもので、雑貨屋とか、いつも以上に声をかけまくられた。寄り道し放題のお嬢様達を城下町に連れ帰るのは、とっても骨が折れた。

「トンテキ美味しかったわ。ナプキンも出してくれるのね。びっくりした」

「あれは、特別だ。綺麗な服で行くからだよ」

「また連れて行ってね」
「ダークエルフの子、かわいーー」
「今度は、私たちが、ユウにご馳走してあげる」
「また明日」

 こいつら、自由過ぎる。いやー、嵐のようなお嬢様たちだった。

「リリー、あの恰好で、バザールは、無しな。みんな気を使っていただろ」

「今度から、もっと動きやすい恰好をしましょうと推薦します」

「そうしてくれ。なら、リリーたちだけで行っても問題ない。みんなが守ってくれるから。一回、ウルフ族のステーキ屋に行くか。みんな、顔を覚えてもらえ」

「嬉しいです」

 実は、ウルフ族が、ずっとおれたちを護衛していた。ウルフ族に手を振ると、それに気づいて、向こうも手を振ってくれた。ウルフ族は、ステーキ屋。1食銀貨1枚。高いので使ったことが無かったけど、今度からは、そこの店にも足を運ぶようにしようと思う。
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