碧の幻獣使い

星村直樹

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風の女王フルーレ

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 城の門は開かれており、ファンファーレが鳴り響く。花吹雪が舞い散り、池の周りは、花畑へと変貌した。

 城の中から、美しいドレスを来た妖精が、花びらの籠を持って、ミランダや、ついでにおれに投げかける。ミランダは昨夜、自分のことを竜人の血を引き継げなかった半端者だと卑下していたが、妖精の人気を見るに、何か持っていると直感した。その感情は、最近レスポンスの良くなったコンピューターにも伝わった。

― どうだい、この人気
 お前のじゃないだろ
― でも嬉しくないか
 そうだよな、風って言ったら昨日からずっと妖精たちの癒しの技を見ていただろ。火は、攻撃だよな。ミランダの適性を根本から見直してみろよ
― どうかな、火竜の召喚獣ってかっこよくないか
 そりゃあ、捨てがたい
― でも、気にしとく


 城の中からメイドが、たくさん出てきた。その中でも一回り大きなメイド長が、ミランダを歓迎した。更にその後ろには、執事たちが控えている。おれは、従者みたいなものだろうから、門に着いてすかさず、ミランダの後ろに付いた。ここからは、レディファーストだ。

「ようこそ、常春の城へ。ミランダ様、どうぞ中へ。執事長のクロイが、ご案内いたします」
「どうぞこちらへ」
 執事長が飛び上がり、ミランダをエスコートした。

「お付きも一緒に入るのよ」
「分かってるよ、ユウ。パグーたちも来るんだろ」
「ぼくたちは、迎賓門までだよ。ヒロは、そのままミランダの後について行ってよ」
「了解」

 さすが火の国の姫。気品が違う。
― ヒロ。たぶん様式は、中世のそれと一緒だ。だけど、ミランダが妖精王の前行って、挨拶が始まってもひざまづくな
 まずくないか
― いいんだ。自分は、ミランダの騎士だと宣伝しとけ。帯剣しているし、大丈夫だ。ミランダが、ひざま付いてって言ったら、そうしろ
 了解
 おれは、大人しくしていることにした。


 王の間は、見上げるぐらい天井が高く、人が使っていると言われてもそん色ない広さだ。妖精の大きさは、15センチから20センチ。この城が、とても広大な城だとわかる。




 ミランダは、妖精たちが鮮明に見えるようになったので、懐かしそうに、城にいっぱいいる風の妖精たちを眺めた。

 大人になって妖精さんたちがぼんやりしか見えなくなる前は、こんな感じだったな。いっつも私の守護精霊のサミルと喧嘩してたエイブラハムは元気かな。また会えるといいな。

「ミランダ姫のおなーりー」

 奥に見た顔の妖精がいた。
 あれってエイブラハムよね。王様になるタイプじゃなかったと思ったけど

 エイブラハムは、王の座から飛び降りて、ミランダに駆け寄ろうとしたが、妃に王の服の裾を踏まれてずっこけた。

「ミ、ミランダ。久しぶり」

 クスッ、相変わらずね
「エイブラハム様、お久しぶりです。あっ、フルーレ女王陛下。ご結婚されたのですね」

「夫が、軽い人でしょう。楽しいのですが、苦労しています。久しぶりですね、ミランダ。私の宿題は、解けましたか」

「あれから、随分図書館に通いました。ですが、なぜ、エルフが、この星から消えたのか、記述を見つけることはできませんでした」

「では、8年ぶりにヒントを差し上げましょう。図書館は、人の世界だけとは限りません」

「教えてあげなよフルーレ。ミランダは、もう、大人だよ。約束しただろ。それに、昨日、ミランダは、死にそうになったんだぞ」

「実際、10分近く、死んでいたそうです」

「仕方ありません。竜族は、私たちと同じぐらい古い種族です。彼らの中に、生きた図書館がいます。そこで、事実を知りなさい」

「ミランダは、エルフの生まれ変わりだよ。だから、ぼくたちが見えるんだ。無理して、サミルに鍛えられることはなかったんだ」

「詳しい話は、水竜族に求めてください。とにかく、歓迎します。ようこそ、常春の城へ。風竜のシップウを待たせています。ここで準備して、至急、旅立つのです」

 フルーレ女王は、ニコッと笑って、ミランダを歓迎した。

「それで、後ろの騎士は誰だい。弱そうだけど」

「ヒロよ。私の命を救ってくれたのよ」

「そりゃあ、ありがとう」
「鵺に聞きました。光と闇の精霊だそうですね」

 ヒロが、ぺこっと頭を下げた。

「ヒロは、人間ではないのですか」

「人よ。でも、新たな力を得ています。それも、この世界には、無い力をです。鵺も祝福の光を使えますけど、鵺は、この世界にだけ存在しているわけではありません。ですから、この世界の生き物とは、定義できません。ヒロ、お話があります。私と来てください。エイブラハム、後は、好きにしていいわよ」

「やった。フルーレ好きだ」
「知ってます」
「ミランダ、旅の準備をしよう。ここは、元、エルフの居城だったんだ。奥の宝物庫に、エルフの戦闘服がある。多分、合うのがあると思うよ。今着ている服は、ここに置いて行っていい。だから、必ず、ここに戻ってくるんだよ」

「私たちは、別室で話しましょう。その前に、ここで、祝福の光を見せてくれますか」

「ヒロ?」
「分かりました。ごめんミランダ、王様の方に行ってくれるかな」
「うん」

 ヒロは、左腕に盾を持って掲げるような姿勢になった。
「パトーナム」

 ヒロにとっては、守りの光だ。モンスターは、この光を嫌う。そして、実際、盾の役目もする。ヒロは、レベル9になって、少し強くなったパトーナムを出した。
 ヒロの腕を中心に光の盾が現れた。この光の盾から発せられる光は、風の妖精にとって、祝福の光となる。ヌエが全方向に発するのとは違って、ヒロのは、前面を照らす光だ。女王側にいた妖精は、皆、力を得た。

 コンピューター、ヒロって、魔法が使えたの?
― 一昨日からだ。使えるって認識したのは、昨日だけどな。昨夜、鵺に会ったんだ。そこで、パグーと、ユウが、急に結婚するって言いだしたんだ。それで、鵺に祝福してもらった。その光と、ヒロのパトーナムが同じだったんだよ。パトーナムは、守りの光だよ。妖精に、こんな効果があるなんて思わなかった

「ウオーー、力がわいてくる。ミランダ、すごい騎士を連れてるな」
「そうかも」
 ドキドキする。あの光の性かな

 フルーレ女王は、ミランダの様子を見てニコッとした。
「では、ヒロ。行きましょう」

 コンピューター。私も、あんな光を出せるのかな

― 出せると思うぞ。ミランダは、ヒロのサポートパートナだ。戦闘時には、幻獣になる。それを召喚獣と言うんだ。ずっと、火竜の召喚獣だと思っていたけど、エルフの召喚獣になるんなら、パトーナムを使えるぞ

 私、パトーナムを使いたい

― 家の方はいいのか

 エルフは、滅びた種族よ。それを復興できるのなら、そうなりたい。私、ずいぶんエルフのことを調べたのよ。私がエルフになると、私の家は、火竜とのつながりが、無くなるかもしれない。でも、火の国には、竜人になれる家が幾つもあるわ。お父様もお母様も分かってくれる

― わかった。プログラムを再構築する

「ミランダ、我らも行くぞ」

 ミランダは、新たな希望に胸を膨らませた。
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