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遥救出編
遥、ユウを発見する
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遥、ユウを発見する
剛毅琉剣術の形ができるようになったはずのナシリスが、サザン王国から帰ってきてからは、まったく、気合を入れられなくなっていた。ナシリスは、剛毅琉剣術の形を覚える前の、ただの遊び相手だったころの男の子に戻っていた。そこで、いつもの稽古の時の相手は、サンダーとマリアだけにして、ナシリスには、お母様と一緒に、2階のテラスから、私たちの稽古を見取りしてもらうことにした。
「ハウルカ様。ナシリス様は、なぜあんなことになったのでしょう。まるで、気が抜けたようです」
「そうね。ナシリスは、神様の加護が、急に無くなった。普通の十歳の子供に戻ったってことじゃないかしら。でも、基本動作はできていたから、急がなければ、6年ぐらいで、私が考案した形ができるようになるわ。マリアが稽古をつけてあげてね。私は、その先に進むから」
「かしこまりました」
「私たちの稽古は、見取りさせるしかないわ」
見取り稽古も剣術の稽古の一つである。
「今日は、このぐらいにして、お母様とお茶しましょ」
2階のテラスでお茶していると、サンダーが、情報方と珍しく長い打ち合わせを終えて帰ってきた。
「姫、各国からのレポートの中に、良き人材がいましたぞ」
「それは、どのような戦闘スタイルの人?」
「魔法使いにございます。合成魔法を初めて実演したのです。更にその魔法で、海賊を追い払う実践までやったとか」
残念、ユウじゃないわ。でも、魔王討伐の時には、後衛が必要だものね。
「詳しく聞かせて。魔法使いは、絶対必要だもん」
「はっ!」
「サンダーも、お茶に加わりなさい。堅苦しく、報告しなくてもよくってよ。ハウルカの笑顔がなくなるでしょう。あなたの席は、準備されているのです」
「失礼しました」
サンダーの堅物振りも、お母様には敵わない。サンダーは、ここでは、将軍ではなく、肩の力を抜いた戦士のようになる。
「それで?」
「先日、ナシリス様が、バッハ家の命令で、サザン王国にある冒険者学校の男子学生と、その使い魔を正しに行きました。その学生が合成魔法を成功させたそうです」
「ナシリスが、サザン王国に行っていたのは知っていますが、そんなことしてたのね」
「そうだよ。使い魔の妖精は、エルフにしか見えなかった。綺麗で、高貴な感じなのに、妖精でしょ。ぼくから見ても可愛かったよ」
「女の子だったの?私も会いたい」
「サザン王国は、この使い魔を国民認定しました。我ら、今だに魔王軍と戦争状態。人族以外を国民にしているとゼゲイ魔王国の間者が入っても、見つけにくくなります。ナシリス様は、それを正しに行かれたのです」
「でも、使い魔って、魔法使いの身内も同然なんでしょ」
「はー、その通りでございます。その使い魔リリーを国民から外せとは言えませんでした。ですから、ナシリス様のお父様は、その魔法学生ともども、冒険者学校から追い出し、サザン王国からも一時出て行ってもらうよう圧力をかけられたのです。彼らは、セイドン王国の貿易船に乗って、ムーマ大陸に旅立たせることになったのです。6年は帰ってこれません」
「じゃあ、私を守る魔術師には、なってもらえないの?」
「残念ながら。それに変な噂もあります。かの魔法使いは、姫にはふさわしくないと存じます」
「変な噂?」
「彼は、剣士を敵視しているようなのです。サザン王国の冒険者学校は、生徒の練習を誰でも見学できます。剣士科の練習に、彼が、ちょこちょこ顔を出しては、剣士の生徒に戦いを挑み、倒してしまうのです」
「魔法使いと剣士が戦っていいの」
「それは、模擬の対戦試合ですから、許可されています。癒しの魔法を使える先生が必ず付いて立ち会っておるのです」
「そんなに強い魔法使いなのですか」
「それが、狂気の沙汰としか思えないのですが。素手で殴り倒すようなのです。剣士に対する、彼の執念は異常です」
「素手で剣士に勝ってしまうの!どうやって?」
「私が受けた報告では、こうでございます」
サンダー将軍は、お母様の許しを得て、席を離れ、超低空飛行のアッパーカットを実演して見せた。
輝玉流昇竜拳だわ。これに昇竜波を乗せられると気が分かる私には、つらいのよね
「その魔法使いのお名前は、なんと言うの」
「あら、ハウルカが、殿方に興味を持つなんて珍しい。彼には可愛い使い魔さんがいるのですよ」
「お母さま」
「名前は、シラサギ・ユウでしたか。山奥の平民だそうです」
シラサギ・ユウ! ユウを見つけたわ。
遥は、喜びを隠せない。でも、ニコニコしているのはいつもの事。遥は、そこで、わざと涼しい顔をして、更にユウの情報を聞き出そうとした。
「それで、そのユウさん達は、今どこに?」
「やっぱり気になるのね」
「王妃様、それはそうでしょう。合成魔法を成功させた魔法使いは、そのシラサギ・ユウしかいません。しかし、残念ながら、彼は、ムーマ大陸に行くことになります。我々は、これ以上の情報を得ることは出来ないでしょう」
「サンダー、でも・・・」
「そうですな、セイドン王国の商船は、ムーマ大陸と行き来するのです。何か情報が入り次第、姫にお伝えしましょう」
「ありがとう」
ずっと行方不明だったユウが見つかった。嬉しい。でも、リリーって誰。ああ、ユウと会って話したい。
遥は、まだ10歳。城から出ることは、かなわぬ身だった。
剛毅琉剣術の形ができるようになったはずのナシリスが、サザン王国から帰ってきてからは、まったく、気合を入れられなくなっていた。ナシリスは、剛毅琉剣術の形を覚える前の、ただの遊び相手だったころの男の子に戻っていた。そこで、いつもの稽古の時の相手は、サンダーとマリアだけにして、ナシリスには、お母様と一緒に、2階のテラスから、私たちの稽古を見取りしてもらうことにした。
「ハウルカ様。ナシリス様は、なぜあんなことになったのでしょう。まるで、気が抜けたようです」
「そうね。ナシリスは、神様の加護が、急に無くなった。普通の十歳の子供に戻ったってことじゃないかしら。でも、基本動作はできていたから、急がなければ、6年ぐらいで、私が考案した形ができるようになるわ。マリアが稽古をつけてあげてね。私は、その先に進むから」
「かしこまりました」
「私たちの稽古は、見取りさせるしかないわ」
見取り稽古も剣術の稽古の一つである。
「今日は、このぐらいにして、お母様とお茶しましょ」
2階のテラスでお茶していると、サンダーが、情報方と珍しく長い打ち合わせを終えて帰ってきた。
「姫、各国からのレポートの中に、良き人材がいましたぞ」
「それは、どのような戦闘スタイルの人?」
「魔法使いにございます。合成魔法を初めて実演したのです。更にその魔法で、海賊を追い払う実践までやったとか」
残念、ユウじゃないわ。でも、魔王討伐の時には、後衛が必要だものね。
「詳しく聞かせて。魔法使いは、絶対必要だもん」
「はっ!」
「サンダーも、お茶に加わりなさい。堅苦しく、報告しなくてもよくってよ。ハウルカの笑顔がなくなるでしょう。あなたの席は、準備されているのです」
「失礼しました」
サンダーの堅物振りも、お母様には敵わない。サンダーは、ここでは、将軍ではなく、肩の力を抜いた戦士のようになる。
「それで?」
「先日、ナシリス様が、バッハ家の命令で、サザン王国にある冒険者学校の男子学生と、その使い魔を正しに行きました。その学生が合成魔法を成功させたそうです」
「ナシリスが、サザン王国に行っていたのは知っていますが、そんなことしてたのね」
「そうだよ。使い魔の妖精は、エルフにしか見えなかった。綺麗で、高貴な感じなのに、妖精でしょ。ぼくから見ても可愛かったよ」
「女の子だったの?私も会いたい」
「サザン王国は、この使い魔を国民認定しました。我ら、今だに魔王軍と戦争状態。人族以外を国民にしているとゼゲイ魔王国の間者が入っても、見つけにくくなります。ナシリス様は、それを正しに行かれたのです」
「でも、使い魔って、魔法使いの身内も同然なんでしょ」
「はー、その通りでございます。その使い魔リリーを国民から外せとは言えませんでした。ですから、ナシリス様のお父様は、その魔法学生ともども、冒険者学校から追い出し、サザン王国からも一時出て行ってもらうよう圧力をかけられたのです。彼らは、セイドン王国の貿易船に乗って、ムーマ大陸に旅立たせることになったのです。6年は帰ってこれません」
「じゃあ、私を守る魔術師には、なってもらえないの?」
「残念ながら。それに変な噂もあります。かの魔法使いは、姫にはふさわしくないと存じます」
「変な噂?」
「彼は、剣士を敵視しているようなのです。サザン王国の冒険者学校は、生徒の練習を誰でも見学できます。剣士科の練習に、彼が、ちょこちょこ顔を出しては、剣士の生徒に戦いを挑み、倒してしまうのです」
「魔法使いと剣士が戦っていいの」
「それは、模擬の対戦試合ですから、許可されています。癒しの魔法を使える先生が必ず付いて立ち会っておるのです」
「そんなに強い魔法使いなのですか」
「それが、狂気の沙汰としか思えないのですが。素手で殴り倒すようなのです。剣士に対する、彼の執念は異常です」
「素手で剣士に勝ってしまうの!どうやって?」
「私が受けた報告では、こうでございます」
サンダー将軍は、お母様の許しを得て、席を離れ、超低空飛行のアッパーカットを実演して見せた。
輝玉流昇竜拳だわ。これに昇竜波を乗せられると気が分かる私には、つらいのよね
「その魔法使いのお名前は、なんと言うの」
「あら、ハウルカが、殿方に興味を持つなんて珍しい。彼には可愛い使い魔さんがいるのですよ」
「お母さま」
「名前は、シラサギ・ユウでしたか。山奥の平民だそうです」
シラサギ・ユウ! ユウを見つけたわ。
遥は、喜びを隠せない。でも、ニコニコしているのはいつもの事。遥は、そこで、わざと涼しい顔をして、更にユウの情報を聞き出そうとした。
「それで、そのユウさん達は、今どこに?」
「やっぱり気になるのね」
「王妃様、それはそうでしょう。合成魔法を成功させた魔法使いは、そのシラサギ・ユウしかいません。しかし、残念ながら、彼は、ムーマ大陸に行くことになります。我々は、これ以上の情報を得ることは出来ないでしょう」
「サンダー、でも・・・」
「そうですな、セイドン王国の商船は、ムーマ大陸と行き来するのです。何か情報が入り次第、姫にお伝えしましょう」
「ありがとう」
ずっと行方不明だったユウが見つかった。嬉しい。でも、リリーって誰。ああ、ユウと会って話したい。
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