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遥救出編
決戦
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シップウは、空気の層を偏光ガラスのようにして、見張り台に気づかれないよう砂浜に降り立った。しばらく前に、ここに来たばかりなので、サザンの国民に気を使ったのだ。
「リリー行くぞ」
「なんなんですか夜中に。ゲーーー、ご主人様が二人」
― 何をしておる。早く乗らんか
シップウに乗って上空に上がると、北の空が明るい。リリーがそれを見て指さした。
「なんですか。あれ?」
― 光蟲(ひかりむし)や光クラゲの集合体じゃな。光柱と言う。光属性の弱い眷属たちで作った盾じゃ。酷いことをする。あれは、我を弱体化させる対策だ。あの範囲の光柱をドラゴンブレスで撃退したら、我の力が弱まる。その後、現れるモンスターは、強力な奴ばかりだということだ
「ご主人様の、ドラゴンブレスで倒れないんですか」
― そのための光柱だろ。あれは、狂騒状態にならないと起きん現象だ。眷属を消耗品のように使いおって。このまま放っておくと森を食いつぶされるから、全体攻撃するしかないが、殲滅はしない。少し光注を残して吹き飛ばす。後を任せてい良いか
「何体残りそうだ」
― 百と言ったところか。天使族(有翼族)が大半じゃが、雷族や光魔獣も少し残るだろう。そ奴らは、強力だぞ
「飛べる奴からやるか?。風障壁が使えるようになったんだ。空を走れる」
― 彼らを狂騒状態にした魔物がいるはずだ。その魔物からだ。他の魔物の攪乱と引きはがしは任せろ。狂乱は、術以上に脳を活性化させると克服できる
「加速すればいいってことだな」
「ご主人様、わたしは?」
「リリーは、風竜の背中に乗ってろ」
― リリー、天使の光属性攻撃の対策は、さっきわしが見せた偏光だ。それを実践で演習しておれ
「うーー、怖い」
「リリーならやれるさ。聖獣様を守ってくれるんだろ」
リリーは、ほめて伸ばすタイプ。
― 練習じゃ
「頑張ります」
ガオーーーーン 〈では行く〉
光柱は、オーロラの様に夜を虹色に光りながら1.2Km四方にわたって揺らめいている。これが、全部ロトの眷属とは思えない。サザンの生き物も混ざっているだろう。これらに狂騒を掛けている魔物がいるのだ。
我が領内の住人には悪いが、殲滅だ。
コーーーーーーーー
ゴギャガゴオーーーーーーーーーーーーーーーーーン
風竜のドラゴンブレスは広範囲攻撃。ものすごい勢いで、光柱の中にいる光蟲や浮遊クラゲたちが駆逐されていく。そして光っていない、狂騒に巻き込まれた動物や虫たちも。シップウは、怒りを覚えながら力を出し尽くした。
「風竜、もういい、十分だ。少しは虫たちを残して吹き飛ばすんだろ。後は、狂騒を起こしている魔物を退治すれば、飛散するさ」
― すまん
「見て、でっかいカメレオン」
― ラーレルトカメレオンだ。背中のヒレが虹色に光っているだろ。光属性のバットステータスは、狂騒、混乱だ。あのヒレをはぎ取るか、ラーレルトを倒さない限り、周りの生物が巻き込まれていく
「風竜、真上まで行ってくれ」
― まだ少し力が残っているが逃げ回ることにする。出来るだけ早く戻ってこい
「ユウ様、やっちゃえ」
「おう!」
ラーレルトカメレオンは、防御の雑魚たちがいなくなって、より一層背中のヒレを立てて、強力な酩酊を起こすオーロラを出し続けていた。このチカチカする光を見ると前後不覚に陥って、狂乱状態になっていく。それが、集団化して狂騒に。ラーレルトカメレオンは、これら狂乱状態に陥った虫や浮遊クラゲに、こっちに来ると美味しいものがあるよと声をあげる。
パーンパー、パーンパー、パーンパー、パーンパー、パーンパー。
ユウは、このチカチカするオーロラの光の中で、加速した。ただシップウから落下しただけでなく。この加速の中で、風障壁を足元に張って、それを蹴って加速した。そして、風のギガントアーム。巨人族の拳がラーレルトカメレオンの脳天に炸裂。そのまま、地面にめり込ませた。
「身体活性、加速」フーーーワッ「ギガントアーム」
「お前、迷惑なんだよ」
ドゴン
しかし、ギガントアームは、まだ練習し始めたばかりの技。ラーレルトカメレオンを地面に押し付けて動けなくしただけだった。ユウは、そのまま、ラーレルトカメレオンの頭部に降り立って、振動系の拳をふるった。
「グランドインパクト」
ドッ、ミシミシ。ボガン
ラーレルトカメレオンの頭部は、ヒビを伴って割れた。それなのに、ヒレは、虹色の光を発し続ける。
ユウは、手刀に光刃をまとって、その効果範囲を広げた。
「ヒレを落としてやる」
たたたた、たたっと、ラーレルトカメレオンの背中を駆け上がり、ヒレを切り取っていく。
ばぎっ、ぼぎゃ、どぎゃ
ヒレには固い骨が付いており、スパッと切れるものではない。しかし、ユウの光刃は、それを無視するかのように切り裂いていく。
ラーレルトカメレオンは、頭部の骨を砕かれたが、脳が無事だったため、気絶したまま、オーロラレインボウを光らせ続けている。しかし、脳内に大量の出血。絶命は、時間の問題だった。
上空では、天使軍団に囲まれたシップウが、集団攻撃をさせないように、天使軍団長にフェイントを掛け、偶々生き残った雑魚のアークエンジェル〈戦士天使〉を盾に、逃げ回っていた。
「ご主人様。あの赤い天使は、ヒエラルキーでは?」
― そうだが、その上位種だ。12宮天使か。あれは、サジタリウスだな。ニードルライトという、強力で細い、赤いレーザーを撃ってくるぞ。偏光版が貫かれる。空気レンズで方向をずらせ
「やってみます」
サジタリウスから、ビーーーーと、収束された赤イレイザー光が、尾を引くように放たれた。
「玉風」
空気レンズでは、敵の攻撃を大きく偏向できない。風竜のすぐ側に赤い光の光跡を見ることが出来た。
「ご主人様ごめんなさい。近すぎますよね」
― いや、よくやった。今の感じだ。弱い敵の攻撃は、偏光板でいいからな
「はい!」
しかし、これぐらいのことで、のんびりしていられない。下から、パワーズ〈武闘派天使〉が、近接戦闘をしようと迫ってくる。
上空にサジタリウス。下方からパワーズ。
ここで、地上からのオーロラの光が、突然消えた。体が光っているのは、光属性の敵だけ。シップウは、この闇に紛れた。
敵の天使たちの目が、月夜に慣れたころ、シップウは、サジタリウスより上空を飛翔していた。なぜなら、地上から、弾丸のような人間が飛び出していたからだ。シップウに気を取られていたパワーズの一人が、この弾丸に撃ち抜かれた。
「ユウ様!」
― よし、一匹
今度は、12宮天使のサジタリウスが、ユウとシップウに囲まれる形になった。こうなったサジタリウスが向かう先の敵は、パワーズと挟み撃ちにしているユウだ。サジタリウスもパワーズも近接戦闘好きだ。一挙に距離を詰めてきた。
― ユウよ。大きな風障壁の足場を作れ。敵は、おぬしが飛べないとみて、バカにして、自分から攻撃を仕掛けて来るぞ。何より下方からの敵を牽制できる
「いいね」
ユウは、ダンと、空中を足で蹴って、舞台のような風障壁を張った。下から攻めて来ていたパワーズは、この障壁に、激突した。
シップウとリリーは、このままユウの戦いを見ていたいが、そうはいかない。左右からヒエラルキー〈精霊天使〉とプリンシパリティ〈顕現天使〉が迫って来ている。ヒエラルキーは、癒しが得意なのだが、その分、体が丈夫で、ロッドで殴ってくる。プリンシパリティは、ホーリーエンジェル〈魔法使い〉の上位天使。聖なる光の柱を立てて来る。
― リリー、右方から来ているプリンシパリティは、ホーリーを撃ってくるぞ。あれは当たるとわしでも傷つく。だが、反射できないことはない。やってみろ。そう言うわけで、ヒエラルキーに突っ込む
「どういうわけですか!!!」
― 反射だ
プリンシパリティが、ホーリーを撃ってきた
「ホーリー!」
「もう、当たっても知りませんよ『鏡風』!」
ホーリーは、上空から降ってくる光。リリーは、これをシップウが向かっているヒエラルキーに反射した。
ぼぼぼぼぼぼぼ、ぼぼっ
「きーん」
「ふぁーん」
2体のヒエラルキーが地上に落ちていく。
― やったなリリー、お手柄だ
「私が、2体も!」
リリーは、ほめて伸ばすタイプ。
風障壁の舞台の上では、ユウが、四方をパワーズに囲まれていた。天頂にサジタリウス。完全に囲まれた状態だ。
「我らが天使長を傷つけた罪。死んで償え」
「そうだ」
「しね」
「お前ら、意思を持っているのか。今回のことは、ロトのわがままだぞ。そんな奴の言うことを聴くんじゃない」
「黙れ」
パワーズが、一挙に襲い掛かってきた。だが、この囲みは、地上戦闘と変わらない。
ドガッ、バギッ、ズガッ
「すまん待たせた」
ガツッ
おれは、一度に3体倒すことが出来る。つまり、一体、かわさないといけない。
「なぜ、天使を殴っただけで倒せる」
「そんなの、気合に決まっているだろ。お前は、来ないのか」
「馬鹿め、パワーズは、ドミニオンズ〈天使軍団長〉の下ぞ。全軍、ドラゴンブレスに耐えたわ。人がパワーズと同じタイプとは珍しい。どれぐらい耐えられるか見てやろう」
「うーん、32。少なくないか。普通1〇〇だろ。いいけど」
「行けっ」
ドガ、バギ、ズガ
いいね。本当に向こうから向かってきてくれる。手間が省けるってもんだ
「何をしている。力試しではないぞ。一挙に畳み込め」
ズガッ、ガガガガッ、ガガガガガガガガガガガ
「はーーーっ」
剛気功をためる間を貰ってしまった。
「おれを休まさなくていいんだぜ。お前ら、おれの強さが分かるだろ。でも隙がないわけじゃない」
「そうだ。一度に5体で行け」
バカなのか6体に遠距離攻撃だろ。こっちの方が好きだけど
ガガガガガガガガガガガガガガ、ダン
おれは、一挙にパワーズを倒し、サジタリウスの目と鼻の先に舞い上がった。
「お前だけになったぞ」
ヒュー スカッ
今頃遠距離支援?
「武器は、使わないのか?」
「使っただろ」
おれは、レッドニードルを食らっていた。光のスピードのニードルだ。さっきの支援が効いていたということだ。
「もしかして今のがお前最大の攻撃か?さっきのパワーズの方が手ごたえあったぞ」
ガツッ
おれは、今回の上位天使軍団長である12宮天使、サジタリウスの顔をつかんだ。
「は、放せ。ニードル、ニードル、ニードル、ニードル」
「まいったな。お前バカだろ。風障壁をあの範囲で張れるんだ。そんなの、おれに通るわけないだろ」
「なにを言っている属性が・・はっ」
「これでいいか。だいたい、おれは、ライトソードを体から出せるんだぜ。光属性が通るわけないだろ」
「や、止めろ、化け物」
おれは五指に光属性の気を高めた。
ボギャギャ
「綺麗な顔をすまん。でも、その方が、男らしいぞ。お前は、戦闘狂らしい。上にも逆らうタイプだ。そういうのを、なんか漫画で読んだことがある。助けてやろう。だから、戦線から離脱しな」
ボギ、ボギ、ボギッ。ズガッ
「羽と左足を残してやる。‥‥、ありゃ、普通これぐらいじゃあ気絶しないぞ」
ポイッとサジタリウスを捨てて、魔法系の天使を潰しに向かった。戦闘系と同じ数の天使がいる。思った通り逃げ回るので、骨が折れる。
「いたっ」
― 馬鹿もん、それはユウの風障壁の足後じゃ。すり抜けんでどうする
「でも、こんなにいっぱい」
― 逃げ惑うヒエラルキーとプリンシパリティを追い詰めるためじゃ。ユウの足跡をよく見ろ。迷路になっておろうが
「本当です、目が回ります」
― まいった。ユウ、我は、外から天使たちを追い込む
「了解!」
実際は、昇竜波やソニック攻撃をすれば、すく倒せるけど、初めて魔物との実践だもんな。やっぱ拳だろ。
最後に追い詰めたドミニオンが、変な命乞いをしてきた。
「我は、神の使いぞ。そ、それを罰当たりな」
「あのなあ、おれの故郷の神さんは、みんな元は人間だったんだよ。言っていいる意味わかるか。おれが、神の使いを倒せないわけないだろ」
ボガッ
「さて、何だったっけ。ハーーーーーーーー『パオ』!」
すべての風障壁が消えた。これは、シップウから教えてもらった消去魔法。それにしても、もっと、冒険者学校で学びたかったと思う。
おれは、空気を蹴りながら地上に降りた。天使75体。カメレオン1体を倒した。それでも、まだまだ地上は、巨大な化け物や魔獣軍団で、埋め尽くされていた。
「リリー行くぞ」
「なんなんですか夜中に。ゲーーー、ご主人様が二人」
― 何をしておる。早く乗らんか
シップウに乗って上空に上がると、北の空が明るい。リリーがそれを見て指さした。
「なんですか。あれ?」
― 光蟲(ひかりむし)や光クラゲの集合体じゃな。光柱と言う。光属性の弱い眷属たちで作った盾じゃ。酷いことをする。あれは、我を弱体化させる対策だ。あの範囲の光柱をドラゴンブレスで撃退したら、我の力が弱まる。その後、現れるモンスターは、強力な奴ばかりだということだ
「ご主人様の、ドラゴンブレスで倒れないんですか」
― そのための光柱だろ。あれは、狂騒状態にならないと起きん現象だ。眷属を消耗品のように使いおって。このまま放っておくと森を食いつぶされるから、全体攻撃するしかないが、殲滅はしない。少し光注を残して吹き飛ばす。後を任せてい良いか
「何体残りそうだ」
― 百と言ったところか。天使族(有翼族)が大半じゃが、雷族や光魔獣も少し残るだろう。そ奴らは、強力だぞ
「飛べる奴からやるか?。風障壁が使えるようになったんだ。空を走れる」
― 彼らを狂騒状態にした魔物がいるはずだ。その魔物からだ。他の魔物の攪乱と引きはがしは任せろ。狂乱は、術以上に脳を活性化させると克服できる
「加速すればいいってことだな」
「ご主人様、わたしは?」
「リリーは、風竜の背中に乗ってろ」
― リリー、天使の光属性攻撃の対策は、さっきわしが見せた偏光だ。それを実践で演習しておれ
「うーー、怖い」
「リリーならやれるさ。聖獣様を守ってくれるんだろ」
リリーは、ほめて伸ばすタイプ。
― 練習じゃ
「頑張ります」
ガオーーーーン 〈では行く〉
光柱は、オーロラの様に夜を虹色に光りながら1.2Km四方にわたって揺らめいている。これが、全部ロトの眷属とは思えない。サザンの生き物も混ざっているだろう。これらに狂騒を掛けている魔物がいるのだ。
我が領内の住人には悪いが、殲滅だ。
コーーーーーーーー
ゴギャガゴオーーーーーーーーーーーーーーーーーン
風竜のドラゴンブレスは広範囲攻撃。ものすごい勢いで、光柱の中にいる光蟲や浮遊クラゲたちが駆逐されていく。そして光っていない、狂騒に巻き込まれた動物や虫たちも。シップウは、怒りを覚えながら力を出し尽くした。
「風竜、もういい、十分だ。少しは虫たちを残して吹き飛ばすんだろ。後は、狂騒を起こしている魔物を退治すれば、飛散するさ」
― すまん
「見て、でっかいカメレオン」
― ラーレルトカメレオンだ。背中のヒレが虹色に光っているだろ。光属性のバットステータスは、狂騒、混乱だ。あのヒレをはぎ取るか、ラーレルトを倒さない限り、周りの生物が巻き込まれていく
「風竜、真上まで行ってくれ」
― まだ少し力が残っているが逃げ回ることにする。出来るだけ早く戻ってこい
「ユウ様、やっちゃえ」
「おう!」
ラーレルトカメレオンは、防御の雑魚たちがいなくなって、より一層背中のヒレを立てて、強力な酩酊を起こすオーロラを出し続けていた。このチカチカする光を見ると前後不覚に陥って、狂乱状態になっていく。それが、集団化して狂騒に。ラーレルトカメレオンは、これら狂乱状態に陥った虫や浮遊クラゲに、こっちに来ると美味しいものがあるよと声をあげる。
パーンパー、パーンパー、パーンパー、パーンパー、パーンパー。
ユウは、このチカチカするオーロラの光の中で、加速した。ただシップウから落下しただけでなく。この加速の中で、風障壁を足元に張って、それを蹴って加速した。そして、風のギガントアーム。巨人族の拳がラーレルトカメレオンの脳天に炸裂。そのまま、地面にめり込ませた。
「身体活性、加速」フーーーワッ「ギガントアーム」
「お前、迷惑なんだよ」
ドゴン
しかし、ギガントアームは、まだ練習し始めたばかりの技。ラーレルトカメレオンを地面に押し付けて動けなくしただけだった。ユウは、そのまま、ラーレルトカメレオンの頭部に降り立って、振動系の拳をふるった。
「グランドインパクト」
ドッ、ミシミシ。ボガン
ラーレルトカメレオンの頭部は、ヒビを伴って割れた。それなのに、ヒレは、虹色の光を発し続ける。
ユウは、手刀に光刃をまとって、その効果範囲を広げた。
「ヒレを落としてやる」
たたたた、たたっと、ラーレルトカメレオンの背中を駆け上がり、ヒレを切り取っていく。
ばぎっ、ぼぎゃ、どぎゃ
ヒレには固い骨が付いており、スパッと切れるものではない。しかし、ユウの光刃は、それを無視するかのように切り裂いていく。
ラーレルトカメレオンは、頭部の骨を砕かれたが、脳が無事だったため、気絶したまま、オーロラレインボウを光らせ続けている。しかし、脳内に大量の出血。絶命は、時間の問題だった。
上空では、天使軍団に囲まれたシップウが、集団攻撃をさせないように、天使軍団長にフェイントを掛け、偶々生き残った雑魚のアークエンジェル〈戦士天使〉を盾に、逃げ回っていた。
「ご主人様。あの赤い天使は、ヒエラルキーでは?」
― そうだが、その上位種だ。12宮天使か。あれは、サジタリウスだな。ニードルライトという、強力で細い、赤いレーザーを撃ってくるぞ。偏光版が貫かれる。空気レンズで方向をずらせ
「やってみます」
サジタリウスから、ビーーーーと、収束された赤イレイザー光が、尾を引くように放たれた。
「玉風」
空気レンズでは、敵の攻撃を大きく偏向できない。風竜のすぐ側に赤い光の光跡を見ることが出来た。
「ご主人様ごめんなさい。近すぎますよね」
― いや、よくやった。今の感じだ。弱い敵の攻撃は、偏光板でいいからな
「はい!」
しかし、これぐらいのことで、のんびりしていられない。下から、パワーズ〈武闘派天使〉が、近接戦闘をしようと迫ってくる。
上空にサジタリウス。下方からパワーズ。
ここで、地上からのオーロラの光が、突然消えた。体が光っているのは、光属性の敵だけ。シップウは、この闇に紛れた。
敵の天使たちの目が、月夜に慣れたころ、シップウは、サジタリウスより上空を飛翔していた。なぜなら、地上から、弾丸のような人間が飛び出していたからだ。シップウに気を取られていたパワーズの一人が、この弾丸に撃ち抜かれた。
「ユウ様!」
― よし、一匹
今度は、12宮天使のサジタリウスが、ユウとシップウに囲まれる形になった。こうなったサジタリウスが向かう先の敵は、パワーズと挟み撃ちにしているユウだ。サジタリウスもパワーズも近接戦闘好きだ。一挙に距離を詰めてきた。
― ユウよ。大きな風障壁の足場を作れ。敵は、おぬしが飛べないとみて、バカにして、自分から攻撃を仕掛けて来るぞ。何より下方からの敵を牽制できる
「いいね」
ユウは、ダンと、空中を足で蹴って、舞台のような風障壁を張った。下から攻めて来ていたパワーズは、この障壁に、激突した。
シップウとリリーは、このままユウの戦いを見ていたいが、そうはいかない。左右からヒエラルキー〈精霊天使〉とプリンシパリティ〈顕現天使〉が迫って来ている。ヒエラルキーは、癒しが得意なのだが、その分、体が丈夫で、ロッドで殴ってくる。プリンシパリティは、ホーリーエンジェル〈魔法使い〉の上位天使。聖なる光の柱を立てて来る。
― リリー、右方から来ているプリンシパリティは、ホーリーを撃ってくるぞ。あれは当たるとわしでも傷つく。だが、反射できないことはない。やってみろ。そう言うわけで、ヒエラルキーに突っ込む
「どういうわけですか!!!」
― 反射だ
プリンシパリティが、ホーリーを撃ってきた
「ホーリー!」
「もう、当たっても知りませんよ『鏡風』!」
ホーリーは、上空から降ってくる光。リリーは、これをシップウが向かっているヒエラルキーに反射した。
ぼぼぼぼぼぼぼ、ぼぼっ
「きーん」
「ふぁーん」
2体のヒエラルキーが地上に落ちていく。
― やったなリリー、お手柄だ
「私が、2体も!」
リリーは、ほめて伸ばすタイプ。
風障壁の舞台の上では、ユウが、四方をパワーズに囲まれていた。天頂にサジタリウス。完全に囲まれた状態だ。
「我らが天使長を傷つけた罪。死んで償え」
「そうだ」
「しね」
「お前ら、意思を持っているのか。今回のことは、ロトのわがままだぞ。そんな奴の言うことを聴くんじゃない」
「黙れ」
パワーズが、一挙に襲い掛かってきた。だが、この囲みは、地上戦闘と変わらない。
ドガッ、バギッ、ズガッ
「すまん待たせた」
ガツッ
おれは、一度に3体倒すことが出来る。つまり、一体、かわさないといけない。
「なぜ、天使を殴っただけで倒せる」
「そんなの、気合に決まっているだろ。お前は、来ないのか」
「馬鹿め、パワーズは、ドミニオンズ〈天使軍団長〉の下ぞ。全軍、ドラゴンブレスに耐えたわ。人がパワーズと同じタイプとは珍しい。どれぐらい耐えられるか見てやろう」
「うーん、32。少なくないか。普通1〇〇だろ。いいけど」
「行けっ」
ドガ、バギ、ズガ
いいね。本当に向こうから向かってきてくれる。手間が省けるってもんだ
「何をしている。力試しではないぞ。一挙に畳み込め」
ズガッ、ガガガガッ、ガガガガガガガガガガガ
「はーーーっ」
剛気功をためる間を貰ってしまった。
「おれを休まさなくていいんだぜ。お前ら、おれの強さが分かるだろ。でも隙がないわけじゃない」
「そうだ。一度に5体で行け」
バカなのか6体に遠距離攻撃だろ。こっちの方が好きだけど
ガガガガガガガガガガガガガガ、ダン
おれは、一挙にパワーズを倒し、サジタリウスの目と鼻の先に舞い上がった。
「お前だけになったぞ」
ヒュー スカッ
今頃遠距離支援?
「武器は、使わないのか?」
「使っただろ」
おれは、レッドニードルを食らっていた。光のスピードのニードルだ。さっきの支援が効いていたということだ。
「もしかして今のがお前最大の攻撃か?さっきのパワーズの方が手ごたえあったぞ」
ガツッ
おれは、今回の上位天使軍団長である12宮天使、サジタリウスの顔をつかんだ。
「は、放せ。ニードル、ニードル、ニードル、ニードル」
「まいったな。お前バカだろ。風障壁をあの範囲で張れるんだ。そんなの、おれに通るわけないだろ」
「なにを言っている属性が・・はっ」
「これでいいか。だいたい、おれは、ライトソードを体から出せるんだぜ。光属性が通るわけないだろ」
「や、止めろ、化け物」
おれは五指に光属性の気を高めた。
ボギャギャ
「綺麗な顔をすまん。でも、その方が、男らしいぞ。お前は、戦闘狂らしい。上にも逆らうタイプだ。そういうのを、なんか漫画で読んだことがある。助けてやろう。だから、戦線から離脱しな」
ボギ、ボギ、ボギッ。ズガッ
「羽と左足を残してやる。‥‥、ありゃ、普通これぐらいじゃあ気絶しないぞ」
ポイッとサジタリウスを捨てて、魔法系の天使を潰しに向かった。戦闘系と同じ数の天使がいる。思った通り逃げ回るので、骨が折れる。
「いたっ」
― 馬鹿もん、それはユウの風障壁の足後じゃ。すり抜けんでどうする
「でも、こんなにいっぱい」
― 逃げ惑うヒエラルキーとプリンシパリティを追い詰めるためじゃ。ユウの足跡をよく見ろ。迷路になっておろうが
「本当です、目が回ります」
― まいった。ユウ、我は、外から天使たちを追い込む
「了解!」
実際は、昇竜波やソニック攻撃をすれば、すく倒せるけど、初めて魔物との実践だもんな。やっぱ拳だろ。
最後に追い詰めたドミニオンが、変な命乞いをしてきた。
「我は、神の使いぞ。そ、それを罰当たりな」
「あのなあ、おれの故郷の神さんは、みんな元は人間だったんだよ。言っていいる意味わかるか。おれが、神の使いを倒せないわけないだろ」
ボガッ
「さて、何だったっけ。ハーーーーーーーー『パオ』!」
すべての風障壁が消えた。これは、シップウから教えてもらった消去魔法。それにしても、もっと、冒険者学校で学びたかったと思う。
おれは、空気を蹴りながら地上に降りた。天使75体。カメレオン1体を倒した。それでも、まだまだ地上は、巨大な化け物や魔獣軍団で、埋め尽くされていた。
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その後、王様の命令ですぐにステータスを確認した音羽と朝日。勇者はもちろん朝日だ。何故なら、あの魔法陣は朝日を呼ぶために作られたものだから。言うならば音羽はおまけだ。音羽は朝日が勇者であることに大して驚きもせず、自分のステータスを確認する。『もしかしたら、想像を絶するようなステータスが現れるかもしれない』と淡い期待を胸に抱きながら····。そんな音羽の淡い期待を打ち砕くのにそう時間は掛からなかった。表示されたステータスに示された職業はまさかの“無職”。これでは勇者のサポーター要員にもなれない。装備品やら王家の家紋が入ったブローチやらを渡されて見事王城から厄介払いされた音羽は絶望に打ちひしがれていた。だって、無職ではチートスキルでもない限り異世界生活を謳歌することは出来ないのだから····。無職は『何も出来ない』『何にもなれない』雑魚職業だと決めつけていた音羽だったが、あることをきっかけに無職が最強の万能職だと判明して!?
チートスキルと最強の万能職を用いて、音羽は今日も今日とて異世界無双!
※カクヨム、小説家になろう様でも掲載中
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ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
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