碧の幻獣使い

星村直樹

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巨乳は正義

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 明草ヒロは、コンピューターから、サバイバルの知識を学んでいた。

「とにかく寒いし、お腹減った。火は起こしたけど、次は、食いもんだ」

― ヒロ、火が焚けて良かった。もうちょっとで、夜行生物の餌だったな

「お前なー、なんかもっと言い方があるだろ。学校のコンピューターの方が、話し方を知ってるぞ」

― それは仕方ない。私は、ヒロ専用だ。主人に似る

「増々失礼な奴だな」

 そこに、大量の蹄の音。5頭の黒馬が、ヒロと焚き火を囲んだ。

「わーー、人だ。たすかったー」
 なんか、悪そうな感じの黒づくめの人達が来た。だけど、人がいるというだけで嬉しくなった。

「ユア、ナウガ?」〔お前、ここで何してる〕

「???。コンピューター、この人達なんて言った」
― 地球上にない言語です
「まいったな。でも、諦めきらめないぞ」

 おれは、焚き火を指して、何とか食べ物を恵んでもらおうとした。

「おれは、ヒロ。焚き火をしてた。でも、お腹すいた。なんかないか」
 なんでか、片言の日本語になる。でも必死だ。火を指さし、お腹をへこめて嘆願した。


「ナウナ、ゲン」〔なんて言ってる}
「ヨア?」〔さあ?〕

「ユア、ミランダ、ナオガ」〔貴様、ミランダを見なかったか〕

 何、言っているか分からないぞー。ええい
「お腹減った。食い物、くれ」

 向こうが、片言っぽい発音をするから、よけい、こっちまで片言的な話し方になる。


「クア、イボヒト」〔異邦人だな〕
「ホウガ、ギガ」〔服も違う〕
「メシ、ゲガンガ」〔飯を恵んでほしいんじゃないか〕
「フェシ、メガガ」〔干し肉を恵んでやれ〕
「オオバン、オトオ」〔とんだ遠回りだ〕
「ヤレヤレ」

 魔術師たちは、麒麟の森で、争いをするのは、危険だと知っている。ここは、幻獣の縄張りだ。

「オホ、フェシダ」〔ほら、干し肉だ〕

「ありがとうございます。聞いたかコンピューター。おれの気持ちが伝わったぞ」
― 面倒を避けただけ
 このやろ

 おれは、この、一見悪そうに見えるが、親切な人たちに頭を下げて見送った。そして、手元に残った干し肉を見た。

「どうだ、食っても大丈夫そうか」
― 問題ない。ヒロなら、問題ない
「なんか、引っかかるな。まあいいか、朝飯用と分けて食べよ。それにしても、町はどっちかって聞けばよかった」
― 無理、無理

 今度は、コンピューターの突っ込みを無視して干し肉にぱくついた。すごく硬い。だから、火にあぶってから食べることにした。コンピューターが、夜行生物が寄ってくると警告したが、知ったことか。

 ガサッ

「うわっ、夜行生物か!」
― そら、見たことか


 そこには、中世を舞台にしたRPGの世界で言う旅人の恰好をした少女がいた。おれは、一目で、この子を女の子だと見抜いた。理由は、胸が大きかった。

「きみ、旅人だろ。親とはぐれたのか。焚き火に当たるかい」

 旅人の女の子は、驚いた顔をしていたが、なんだか、諦めきれないという感じで自分が持っている、干し肉を指さした。とてもわかる話だ。

「これかい。仕方ない。町の場所も聞きたいし。あげるよ」
 そう言って、朝食用の干し肉を差し出した。おれは、この子が、明りの前に来た時に、息をのんだ。小さいから少女だと思ったが、頭が小さいので、8頭身。見事なプロポーションをしている。美人だ。巨乳なうえに美人だ。多分この子は、同い年だろうと直感した。

「フェシ、セア、アダル」

「ごめんな、言葉が分からないんだ。でも、フェシは、干し肉だろ。憶えたぞ」
― ヒロ、未知の言語を習得しろ
「どうやって」
― まず、自分を指さして名前を名乗れ。そして、君は?と、聞き返せ。それから、フェシを指さして、それをちゃんと発音した後、とりあえず片っ端から、指さして、名詞を聞け。私が口の形から発する音を記憶する
「なるほど」

 しばらくして、本当に片言を話せるようになった。こいつ、馬鹿かと思ったが、やっぱ、量子コンピューターってすげえ。最初は、ほとんどボディランゲージのオーバーアクションだったけどな。とりあえず、さっきの黒ずくめが、ミランダと発音していたので、仲間が探していたと伝えた。馬の形を手を広げて、表現したり、馬上の人が5人いたことを指示したりして、大変だったが、コミュニケーションが進んだ。

「君は、ミランダだろ。さっき、馬に乗った人が探していたぞ。あっちに向かった」

「それは、ゴグよ」〔敵よ〕

― 表情や口の形から察すると、敵だな

「すまん、事情を聴きたいけど、話が複雑そうだから無理だ。また聞くよ」
― 聞いてやりな。我々の安全にもかかわる
「でも、干し肉をくれたぞ」

 おれは干し肉を指さして、「これは、敵にもらった」と話した。

「わるい人じゃないだろ」

「それは、ここが殺生をしてはいけない森だからよ。麒麟様が怒るからよ」

「麒麟って、幻獣のあれか」
― データー不足。確認してくれ
「どうやったら会える」

「風の精霊に頼んだら会えるわ」

「ミランダの周りをまわっている奴らだな。コンピューター。彼らの言語も学習してくれ」
― 了解

「見えるの?」

「これだけ、緑や空色に光ってりゃあ見えるだろ」

「私には、ちゃんと見えない。もしかしたら、私と話ができるようになったのと同じで、この子たちとも話せるようになるの」

「おうよ。多分な。手伝ってくれ」

 そこからは、難航した。妖精の声は、聞き取れるのだが、音が高すぎて話せない。結局、相手が、低い音も聞き取れるとがわかってコミュニケーションできるようになった。そうしている間に、ミランダの事情は、だいたい聞くことができた。


「それじゃあ何かい。この世界には、いろんな種族の知的生物がたくさんいるってことか」

「そうよ。世界のパワーバランスを保っているのは、4大竜よ。もし、火龍王様のタマゴが盗まれたら、火龍王様は、他の竜のテリトリーも探そうとするわ。そうなったら、戦争になる。だから私は、それを警告しに龍王城に向かっている途中なのよ」


― だいたい、解析終わり
「お前。コンピューターのくせに、適当だな」
― 量子コンピューターの講義を後でしてやるから待ってろ。おれ等は計算というより確率で判断するんだ
「へえへえ。さてと、おちびちゃんたち。ミランダを守っていたんだろ。偉いじゃないか」

「麒麟様がね。守れって」
「風の妖精王もだよ」

「麒麟様に会えるかな」

「もう朝でしょ、無理」

 なんだか、すごい数の風の妖精に、周りを飛ばれた。彼らは、緑色や空色に光っていて、見ている分にはとても綺麗だ。

「じゃあ、今度でいいか。それで、どっちが悪者なんだ。だいたいわかるけど一応聞かせてくれ」

「見てわからないの。黒い馬に乗ってた奴らに決まってるでしょ」
「ミランダの胸を見なよ。巨乳は正義さ」

 髪がとがっている妖精が自慢そうに話す。妖精もそれが基準か。さすがに、ここには、女の子の妖精もいるので、そいつ、ぼこぼこにされていた。

「分かった。分かったから、もう、許してやりなよ」
 おれは、ミランダに振り向いた。
「ミランダは、火龍王の所に行くんだろ。おれも、ついて行っていいか。とりあえず家に帰れそうにないんだ。人が住んでいるところに行きたい」

「ついて来てくれるの!」

「実際、そうするしかないんだよ。頼むよ」

 美人に嬉しそうな顔をされると照れる。コンピューターは、危険危険と、言っていたが まあ、巨乳は正義でしょう。とりあえず、寝れる場所を求めて、ミランダについて行くことになった。
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