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遥救出編
女の幸せ
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女の幸せ
ハウルカ姫が、部屋に籠られた。イスタル王国の城は、静かな騒ぎになっていた。宮廷医師がハウルカ姫を訪ねて診察したが、いたって健康。しかし、その顔に微笑みはなかったという。
考えられるのは、婚約者のナシリス、バッハ家公爵子息が、姫についていけなくなったことだ。それまで、ナシリスは、ハウルカ姫の剣術に、よくついて行っていたのが、急に出来なくなった。しかし、そうなってから、つい先日までは、いつもと変わらず誰にでも接していた。
城内では、ハウルカ姫の噂で持ち切りだ。
ハウルカ姫は、ずば抜けた才能をお持ちだが、まだ、10才。こういう時もあるのだ。とか、お城に籠られているのが良くないのだ。たまには、別天地の別荘で過ごされるのが良いのでは。とか、同年代のお友達が、ナシリス様だけなのがまずかったのでは。などと、ささやかれた。
‥‥、‥‥、‥‥遥ちゃん、遥ちゃん
「遥ちゃん、又いじめられたの?今日は、勇気君いなかったのかな」
「ユウは、青空道場よ。なんで、みんな、私をいじめるの?」
「遥ちゃんが可愛いからよ。自分たちに向いてもらいたいから、意地悪しているだけ。そんなの跳ね返してあげなさい。びっくりするから」
「どうやって?」
「そうねえ・・・。『私は、勇気君のお嫁さんになるの。邪魔しないで』とか、行ってみたら。その悪ガキたち、シュンとするわよ」
「おばさんありがと」
「おばさんじゃないでしょう。明子お姉さんでしょ」
「明子おねえさん」
「いい子ね」
定食屋のお姉さんはきれいで、優しくて、・・・
そこでパチッと目が覚めた。私は、また、サンダーが持ってきたユウの報告書を読んで寝てしまっていた。
目を覚して見ると、やっぱりそこは、お城の部屋で、私は10才のお姫様。何不自由ないし、みんなも慕ってくれる。
「なんで、明子お姉さんの夢を見たんだろ」
確かに、お姉さんの言うように意地悪な子たちに、「私は、ユウのお嫁さんになるの。邪魔しないで」って言ったら、それから何もしてこなくなった。だけど、ユウも私を守る必要がなくなった。それから私は、家の剣術に興味を持ちだした。ユウと同じように修行がしたかった。
私は、明子お姉さんが、おじさんと毎日、「定食一丁」とか、大声出して、店を切り盛りしている姿しか知らなかった。でも、何気なく見ていた夕方のテレビに、明子お姉さんが映っているのでびっくりした。
明子お姉さんは、富豪の娘で、その上、将来を嘱望された女優だった。なのに、急に芸能界を引退して、今の旦那さんと結婚。定食屋で、「定食一丁」と、声を張り上げている。
不思議に思って、明子お姉さんに聞いてみた。
「なんで、女優辞めたの? お金持ちなのに働いているの」
明子お姉さんは、テレビでも同じことを聞かれていたけど、それには、答えないで、一生懸命、お店の宣伝をしていた。でも、私には、にっこり笑って教えてくれた。
「そりゃあ、うちの旦那が、最高だからよ。お店で働いてたら、いつも旦那と一緒に居れるじゃない。女の幸せは、お金や名誉じゃないの」
「ふうん、良く分からないけど分かった」
「いい子ね」
そう言って、頭を撫でられた。
「何が、自分の幸せか考えろ」と、青い鳥さんが言っていた。それは、明子お姉さんが言っていた事かもしれない。そう思ったら、なんだかすっきりした。
コンコン
ドアをたたく音。これは、マリアだ。「どうぞ」と言うと、マリアは、血相変えて、私の部屋に飛び込んできた。
「ハウルカ様。お加減はいかがですか」
「うん?何の事」
あっけらかんとしている私を見てマリアは、膝をついて安心していた。
そっか、私がいなくなると、マリアが泣くわ
マリアの頭をなでながら、お母様とマリアにだけは、転生した私のことを話そうと思った。
「はーー、ハウルカ様が、お部屋に籠られて出てこないから、城の皆さんが、心配していましたよ」
「ごめんね」
「私の報告は、後でも構いませんか。お元気なら、お妃さまや、皆さんに御顔をお見せにに行きましょう」
「ダメ、報告が絶対先」
つい、ずずいと、マリアに顔を近づけてしまった。
「えっ、ええ。かまいませんけど」
「ソファーに行きましょう。そこで、報告を聞きます」
やっぱりハウルカ様は、変かなと、マリアに思われたかもしれない。だけど、問題なし
「お手紙は、お渡ししましたよ。それから最重要課題だった印象ですよね。とってもいい人でした。優しいし、大らかだし、とても落ち着いていて、私の2つ上だとは、とても思えませんでした」
そりゃ26才だもんね。・・て、あれっ?
「ちょっと待って。なんで、そんなに具体的なの」
「それが、食事をおごってもらいました。サンダー様に、シラサギ・ユウを視察しに行くなら、使い魔リリーと話すのが良いと、教えていただきました。なんせ、彼は、冒険者学校を退学になった身。学校のコロシアムで、実力を見学できません。リリーは、話しやすい子なので、何でも聞けばいいと。それで話しかけたら、いくらでも話すんです。向こうは、私と意気投合したと思ったらしくて、夕食に誘ってくれました。そこに本人が居たのです」
報告書読んでいたから知ってたけど、リリーって、不用意すぎ
「それで、何話したの?」
「ハウルカ様のことを聞かれましたが、話せないと言いましたら、へーって、言われました。逆に、ムーマ大陸に急に行くことになって、怖くありませんかって聞いたら、ここのおやじも、ムーマ大陸出身だよ。飯旨そうだろって言われました」
「ふうん、おやじさんってどんな人」
「えっと、ハウルカ様には、答えるなと言われています」
あの、黒塗りの所ね
「人ではないってことでしょう。書庫に忍び込んで調べたわ。なぜ、私に話せないの」
「ハウルカ様に、嫌な話を聞かせるなと言う王様の命令です」
「お父様の・・」
この話は、後ね
「本人と話したんでしょう。他には、どんな話をしたの」
「それが、急に、幼馴染の女の子の話を始めました。その子は、すごい泣き虫で、男の子にいじめられていたそうなんです。ところが、急に、男の子たちが、その子をいじめなくなったそうです。その時までは、その子のために強くなろうと思って一生懸命修行していたけど、急に目的を失ったことがあったそうです。それじゃあ、なんで、合成魔法が使えるぐらい強くなったんですかって聞いたら。その泣き虫が、おれより強くなったから、後は必死で、そいつより強くなって、おれが守るんだって言おうとしたそうです。じゃあ、もう言えますねって言ったら。どうかなって、遠い目をされました」
「うっうっ、うゎーーーーん」
だめ、涙が止まらない。
「どうされました。ハウルカ様、ハウルカ様、‥‥…」
私は、泣きじゃくることしかできなかった。これが幸せ・・・
その晩、お母様とマリアには、自分のことを全部話した。二人には、驚かれたが、勇者になるために転生した話は、納得していた。私には、光の加護がある。
それより、自分が転生するときに一緒に転移したユウの話を詳細に聞きたがった。私が、ユウの名前を明かすのを避けたので、余計しつこく聞かれた。名前を答えなかった理由は、なぜ、私の国が、ユウに酷いことをしたのか疑問に思っていたからだ。冒険者学校を退学させて、それも、この大陸から追い出すというのは、やりすぎだ。私を両親の愛情や地位や財産の鳥かごで縛っている神様のことも気になる。ユウに危険が及ぶのを避けたかった。
翌朝、朝練をマリアとしていたら、また、あの青い鳥が来て私に告げた。「今晩迎えに行くが、ついてくるか」と聞かれ、「行きます」と即答した。マリアにその話をすると、マリアは、複雑な顔をしていた。
ハウルカ姫が、部屋に籠られた。イスタル王国の城は、静かな騒ぎになっていた。宮廷医師がハウルカ姫を訪ねて診察したが、いたって健康。しかし、その顔に微笑みはなかったという。
考えられるのは、婚約者のナシリス、バッハ家公爵子息が、姫についていけなくなったことだ。それまで、ナシリスは、ハウルカ姫の剣術に、よくついて行っていたのが、急に出来なくなった。しかし、そうなってから、つい先日までは、いつもと変わらず誰にでも接していた。
城内では、ハウルカ姫の噂で持ち切りだ。
ハウルカ姫は、ずば抜けた才能をお持ちだが、まだ、10才。こういう時もあるのだ。とか、お城に籠られているのが良くないのだ。たまには、別天地の別荘で過ごされるのが良いのでは。とか、同年代のお友達が、ナシリス様だけなのがまずかったのでは。などと、ささやかれた。
‥‥、‥‥、‥‥遥ちゃん、遥ちゃん
「遥ちゃん、又いじめられたの?今日は、勇気君いなかったのかな」
「ユウは、青空道場よ。なんで、みんな、私をいじめるの?」
「遥ちゃんが可愛いからよ。自分たちに向いてもらいたいから、意地悪しているだけ。そんなの跳ね返してあげなさい。びっくりするから」
「どうやって?」
「そうねえ・・・。『私は、勇気君のお嫁さんになるの。邪魔しないで』とか、行ってみたら。その悪ガキたち、シュンとするわよ」
「おばさんありがと」
「おばさんじゃないでしょう。明子お姉さんでしょ」
「明子おねえさん」
「いい子ね」
定食屋のお姉さんはきれいで、優しくて、・・・
そこでパチッと目が覚めた。私は、また、サンダーが持ってきたユウの報告書を読んで寝てしまっていた。
目を覚して見ると、やっぱりそこは、お城の部屋で、私は10才のお姫様。何不自由ないし、みんなも慕ってくれる。
「なんで、明子お姉さんの夢を見たんだろ」
確かに、お姉さんの言うように意地悪な子たちに、「私は、ユウのお嫁さんになるの。邪魔しないで」って言ったら、それから何もしてこなくなった。だけど、ユウも私を守る必要がなくなった。それから私は、家の剣術に興味を持ちだした。ユウと同じように修行がしたかった。
私は、明子お姉さんが、おじさんと毎日、「定食一丁」とか、大声出して、店を切り盛りしている姿しか知らなかった。でも、何気なく見ていた夕方のテレビに、明子お姉さんが映っているのでびっくりした。
明子お姉さんは、富豪の娘で、その上、将来を嘱望された女優だった。なのに、急に芸能界を引退して、今の旦那さんと結婚。定食屋で、「定食一丁」と、声を張り上げている。
不思議に思って、明子お姉さんに聞いてみた。
「なんで、女優辞めたの? お金持ちなのに働いているの」
明子お姉さんは、テレビでも同じことを聞かれていたけど、それには、答えないで、一生懸命、お店の宣伝をしていた。でも、私には、にっこり笑って教えてくれた。
「そりゃあ、うちの旦那が、最高だからよ。お店で働いてたら、いつも旦那と一緒に居れるじゃない。女の幸せは、お金や名誉じゃないの」
「ふうん、良く分からないけど分かった」
「いい子ね」
そう言って、頭を撫でられた。
「何が、自分の幸せか考えろ」と、青い鳥さんが言っていた。それは、明子お姉さんが言っていた事かもしれない。そう思ったら、なんだかすっきりした。
コンコン
ドアをたたく音。これは、マリアだ。「どうぞ」と言うと、マリアは、血相変えて、私の部屋に飛び込んできた。
「ハウルカ様。お加減はいかがですか」
「うん?何の事」
あっけらかんとしている私を見てマリアは、膝をついて安心していた。
そっか、私がいなくなると、マリアが泣くわ
マリアの頭をなでながら、お母様とマリアにだけは、転生した私のことを話そうと思った。
「はーー、ハウルカ様が、お部屋に籠られて出てこないから、城の皆さんが、心配していましたよ」
「ごめんね」
「私の報告は、後でも構いませんか。お元気なら、お妃さまや、皆さんに御顔をお見せにに行きましょう」
「ダメ、報告が絶対先」
つい、ずずいと、マリアに顔を近づけてしまった。
「えっ、ええ。かまいませんけど」
「ソファーに行きましょう。そこで、報告を聞きます」
やっぱりハウルカ様は、変かなと、マリアに思われたかもしれない。だけど、問題なし
「お手紙は、お渡ししましたよ。それから最重要課題だった印象ですよね。とってもいい人でした。優しいし、大らかだし、とても落ち着いていて、私の2つ上だとは、とても思えませんでした」
そりゃ26才だもんね。・・て、あれっ?
「ちょっと待って。なんで、そんなに具体的なの」
「それが、食事をおごってもらいました。サンダー様に、シラサギ・ユウを視察しに行くなら、使い魔リリーと話すのが良いと、教えていただきました。なんせ、彼は、冒険者学校を退学になった身。学校のコロシアムで、実力を見学できません。リリーは、話しやすい子なので、何でも聞けばいいと。それで話しかけたら、いくらでも話すんです。向こうは、私と意気投合したと思ったらしくて、夕食に誘ってくれました。そこに本人が居たのです」
報告書読んでいたから知ってたけど、リリーって、不用意すぎ
「それで、何話したの?」
「ハウルカ様のことを聞かれましたが、話せないと言いましたら、へーって、言われました。逆に、ムーマ大陸に急に行くことになって、怖くありませんかって聞いたら、ここのおやじも、ムーマ大陸出身だよ。飯旨そうだろって言われました」
「ふうん、おやじさんってどんな人」
「えっと、ハウルカ様には、答えるなと言われています」
あの、黒塗りの所ね
「人ではないってことでしょう。書庫に忍び込んで調べたわ。なぜ、私に話せないの」
「ハウルカ様に、嫌な話を聞かせるなと言う王様の命令です」
「お父様の・・」
この話は、後ね
「本人と話したんでしょう。他には、どんな話をしたの」
「それが、急に、幼馴染の女の子の話を始めました。その子は、すごい泣き虫で、男の子にいじめられていたそうなんです。ところが、急に、男の子たちが、その子をいじめなくなったそうです。その時までは、その子のために強くなろうと思って一生懸命修行していたけど、急に目的を失ったことがあったそうです。それじゃあ、なんで、合成魔法が使えるぐらい強くなったんですかって聞いたら。その泣き虫が、おれより強くなったから、後は必死で、そいつより強くなって、おれが守るんだって言おうとしたそうです。じゃあ、もう言えますねって言ったら。どうかなって、遠い目をされました」
「うっうっ、うゎーーーーん」
だめ、涙が止まらない。
「どうされました。ハウルカ様、ハウルカ様、‥‥…」
私は、泣きじゃくることしかできなかった。これが幸せ・・・
その晩、お母様とマリアには、自分のことを全部話した。二人には、驚かれたが、勇者になるために転生した話は、納得していた。私には、光の加護がある。
それより、自分が転生するときに一緒に転移したユウの話を詳細に聞きたがった。私が、ユウの名前を明かすのを避けたので、余計しつこく聞かれた。名前を答えなかった理由は、なぜ、私の国が、ユウに酷いことをしたのか疑問に思っていたからだ。冒険者学校を退学させて、それも、この大陸から追い出すというのは、やりすぎだ。私を両親の愛情や地位や財産の鳥かごで縛っている神様のことも気になる。ユウに危険が及ぶのを避けたかった。
翌朝、朝練をマリアとしていたら、また、あの青い鳥が来て私に告げた。「今晩迎えに行くが、ついてくるか」と聞かれ、「行きます」と即答した。マリアにその話をすると、マリアは、複雑な顔をしていた。
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