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エピソード16 魔王と円卓の勇士たち
聖女と照り焼きバーガーと拒絶
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「まあ……そういう重ったるい話は置いといて」
と、イータツの言葉に気まずげな顔をするエラルティスに助け舟を出したのは、マッツコーだった。
彼は、にこやかな笑みを浮かべながら、ふたつの照り焼きバーガーが載った皿をエラルティスに差し出す。
「とりあえず、これでもお食べなさいな。姫ちゃんズとワタシが一生懸命作った自信作なのよぉん」
「おい、マッツコー! ワシも入れろ!」
「おハゲちゃんは火力調整係で、直接作ってはないじゃない」
「な、なっ? か、火力調整だって、料理を作る上で大切な要素ではないかぁっ!」
「でも、直接手を加えてない以上、『料理を作った』とは言えないんじゃないかしらん? 包丁と同じでしょ」
「わ、ワシャ道具扱いかッ?」
「……というか」
口論をし始めたマッツコーとイータツの事をジト目で見ながら、エラルティスは疑問の声を上げた。
「そもそも、なんで貴方達が自由の身で料理を作ってるのか分からないんですけど」
そう言うと、彼女は訝しげに首を傾げる。
「だって……一応は主君……飼い主である魔王に弓を引いた大罪人でしょ、貴方達。特に、貴方はウキウキでゾンビをけしかけていたじゃないですの。なのに、どうして獄に繋がれる事も無く……?」
「うふふ、そりゃね……」
エラルティスの疑問に、マッツコーはニヤリと笑った。
そして、大皿から照り焼きバーガーをひとつ取りながら、彼女の問いに答える。
「そもそもワタシは罪を犯してないから……正確に言えば、罪を犯していない事になったからよぉん」
「……犯していない事になった? それってどういう――」
「確かに、ワタシは昨日、雷王ちゃんを殺しちゃおうとしたわよん。――アナザー姫ちゃんの命令に従ってねぇん」
「あぁ……そういう事ですか」
マッツコーの答えに潜む言外の意味を察したエラルティスは、露骨に眉を顰めながら肩を竦めた。
「つまり……貴方を反逆罪で罰しようとしたら、必然的に魔王の娘も同じ罪に問わざるを得なくなる。……だから、反逆の事実自体を無かった事にした……と」
「そゆコト♪」
エラルティスの言葉に、マッツコーは照り焼きバーガーの包み紙を剥がしながら、片目を瞑ってみせる。
「もし、今回の事を反逆罪にしたら、従犯のワタシより主犯のアナザー姫ちゃんの方がより重罪に問われるから、雷王ちゃん的には何が何でも避けたいところよねぇん」
彼はそう言うと、手にしていた照り焼きバーガーを一口頬張り、「やだ、おいし~♪」と黄色い歓声を上げた。
「……って事で、ワタシは元気に美味しいごはんを食べられるってワ・ケ」
「随分と適当な……まあ、別にわらわにはどうでもいい事ですけどね」
マッツコーにジト目を向けながら、呆れ声を漏らしたエラルティス。
そんな彼女の前に、再びマッツコーは照り焼きバーガーが載った皿を差し出した。
「じゃあ、無事疑問も解けたところで、おひとつ……おふたつドーゾ♪」
「結構ですわ」
マッツコーの勧めに、エラルティスは取り付く島もない態度で断る。
「魔族が作った食べ物なんて、とても食べる気にはなれませんわ」
……だが、その時、
エラルティスの腹のあたりから“ぐるる……”という音が鳴った。
その音を耳聡く聞き取ったマッツコーが、ニヤリと笑う。
「あらぁ? でも、おなかはそう言ってないみたいよん?」
「ち、違いますわよッ!」
マッツコーのツッコミに、エラルティスは顔を真っ赤にしながら声を荒げた。
「い、今のは、決しておなかが空いたって訳じゃなくって……あ、アレですわよ、アレ!」
――“ぐるるるる……”
「……っ!」
「うふふ、おなかの方は正直みたいねぇん。『早く食べたいぃ!』って叫んでるわよぉん」
「そ、そんな事な――もがぐぐっ!」
頑強に否定しようとしたエラルティスの声は、途中でくぐもった悲鳴に変わる。ニヤニヤ笑いを浮かべたマッツコーが、エラルティスが大きく口を開いたタイミングを見計らって、その口にサリア作の肉餅挟み込みパンをねじ込んだからだ。
「こっちは姫ちゃんの方の肉餅挟み込みパンよん♪ 遠慮しないで食べてぇん」
「も、もががががむぐぐ……!」
口の中いっぱいに肉餅挟み込みパンを詰め込まれたエラルティスは、怒りと苦しみで顔を歪めながら必死で抗う。
……が、
「もがが……もが……もぐ……もぐ……」
もがきながら口を動かしているうちに、だんだんと彼女の表情が変わってきた。
そして、ごくんと喉を鳴らして口の中のバンズとパテを吞み込むと、うっとりとした表情を浮かべる。
「こ……これは……意外と悪くない……っていうか、おい……」
無意識に『美味しい』と漏らしかけたエラルティスだったが、そこでハッと我に返った。
たちまち彼女の頬は真っ赤に染まり、千切れんばかりに激しく頭を振る。
「い、いえ! ち、違いますわよっ! 今のは、決してこの“肉餅何とか何とか”がスパイシーで美味しかったって訳じゃなくって……おい……おい……ええと、おい――むぎゅ」
「うふふ、無理しないでいいってば」
必死に弁解しようとするエラルティスのソースまみれになった口元をナプキンで拭きながら、マッツコーは微笑んだ。
そして、取り皿の上に残っていたツカサ作の照り焼きバーガーを手に取り、バツが悪そうな顔をしているエラルティスに勧める。
「まだおなかいっぱいじゃないでしょ? もうひとついかがかしら? こっちはアナザー姫ちゃんが作った方で、姫ちゃんの方よりもスパイシーで辛味が強い感じだけどね。でも、“まよねえず”っていう異世界のソースで味がまろやかになってるから美味しいのよん」
「う……」
マッツコーの言葉に、エラルティスは一瞬迷うような素振りを見せた――が、
「し、仕方ないですわね……。た、食べてあげますから、感謝なさいな……」
そう憎まれ口を叩きながら、差し出された照り焼きバーガーをしっかりと受け取ったのだった……。
と、イータツの言葉に気まずげな顔をするエラルティスに助け舟を出したのは、マッツコーだった。
彼は、にこやかな笑みを浮かべながら、ふたつの照り焼きバーガーが載った皿をエラルティスに差し出す。
「とりあえず、これでもお食べなさいな。姫ちゃんズとワタシが一生懸命作った自信作なのよぉん」
「おい、マッツコー! ワシも入れろ!」
「おハゲちゃんは火力調整係で、直接作ってはないじゃない」
「な、なっ? か、火力調整だって、料理を作る上で大切な要素ではないかぁっ!」
「でも、直接手を加えてない以上、『料理を作った』とは言えないんじゃないかしらん? 包丁と同じでしょ」
「わ、ワシャ道具扱いかッ?」
「……というか」
口論をし始めたマッツコーとイータツの事をジト目で見ながら、エラルティスは疑問の声を上げた。
「そもそも、なんで貴方達が自由の身で料理を作ってるのか分からないんですけど」
そう言うと、彼女は訝しげに首を傾げる。
「だって……一応は主君……飼い主である魔王に弓を引いた大罪人でしょ、貴方達。特に、貴方はウキウキでゾンビをけしかけていたじゃないですの。なのに、どうして獄に繋がれる事も無く……?」
「うふふ、そりゃね……」
エラルティスの疑問に、マッツコーはニヤリと笑った。
そして、大皿から照り焼きバーガーをひとつ取りながら、彼女の問いに答える。
「そもそもワタシは罪を犯してないから……正確に言えば、罪を犯していない事になったからよぉん」
「……犯していない事になった? それってどういう――」
「確かに、ワタシは昨日、雷王ちゃんを殺しちゃおうとしたわよん。――アナザー姫ちゃんの命令に従ってねぇん」
「あぁ……そういう事ですか」
マッツコーの答えに潜む言外の意味を察したエラルティスは、露骨に眉を顰めながら肩を竦めた。
「つまり……貴方を反逆罪で罰しようとしたら、必然的に魔王の娘も同じ罪に問わざるを得なくなる。……だから、反逆の事実自体を無かった事にした……と」
「そゆコト♪」
エラルティスの言葉に、マッツコーは照り焼きバーガーの包み紙を剥がしながら、片目を瞑ってみせる。
「もし、今回の事を反逆罪にしたら、従犯のワタシより主犯のアナザー姫ちゃんの方がより重罪に問われるから、雷王ちゃん的には何が何でも避けたいところよねぇん」
彼はそう言うと、手にしていた照り焼きバーガーを一口頬張り、「やだ、おいし~♪」と黄色い歓声を上げた。
「……って事で、ワタシは元気に美味しいごはんを食べられるってワ・ケ」
「随分と適当な……まあ、別にわらわにはどうでもいい事ですけどね」
マッツコーにジト目を向けながら、呆れ声を漏らしたエラルティス。
そんな彼女の前に、再びマッツコーは照り焼きバーガーが載った皿を差し出した。
「じゃあ、無事疑問も解けたところで、おひとつ……おふたつドーゾ♪」
「結構ですわ」
マッツコーの勧めに、エラルティスは取り付く島もない態度で断る。
「魔族が作った食べ物なんて、とても食べる気にはなれませんわ」
……だが、その時、
エラルティスの腹のあたりから“ぐるる……”という音が鳴った。
その音を耳聡く聞き取ったマッツコーが、ニヤリと笑う。
「あらぁ? でも、おなかはそう言ってないみたいよん?」
「ち、違いますわよッ!」
マッツコーのツッコミに、エラルティスは顔を真っ赤にしながら声を荒げた。
「い、今のは、決しておなかが空いたって訳じゃなくって……あ、アレですわよ、アレ!」
――“ぐるるるる……”
「……っ!」
「うふふ、おなかの方は正直みたいねぇん。『早く食べたいぃ!』って叫んでるわよぉん」
「そ、そんな事な――もがぐぐっ!」
頑強に否定しようとしたエラルティスの声は、途中でくぐもった悲鳴に変わる。ニヤニヤ笑いを浮かべたマッツコーが、エラルティスが大きく口を開いたタイミングを見計らって、その口にサリア作の肉餅挟み込みパンをねじ込んだからだ。
「こっちは姫ちゃんの方の肉餅挟み込みパンよん♪ 遠慮しないで食べてぇん」
「も、もががががむぐぐ……!」
口の中いっぱいに肉餅挟み込みパンを詰め込まれたエラルティスは、怒りと苦しみで顔を歪めながら必死で抗う。
……が、
「もがが……もが……もぐ……もぐ……」
もがきながら口を動かしているうちに、だんだんと彼女の表情が変わってきた。
そして、ごくんと喉を鳴らして口の中のバンズとパテを吞み込むと、うっとりとした表情を浮かべる。
「こ……これは……意外と悪くない……っていうか、おい……」
無意識に『美味しい』と漏らしかけたエラルティスだったが、そこでハッと我に返った。
たちまち彼女の頬は真っ赤に染まり、千切れんばかりに激しく頭を振る。
「い、いえ! ち、違いますわよっ! 今のは、決してこの“肉餅何とか何とか”がスパイシーで美味しかったって訳じゃなくって……おい……おい……ええと、おい――むぎゅ」
「うふふ、無理しないでいいってば」
必死に弁解しようとするエラルティスのソースまみれになった口元をナプキンで拭きながら、マッツコーは微笑んだ。
そして、取り皿の上に残っていたツカサ作の照り焼きバーガーを手に取り、バツが悪そうな顔をしているエラルティスに勧める。
「まだおなかいっぱいじゃないでしょ? もうひとついかがかしら? こっちはアナザー姫ちゃんが作った方で、姫ちゃんの方よりもスパイシーで辛味が強い感じだけどね。でも、“まよねえず”っていう異世界のソースで味がまろやかになってるから美味しいのよん」
「う……」
マッツコーの言葉に、エラルティスは一瞬迷うような素振りを見せた――が、
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