4 / 24
死後8分
しおりを挟む
「ヒロ、ヒロ」
「ヒロ、ヒロ!」
「なんだ、朝っぱらから」
風の妖精たちが、騒々しく騒いでいるので、目が覚めてしまった。
「もう、お昼だよ。でも、それどころじゃない。ミランダがいないんだ」
「まだ、黒馬がうろついているかもしれないのに?・・」
「そうだね、こっちの方に向かってたもんね」
「なんだって、みんなも寝てたのか」
「夜通しだったから、ごめんなさい」
「おれに謝っても仕方ないだろ。探しに行くぞ。おれは、母屋に行く。みんなも手分けしろ」
パーッと妖精たちが散った。
「コンピューター、サーチできるか」
― さっきの妖精たちに、ニューロチップを埋め込んでおくべきだったか?サーチ範囲が広がる
「おまえな、さっきの新たなパーソナルリアリティ獲得の話は、忘れろ。なんにでも増殖しようとすんな」
― じゃあ、碧の幻獣使いのレベルをあげようぜ。その方が早い
「それは賛成だが、それよりミランダだ。何やってんだか知らないが母屋だろ。母屋に行くぞ」
しかし、この家のおかみさんは、ミランダを見なかったという。変だなと思って、玄関を出て見下ろすと、おびただしい、樋爪の後。
戦慄が走った
― なんか、やばくないか
おれは振り返って、おかみさんに聞いた。
「おかみさん。さっき、黒ずくめの男が訪ねてこなかったか」
「来たよ。なんか、女の子を探していたみたいだったけど、あんたらは、夫婦だろ。知らないって言ったら、出て行ったさ」
魔術師だ
「なら、いいんだ、ありがとう」
「さっき騒いでいたし。なんか、嫌味ったらしい感じのやつだったけど、知り合いかい」
「違うけど、そりゃあ多分、火の国の魔術師だ。関わらん方がいいぞ」
「お前さんたちもね」
樋爪の後を追って、麒麟の森に走った。いやな予感がする。その時、森に向かっていた妖精が、泣きながら、おれの額にぶつかって来た。
「ミランダが・・、ミランダが死んでる」
「バカ、泣くな。おれをそこに連れて行け」
「うん」
おれが走る方向に、続々と風の妖精が集まってくる。ただ事ならない雰囲気におれは、今まで、出したことがないスピードで、森に走った。
「あそこだよ」
「ミランダ!!」
ミランダは、長い髪の毛を焼かれ、服が水浸しで、ぼろぼろだった。多分、火で焼かれ、そこを水鉄砲で止めを刺されたんだ。
「ミランダ、目を開けろ」
― ヒロ、死後8分だ。あきらめろ
妖精たちが、ガーーーーと、ミランダに集まって、癒しの波動を送っている。それは、緑の粒子で、ミランダの全身を光らせた。
― 無理だ。死んだ人間に癒しは効かない
「ちょっと待て、死後8分って言わなかったか。10分経っていない。脳壊死は、始まったばかりだよな」
― そうだけど、・・・分かった。パーソナルリアリティの構築だろ。でも、期待するな。それに、ヒロの血を大量に投入しなければいけない。命がけだぞ
「血液の総移植か」
― 相手は、異界人だ。こちらの成分にできるだけ、合わせるしかない
「やってくれ、この脇腹の、えぐれた部分から血を注入しよう」
― そうだな、廃血は、肛門からにしてやろう脱がせてくれ
「おれがか」
― 他に誰がいる。私は、保全モードに入るぞ
コンピューターが保全モードになった。
― 身体損傷率5%、蘇生を開始します。ブブー、脳壊死進行度6%緊急を要します
「お前ら、きばって癒しの波動を流せ。助けるぞ」
― 明草ヒロ。造血モードに入りました
― 被験者ミランダ、IPS細胞構築、脳の壊死した神経シナプス再構築。運動野、視覚野聴覚野に、既存の動作プログラム注入。記憶野、問題ありません
既存のプログラムとは、ヒロの状態がベースだということだ。
「そうか、良かった。じゃあ、今までのミランダの意識のまま蘇生出来るぞ」
蘇生という言葉に反応して「うん」と、頷く妖精たち。
― 心臓、動かす準備、整いました。ヒロ、生体電気を流してください
「おれ、そんなことできるのか。いや、やるしかないか」
お尻から排出された大量の血が、ミランダの腰当りに溜まり、それでも収まりきらず流れ出した。
― カウント数えます。1,2,3 もう一度、1,2,3.電流上げてください。カウント数えます。1,2,3.。。成功。脳に、血流いきわたりだしました。危機を脱出。次、体の再生に入ります。精霊の癒しの波動、効果あり。血液の注入停止します。
「やったか。みんな、やったぞ」
妖精たちは、涙を流しながら喜んだ。だからと言って、癒しの波動をなかなか止めようとしない。
― ヒロ、妖精さんたち。休んでください。保全モード終了
コンピューターもニューロチップをミランダに渡せるだけ渡して、休眠モードに入った。これから、ヒロの脳内ネットワークを再構築する。ミランダの記憶野が正常だったため、ミランダの体内では、碧の幻獣使いの召喚獣モードが、記憶野のニューロチップを核に、急速に構築されていった。
「ちょっと、血を流し過ぎたか。頭が、くらくらする」
おれは、そのまま、ミランダの横に寝転がった。
「ヒロ、ヒロ!」
「なんだ、朝っぱらから」
風の妖精たちが、騒々しく騒いでいるので、目が覚めてしまった。
「もう、お昼だよ。でも、それどころじゃない。ミランダがいないんだ」
「まだ、黒馬がうろついているかもしれないのに?・・」
「そうだね、こっちの方に向かってたもんね」
「なんだって、みんなも寝てたのか」
「夜通しだったから、ごめんなさい」
「おれに謝っても仕方ないだろ。探しに行くぞ。おれは、母屋に行く。みんなも手分けしろ」
パーッと妖精たちが散った。
「コンピューター、サーチできるか」
― さっきの妖精たちに、ニューロチップを埋め込んでおくべきだったか?サーチ範囲が広がる
「おまえな、さっきの新たなパーソナルリアリティ獲得の話は、忘れろ。なんにでも増殖しようとすんな」
― じゃあ、碧の幻獣使いのレベルをあげようぜ。その方が早い
「それは賛成だが、それよりミランダだ。何やってんだか知らないが母屋だろ。母屋に行くぞ」
しかし、この家のおかみさんは、ミランダを見なかったという。変だなと思って、玄関を出て見下ろすと、おびただしい、樋爪の後。
戦慄が走った
― なんか、やばくないか
おれは振り返って、おかみさんに聞いた。
「おかみさん。さっき、黒ずくめの男が訪ねてこなかったか」
「来たよ。なんか、女の子を探していたみたいだったけど、あんたらは、夫婦だろ。知らないって言ったら、出て行ったさ」
魔術師だ
「なら、いいんだ、ありがとう」
「さっき騒いでいたし。なんか、嫌味ったらしい感じのやつだったけど、知り合いかい」
「違うけど、そりゃあ多分、火の国の魔術師だ。関わらん方がいいぞ」
「お前さんたちもね」
樋爪の後を追って、麒麟の森に走った。いやな予感がする。その時、森に向かっていた妖精が、泣きながら、おれの額にぶつかって来た。
「ミランダが・・、ミランダが死んでる」
「バカ、泣くな。おれをそこに連れて行け」
「うん」
おれが走る方向に、続々と風の妖精が集まってくる。ただ事ならない雰囲気におれは、今まで、出したことがないスピードで、森に走った。
「あそこだよ」
「ミランダ!!」
ミランダは、長い髪の毛を焼かれ、服が水浸しで、ぼろぼろだった。多分、火で焼かれ、そこを水鉄砲で止めを刺されたんだ。
「ミランダ、目を開けろ」
― ヒロ、死後8分だ。あきらめろ
妖精たちが、ガーーーーと、ミランダに集まって、癒しの波動を送っている。それは、緑の粒子で、ミランダの全身を光らせた。
― 無理だ。死んだ人間に癒しは効かない
「ちょっと待て、死後8分って言わなかったか。10分経っていない。脳壊死は、始まったばかりだよな」
― そうだけど、・・・分かった。パーソナルリアリティの構築だろ。でも、期待するな。それに、ヒロの血を大量に投入しなければいけない。命がけだぞ
「血液の総移植か」
― 相手は、異界人だ。こちらの成分にできるだけ、合わせるしかない
「やってくれ、この脇腹の、えぐれた部分から血を注入しよう」
― そうだな、廃血は、肛門からにしてやろう脱がせてくれ
「おれがか」
― 他に誰がいる。私は、保全モードに入るぞ
コンピューターが保全モードになった。
― 身体損傷率5%、蘇生を開始します。ブブー、脳壊死進行度6%緊急を要します
「お前ら、きばって癒しの波動を流せ。助けるぞ」
― 明草ヒロ。造血モードに入りました
― 被験者ミランダ、IPS細胞構築、脳の壊死した神経シナプス再構築。運動野、視覚野聴覚野に、既存の動作プログラム注入。記憶野、問題ありません
既存のプログラムとは、ヒロの状態がベースだということだ。
「そうか、良かった。じゃあ、今までのミランダの意識のまま蘇生出来るぞ」
蘇生という言葉に反応して「うん」と、頷く妖精たち。
― 心臓、動かす準備、整いました。ヒロ、生体電気を流してください
「おれ、そんなことできるのか。いや、やるしかないか」
お尻から排出された大量の血が、ミランダの腰当りに溜まり、それでも収まりきらず流れ出した。
― カウント数えます。1,2,3 もう一度、1,2,3.電流上げてください。カウント数えます。1,2,3.。。成功。脳に、血流いきわたりだしました。危機を脱出。次、体の再生に入ります。精霊の癒しの波動、効果あり。血液の注入停止します。
「やったか。みんな、やったぞ」
妖精たちは、涙を流しながら喜んだ。だからと言って、癒しの波動をなかなか止めようとしない。
― ヒロ、妖精さんたち。休んでください。保全モード終了
コンピューターもニューロチップをミランダに渡せるだけ渡して、休眠モードに入った。これから、ヒロの脳内ネットワークを再構築する。ミランダの記憶野が正常だったため、ミランダの体内では、碧の幻獣使いの召喚獣モードが、記憶野のニューロチップを核に、急速に構築されていった。
「ちょっと、血を流し過ぎたか。頭が、くらくらする」
おれは、そのまま、ミランダの横に寝転がった。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます
山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。
でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。
それを証明すれば断罪回避できるはず。
幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。
チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。
処刑5秒前だから、今すぐに!
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる