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異世界で、迷子になった
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高1のゴールデンウィーク前、おれたち第二世代は、全員、脳にニューロチップを埋め込まれた。そのため、ホログラムが脳に直接浮かぶ。今では、現実と仮想現実の融合した世界を見ることができる。おれたちは、知識を量子コンピューターに詰め込まれ、空いた時間で、仮想現実世界のゲームに没頭した。
碧の幻獣使い
それは、第三世代へのステップ
召喚獣は、一瞬で答えを出す量子コンピューターのサポートパートナー。そこに優劣はない。だからと言って身体的格差も、いざとなったらサイボーグ化で補えるのだから、体力的格差で、優劣を競うこともない。要は、アイテムと武器とスキル。それらのチューニングがカギで、その、スペックへの反応速度をどれだけ早くすることができるかで、強さがきまる。運営は、脳に直接電極を植えこんでいる第一世代。彼らが言うには、おれたちがこのゲームをしていたら、第三世代にステップアップできるという。どうも、召喚獣には、この先があるみたいなのだ。
おいおいおいおい。ここは、まだ、5階層だぞ。やっとこのスペックに慣れたところなのに、あのボスは、あり得ないだろ。
レイドパーティを組んでいた味方は、おれを残して、全員リタイヤした。こっちは、レベル5。相手は、階層ボスの大蜘蛛、レベル20。こいつは、火、水、風、土の魔法が使える。つまり、ここの階層ボスは、攻撃も防御も回復も移動も、高速で出来る厄介な相手だ。確かにレベル20と言ったら、12人のレイドパーティで、倒せない相手ではない。しかし、すべてが弱いと言っても、ここまでバランス良く調整されていては、攻略の仕様がない。自分たちのレベルを上げないと無理だ。
たった一人になった。
自分は、剣士で鍛冶屋職に就いた。職業柄、みんなのサポートをするために、後衛にいた。だから、こんなことになった。剣士と言っても、ちょっと魔法を欲張ったので、弱々である。たまたま、光と闇の魔法防御が役立って、階層ボスの攻撃を防いでいるが、持ちそうにない。
畜生、最後まであがいてやる
右手で、光の守り、パトーナムを唱え。左手で、闇の重力魔法で攻撃を反発させて、攻撃をいなす。魔力が尽きるまでやったら、少しは、スキルか、レベルが上がるんじゃないかと思って必死に耐えた。
ボスの大蜘蛛が、目の前まで来た。前足を振りかぶっているなと思う。
死ぬ前に、クエストキャンセルだ。ペナルティは貰いたくないぞ
そう、思ったが、両手が塞がっている。これでは、ライトボードを出すことができない。こういうところは、ゲームの仕様として残している。脳からニューロチップに、直接指示できない。
しまったーーー、ええい、全部出しきれ
残りの魔力を全部出し切った。右手がフラッシュして、まばゆく光り、左手がソラリゼーションを起こして黒点化した。そこに流れ込む重力と光。世界は、碧く、碧く輝いた。
「終わった」
おれは、がっくりうなだれた。しかし、ホロデッキに戻らない。
― 警告、ホストコンピュータとのリンクが切れました
「なんだってー。オーバーロードか」
― 至急リセットしてください
「リセットって、こっちは死んでいるんだ。ライトボードは使えないだろ。そっちがするんじゃないのか。だいたい、ニューロチップは、頭の中だぞ。マニュアル操作なんて、できないだろ」
― ニューロチップの注入口に端子をセットしてマニュアルリセットしてください
「おう、なるほどな。で~、ここはどこだ。ホログラムを切ってくれよ。現実だけ見えるようにしてくれないと危ないだろ」
― ホロ映像は、作動していません。警告、至急リセットしてください
おれは、おれたちは、最近、ニューロチップを大量に脳の中に注入され、脳内ネットワークを構築されたばかりだ。ニューロチップは、自分の体温や血流で、永遠に作動する。だが、初期状態なので、自分に埋め込まれたばかりのパーソナル量子コンピューターが、おれの感情を理解していない。理解するには、相応の時間がかかる。コンピューターは、おれが、不安になっているのを察知できなかった。
「まいったな。ここは、どこだ」
― 警告、警告
「分かったよ」
どうも、森の中にいるらしい。森林浴って言うのかな、木の匂いが強い。こんな強い匂いをホロデッキで嗅いだことがない。
「イタッ」
どうやら小枝に、引っかっかったらしい。おれは、自分の指を見て愕然とした。
「血だ!」
これは現実だ。ありえないことだ。どうやらおれは、異世界に迷い込んだようだった。
小さなケガぐらいは、体の中のナノマシンが、すぐ治療してくれるだろう。しかし、帰り道が分からない。おれは、途方に暮れた。
火の国、第5皇女ミランダは、一人、麒麟の森を彷徨っていた。
従者は、私を逃がして、森に倒れた。もう、生きていないかもしれない。でも、ここは麒麟様の森だ。従者が投降していれば、一るの望みはあるだろう。わたしが、投降しても、すぐに殺されることはないだろうが、それは、死より苦しい目にあうことを意味していた。今は、逃げるか、この森に潜んで、敵をやり過ごすかの、どちらかを選択するしかない。
「はあ、はあ、はあ。隠れるって言っても、どうすれば・・・」
私の守護精霊サミルは、魔導士ヨウメイに、汚い手を使われて、監禁されている。逆に言うと、魔力の痕跡を追われることはない。隠れるのは、悪くない案だ。それに、もう、足が動かない。隠れるしかないと思う。それなのに、森にいる風の妖精たちは、奥に進めと囁く。私は小さいころ、この麒麟の森に棲む風の妖精たちと仲良くしていた。それも、使命を与えられた理由の一つだ。
「妖精さんたちの声がもっと聞こえたらいいのに。ごめんなさい、なにを言っているのかわからないの」
がっくりと地面に手をつき、力を抜いた。たまたま目の前にある木の洞に隠れるしかない。
ミランダが逃走したのは、計画的だった。
手引きしてくれたのは、火竜を信奉する同族。逃げるとき、旅人の服を準備してくれたので、軽装だ。本当は、風の国に亡命することになっていた。風の国の王に保護してもらえば、追っては、諦める。私は、火龍王に、これから孵るであろうタマゴが盗まれるとを警告する使命を帯びていた。
私が捕まってしまったら、王子が危ない。精霊様。私をお守りください
私は、この洞に隠れながら、風の妖精と、なんとかコミュュニケーションを取ろうとした。どうやら、この先にいる一風変わった人物の所に、助けを求めろと言っているようだ。大きな木の洞に身を潜めてしばらく経った。今は、樋爪の音が、大量に聞こえる。魔導士ヨウメイが放った追っての魔術師が乗る黒馬の足音だ。敵は、すぐそこまで来ていた。
まさか、ここがばれたの?
私は、体をこわばらせて音をたてないようにした。
カポッ、カポッ
ブヒーン、ぶるぶるぶる
それも、その中の1頭が、洞の近くで立ち止まった。
精霊様・・・
「おい、見ろ。明りだ」
それを聞いた魔術師たちは、ここから立ち去った。
碧の幻獣使い
それは、第三世代へのステップ
召喚獣は、一瞬で答えを出す量子コンピューターのサポートパートナー。そこに優劣はない。だからと言って身体的格差も、いざとなったらサイボーグ化で補えるのだから、体力的格差で、優劣を競うこともない。要は、アイテムと武器とスキル。それらのチューニングがカギで、その、スペックへの反応速度をどれだけ早くすることができるかで、強さがきまる。運営は、脳に直接電極を植えこんでいる第一世代。彼らが言うには、おれたちがこのゲームをしていたら、第三世代にステップアップできるという。どうも、召喚獣には、この先があるみたいなのだ。
おいおいおいおい。ここは、まだ、5階層だぞ。やっとこのスペックに慣れたところなのに、あのボスは、あり得ないだろ。
レイドパーティを組んでいた味方は、おれを残して、全員リタイヤした。こっちは、レベル5。相手は、階層ボスの大蜘蛛、レベル20。こいつは、火、水、風、土の魔法が使える。つまり、ここの階層ボスは、攻撃も防御も回復も移動も、高速で出来る厄介な相手だ。確かにレベル20と言ったら、12人のレイドパーティで、倒せない相手ではない。しかし、すべてが弱いと言っても、ここまでバランス良く調整されていては、攻略の仕様がない。自分たちのレベルを上げないと無理だ。
たった一人になった。
自分は、剣士で鍛冶屋職に就いた。職業柄、みんなのサポートをするために、後衛にいた。だから、こんなことになった。剣士と言っても、ちょっと魔法を欲張ったので、弱々である。たまたま、光と闇の魔法防御が役立って、階層ボスの攻撃を防いでいるが、持ちそうにない。
畜生、最後まであがいてやる
右手で、光の守り、パトーナムを唱え。左手で、闇の重力魔法で攻撃を反発させて、攻撃をいなす。魔力が尽きるまでやったら、少しは、スキルか、レベルが上がるんじゃないかと思って必死に耐えた。
ボスの大蜘蛛が、目の前まで来た。前足を振りかぶっているなと思う。
死ぬ前に、クエストキャンセルだ。ペナルティは貰いたくないぞ
そう、思ったが、両手が塞がっている。これでは、ライトボードを出すことができない。こういうところは、ゲームの仕様として残している。脳からニューロチップに、直接指示できない。
しまったーーー、ええい、全部出しきれ
残りの魔力を全部出し切った。右手がフラッシュして、まばゆく光り、左手がソラリゼーションを起こして黒点化した。そこに流れ込む重力と光。世界は、碧く、碧く輝いた。
「終わった」
おれは、がっくりうなだれた。しかし、ホロデッキに戻らない。
― 警告、ホストコンピュータとのリンクが切れました
「なんだってー。オーバーロードか」
― 至急リセットしてください
「リセットって、こっちは死んでいるんだ。ライトボードは使えないだろ。そっちがするんじゃないのか。だいたい、ニューロチップは、頭の中だぞ。マニュアル操作なんて、できないだろ」
― ニューロチップの注入口に端子をセットしてマニュアルリセットしてください
「おう、なるほどな。で~、ここはどこだ。ホログラムを切ってくれよ。現実だけ見えるようにしてくれないと危ないだろ」
― ホロ映像は、作動していません。警告、至急リセットしてください
おれは、おれたちは、最近、ニューロチップを大量に脳の中に注入され、脳内ネットワークを構築されたばかりだ。ニューロチップは、自分の体温や血流で、永遠に作動する。だが、初期状態なので、自分に埋め込まれたばかりのパーソナル量子コンピューターが、おれの感情を理解していない。理解するには、相応の時間がかかる。コンピューターは、おれが、不安になっているのを察知できなかった。
「まいったな。ここは、どこだ」
― 警告、警告
「分かったよ」
どうも、森の中にいるらしい。森林浴って言うのかな、木の匂いが強い。こんな強い匂いをホロデッキで嗅いだことがない。
「イタッ」
どうやら小枝に、引っかっかったらしい。おれは、自分の指を見て愕然とした。
「血だ!」
これは現実だ。ありえないことだ。どうやらおれは、異世界に迷い込んだようだった。
小さなケガぐらいは、体の中のナノマシンが、すぐ治療してくれるだろう。しかし、帰り道が分からない。おれは、途方に暮れた。
火の国、第5皇女ミランダは、一人、麒麟の森を彷徨っていた。
従者は、私を逃がして、森に倒れた。もう、生きていないかもしれない。でも、ここは麒麟様の森だ。従者が投降していれば、一るの望みはあるだろう。わたしが、投降しても、すぐに殺されることはないだろうが、それは、死より苦しい目にあうことを意味していた。今は、逃げるか、この森に潜んで、敵をやり過ごすかの、どちらかを選択するしかない。
「はあ、はあ、はあ。隠れるって言っても、どうすれば・・・」
私の守護精霊サミルは、魔導士ヨウメイに、汚い手を使われて、監禁されている。逆に言うと、魔力の痕跡を追われることはない。隠れるのは、悪くない案だ。それに、もう、足が動かない。隠れるしかないと思う。それなのに、森にいる風の妖精たちは、奥に進めと囁く。私は小さいころ、この麒麟の森に棲む風の妖精たちと仲良くしていた。それも、使命を与えられた理由の一つだ。
「妖精さんたちの声がもっと聞こえたらいいのに。ごめんなさい、なにを言っているのかわからないの」
がっくりと地面に手をつき、力を抜いた。たまたま目の前にある木の洞に隠れるしかない。
ミランダが逃走したのは、計画的だった。
手引きしてくれたのは、火竜を信奉する同族。逃げるとき、旅人の服を準備してくれたので、軽装だ。本当は、風の国に亡命することになっていた。風の国の王に保護してもらえば、追っては、諦める。私は、火龍王に、これから孵るであろうタマゴが盗まれるとを警告する使命を帯びていた。
私が捕まってしまったら、王子が危ない。精霊様。私をお守りください
私は、この洞に隠れながら、風の妖精と、なんとかコミュュニケーションを取ろうとした。どうやら、この先にいる一風変わった人物の所に、助けを求めろと言っているようだ。大きな木の洞に身を潜めてしばらく経った。今は、樋爪の音が、大量に聞こえる。魔導士ヨウメイが放った追っての魔術師が乗る黒馬の足音だ。敵は、すぐそこまで来ていた。
まさか、ここがばれたの?
私は、体をこわばらせて音をたてないようにした。
カポッ、カポッ
ブヒーン、ぶるぶるぶる
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