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第三章 酒と泪と色事師と女将
大猿と虎皮
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「……ど、どうしたのよ?」
怪訝な表情を浮かべて尋ねるシレネに、立てた人差し指を唇に当てる仕草を示す男。
「奴らが……来る」
圧し殺した彼の声を聞いた少年神官の表情が、目に見えて曇った。
「そんな……撒けたと思ったのに……」
少年――パームの声に絶望の響きが混じる。
「……何? 奴らって誰――?」
ふたりのただならぬ様子に、首を傾げていたシレネの耳に、ただならぬ音が聴こえてきた。
地響きのような、低い、腹に響く音……。
「“奴ら”って……ヒトなの?」
「グダグダ喋ってるヒマは無え! 逃げるぞ!」
「――もう! 分かったわよ!」
「あ……はい! ジャスミンさん!」
「! ――ジャス……?」
逃げようと背中を向けた時に、パームが発した名前を耳にして、シレネは思わず立ち止まった。
改めて、背の高い男の整った顔立ちを見直す――。
……確かに――
「……ジャス――」
「おい! アンタ! 早く逃げるぞ!」
「――!」
ジャスミンに促され、シレネはハッと我に返る。
「ちょ、ちょっと! ドコに行くのよ、アンタ達!」
「え――?」
シレネは、慌てて二人を呼び止めた。
呼び止められたジャスミンは、不満を顔一面に浮かべて、荒い口調で叫んだ。
「何だよ! だから、こんな所でくっちゃべってるヒマは――!」
「闇雲に走ったら、また迷子になるって言ってるの!」
「……た、確かに……」
「……じゃあ、教えてくれよ! 迷子にならないトコロをよ!」
「……言われなくても!」
そう怒鳴ると、シレネは、腰に結わえ付けたロープを手繰り寄せ始めた。
「このロープは、樹海の一番端の木の枝に括り付けてある。これを辿って行けば、樹海から出られるわ」
「ま、マジでか――!」
「本当に出られるんだ……ここから――」
「ほら! 感動に浸るのは、出られてからにして! 追われてるんでしょ?」
シレネは、二人を急かす。耳に届く地響きはさっきよりずっと近付いてきている。更に、「ウオオオオッ!」という、複数の雄叫びも……!
「――樹海の端まで、どの位ですか?」
「うーん……、手元のロープの量を考えて……500エイム位かしら」
ロープを手繰りながら答えるシレネ。可能な限り急いでいるが、ロープが深い草木に隠れてしまっているので、なかなか進めない……。
「ヤベェな……追いつかれる」
ジャスミンの顔に、焦りが浮かぶ。
「だから……焦らせないでよ……」
地響きはどんどん近付き、大きくなっている。彼女達の周辺の木々の枝や幹の陰から、危険を感じた鳥達や獣が飛び出してきて、四方へ逃げ去っていく。
「――来るッ!」
ジャスミンとパームが振り返って身構える。
同時に、深く繁った草木の間から、巨大な何かが飛び出してきた。
「…………何よソレ……最悪じゃない……」
振り返り、飛び出してきた影の正体を確認したシレネは、絶望した。
目の前に現れたのは――3エイムに迫る体高の巨大な黒い猿。それも、3体……。
「ハ……ハテナシクロヤシャオオザル……!」
ハテナシクロヤシャオオザル――果無の樹海に棲息している、漆黒の毛皮の巨大な猿だ。
現在確認されている、果無の樹海に棲息する生物の中でも、最大の体躯を持ち、俗に「樹海のヌシ」と呼称される。
だが、その性格は比較的温厚で、主食も、果実や茸。人を襲う事は滅多に無い。……そう、滅多には。
彼らは、普段は温厚なのだが、自分や家族が危険に晒された時――その性格は豹変し、頗る狂暴となるのだ。
その為、彼らの漆黒の毛皮を狙う密猟者はもちろん、あのアズール・タイガーまでもが、返り討ちに遭う事も少なくない。
俗に『バーサーク』と呼ばれるその状態にある時、大猿の目は真っ赤に光る事が確認されており――
今、シレネ達の目の前で唸り声を上げている、3頭のハテナシクロヤシャオオザルの目は、ギラギラと真紅に輝いていた……!
「あ――アンタ達……! 一体何したのよ!」
青ざめたシレネが、詰問口調で、二人に問う。
険しい顔で彼女に問い詰められた二人は、慌てて首を横に振る。
「い――いや! 何にもしてねえって!」
「――ジャスミンさんの言う通りです。いきなり雄叫びを上げながら追いかけてきて……」
二人の様子を見る限り、嘘をついているようにも思えない――。が、何もしていないのに、性格温厚な大猿が、ここまで逆上するはずも無い……。
「グオオオオオッ!」
大猿たちは、雄叫びを上げて立ち上がると、胸を叩いてドラミングを始めた。――ダメだ。完全に憤怒で我を忘れた状態だ。
「これ、よっぽどの事をやらかしたでしょ! 大猿がこんなに逆上してるのは、それこそ、天敵のアズール・タイガーと戦う時くらい――!」
と、言いかけて彼女は、ジャスミンが背中に背負っている、丸めた青い布の様なモノに気が付いた。
「……ね、ねえ、アナタ……その背中に背負っているのは、何?」
「……え? 何だよ、こんな時に……!」
ジャスミンは、苛立ちながら答える。
「コレは――毛皮だよ! アズール・タイガーの!」
「!」
シレネの目が、驚愕で見開かれる。
「樹海の中で、狩ったんだよ! 俺とパームで! それがどうした?」
「嘘……! あのアズール・タイガーを……狩った? アナタ達が……て、そうじゃない! ――いや、ソレよ!」
シレネは、ビシィッと、ジャスミンの背中を指さす。
「大猿たちは、アナタが背中に背負ってる、天敵のアズール・タイガーの毛皮の臭いに反応してるのよ!」
「な……何だって――ッ!」
目を見開き、驚愕するふたり。
「じゃ、じゃあ……」
「そう! あの子たちの狙いは、君たちじゃなくて、その毛皮なの! それを置いていけば、彼らは追ってこないわ! 早く、その毛皮を地面に置いて――!」
「――ジャスミンさん――!」
「だ――だが断るッ!」
動揺しながらも、毅然と断るジャスミン。
「お前、俺たちがこの虎を倒すのに、どれだけ苦労したと思ってるんだよ! そんな思い出の物をむざむざこんな猿なんかにやるのは――イヤだ!」
「……いや、そんな事言って……。ホンネは、さっさと高い値段で売り払う気なんでしょ?」
「……」
ジトーっという目でパームに見られたジャスミンは、プイッと目を逸す。
そんな彼を、苛立ち顔のシレネが怒鳴りつける。
「何言ってるのよ! 命と毛皮、どっちが大事なの!」
「命も毛皮も……つーか、金も、両方大事に決まってるだろ!」
遂には逆ギレ。
と、パームが、ハアと大きな溜息をついた。
「……もう良いです。シレネさん、僕たちだけで行きましょう」
「――え?」
「――え?」
パームの言葉に、呆気に取られるふたり。
「ジャスミンさん、そこまでその毛皮に執着するなら、勝手にどうぞ。僕たちは先に行きますね」
「ちょ、おま……!」
「シレネさん、お待たせしてすみません。行きましょう。……あの毛皮が無ければ、僕たちが、あの大猿に追われる事は無いんですよね?」
「……え、ええ……。そうだと、思うわ……」
「ちょ、待てよ!」
慌てた様子で声を上げるジャスミンに、冷ややかな目を向けたパームは、静かに宣った。
「では、ジャスミンさんさようなら。僕たちが逃げ切るまでの時間稼ぎを、宜しくお願いします」
「ちょ、待てって……! ――ええい、もう!」
ジャスミンは、忌々しげに叫ぶと、背中の毛皮を広げて、
「くっそーッ! もう、勝手にしやがれ~ッ!」
と、大猿たちの方に投げ捨てた。
「グオオオオオッ!」
次の瞬間、大猿たちは一斉に飛び掛かった! ――投げ捨てられたアズール・タイガーの蒼い毛皮へ。
「やっぱり、あれが原因だったのね……! 今のうちに逃げるわよ!」
「は、はい! ほら、ジャスミンさん、行きますよ!」
「うわ~……! 俺の……俺のカネの種がぁあああ~ッ!」
と、三人三様の叫びを上げつつ、彼女たちは急いで、そして慎重にロープを辿りながら、この場を立ち去ったのだった――!
怪訝な表情を浮かべて尋ねるシレネに、立てた人差し指を唇に当てる仕草を示す男。
「奴らが……来る」
圧し殺した彼の声を聞いた少年神官の表情が、目に見えて曇った。
「そんな……撒けたと思ったのに……」
少年――パームの声に絶望の響きが混じる。
「……何? 奴らって誰――?」
ふたりのただならぬ様子に、首を傾げていたシレネの耳に、ただならぬ音が聴こえてきた。
地響きのような、低い、腹に響く音……。
「“奴ら”って……ヒトなの?」
「グダグダ喋ってるヒマは無え! 逃げるぞ!」
「――もう! 分かったわよ!」
「あ……はい! ジャスミンさん!」
「! ――ジャス……?」
逃げようと背中を向けた時に、パームが発した名前を耳にして、シレネは思わず立ち止まった。
改めて、背の高い男の整った顔立ちを見直す――。
……確かに――
「……ジャス――」
「おい! アンタ! 早く逃げるぞ!」
「――!」
ジャスミンに促され、シレネはハッと我に返る。
「ちょ、ちょっと! ドコに行くのよ、アンタ達!」
「え――?」
シレネは、慌てて二人を呼び止めた。
呼び止められたジャスミンは、不満を顔一面に浮かべて、荒い口調で叫んだ。
「何だよ! だから、こんな所でくっちゃべってるヒマは――!」
「闇雲に走ったら、また迷子になるって言ってるの!」
「……た、確かに……」
「……じゃあ、教えてくれよ! 迷子にならないトコロをよ!」
「……言われなくても!」
そう怒鳴ると、シレネは、腰に結わえ付けたロープを手繰り寄せ始めた。
「このロープは、樹海の一番端の木の枝に括り付けてある。これを辿って行けば、樹海から出られるわ」
「ま、マジでか――!」
「本当に出られるんだ……ここから――」
「ほら! 感動に浸るのは、出られてからにして! 追われてるんでしょ?」
シレネは、二人を急かす。耳に届く地響きはさっきよりずっと近付いてきている。更に、「ウオオオオッ!」という、複数の雄叫びも……!
「――樹海の端まで、どの位ですか?」
「うーん……、手元のロープの量を考えて……500エイム位かしら」
ロープを手繰りながら答えるシレネ。可能な限り急いでいるが、ロープが深い草木に隠れてしまっているので、なかなか進めない……。
「ヤベェな……追いつかれる」
ジャスミンの顔に、焦りが浮かぶ。
「だから……焦らせないでよ……」
地響きはどんどん近付き、大きくなっている。彼女達の周辺の木々の枝や幹の陰から、危険を感じた鳥達や獣が飛び出してきて、四方へ逃げ去っていく。
「――来るッ!」
ジャスミンとパームが振り返って身構える。
同時に、深く繁った草木の間から、巨大な何かが飛び出してきた。
「…………何よソレ……最悪じゃない……」
振り返り、飛び出してきた影の正体を確認したシレネは、絶望した。
目の前に現れたのは――3エイムに迫る体高の巨大な黒い猿。それも、3体……。
「ハ……ハテナシクロヤシャオオザル……!」
ハテナシクロヤシャオオザル――果無の樹海に棲息している、漆黒の毛皮の巨大な猿だ。
現在確認されている、果無の樹海に棲息する生物の中でも、最大の体躯を持ち、俗に「樹海のヌシ」と呼称される。
だが、その性格は比較的温厚で、主食も、果実や茸。人を襲う事は滅多に無い。……そう、滅多には。
彼らは、普段は温厚なのだが、自分や家族が危険に晒された時――その性格は豹変し、頗る狂暴となるのだ。
その為、彼らの漆黒の毛皮を狙う密猟者はもちろん、あのアズール・タイガーまでもが、返り討ちに遭う事も少なくない。
俗に『バーサーク』と呼ばれるその状態にある時、大猿の目は真っ赤に光る事が確認されており――
今、シレネ達の目の前で唸り声を上げている、3頭のハテナシクロヤシャオオザルの目は、ギラギラと真紅に輝いていた……!
「あ――アンタ達……! 一体何したのよ!」
青ざめたシレネが、詰問口調で、二人に問う。
険しい顔で彼女に問い詰められた二人は、慌てて首を横に振る。
「い――いや! 何にもしてねえって!」
「――ジャスミンさんの言う通りです。いきなり雄叫びを上げながら追いかけてきて……」
二人の様子を見る限り、嘘をついているようにも思えない――。が、何もしていないのに、性格温厚な大猿が、ここまで逆上するはずも無い……。
「グオオオオオッ!」
大猿たちは、雄叫びを上げて立ち上がると、胸を叩いてドラミングを始めた。――ダメだ。完全に憤怒で我を忘れた状態だ。
「これ、よっぽどの事をやらかしたでしょ! 大猿がこんなに逆上してるのは、それこそ、天敵のアズール・タイガーと戦う時くらい――!」
と、言いかけて彼女は、ジャスミンが背中に背負っている、丸めた青い布の様なモノに気が付いた。
「……ね、ねえ、アナタ……その背中に背負っているのは、何?」
「……え? 何だよ、こんな時に……!」
ジャスミンは、苛立ちながら答える。
「コレは――毛皮だよ! アズール・タイガーの!」
「!」
シレネの目が、驚愕で見開かれる。
「樹海の中で、狩ったんだよ! 俺とパームで! それがどうした?」
「嘘……! あのアズール・タイガーを……狩った? アナタ達が……て、そうじゃない! ――いや、ソレよ!」
シレネは、ビシィッと、ジャスミンの背中を指さす。
「大猿たちは、アナタが背中に背負ってる、天敵のアズール・タイガーの毛皮の臭いに反応してるのよ!」
「な……何だって――ッ!」
目を見開き、驚愕するふたり。
「じゃ、じゃあ……」
「そう! あの子たちの狙いは、君たちじゃなくて、その毛皮なの! それを置いていけば、彼らは追ってこないわ! 早く、その毛皮を地面に置いて――!」
「――ジャスミンさん――!」
「だ――だが断るッ!」
動揺しながらも、毅然と断るジャスミン。
「お前、俺たちがこの虎を倒すのに、どれだけ苦労したと思ってるんだよ! そんな思い出の物をむざむざこんな猿なんかにやるのは――イヤだ!」
「……いや、そんな事言って……。ホンネは、さっさと高い値段で売り払う気なんでしょ?」
「……」
ジトーっという目でパームに見られたジャスミンは、プイッと目を逸す。
そんな彼を、苛立ち顔のシレネが怒鳴りつける。
「何言ってるのよ! 命と毛皮、どっちが大事なの!」
「命も毛皮も……つーか、金も、両方大事に決まってるだろ!」
遂には逆ギレ。
と、パームが、ハアと大きな溜息をついた。
「……もう良いです。シレネさん、僕たちだけで行きましょう」
「――え?」
「――え?」
パームの言葉に、呆気に取られるふたり。
「ジャスミンさん、そこまでその毛皮に執着するなら、勝手にどうぞ。僕たちは先に行きますね」
「ちょ、おま……!」
「シレネさん、お待たせしてすみません。行きましょう。……あの毛皮が無ければ、僕たちが、あの大猿に追われる事は無いんですよね?」
「……え、ええ……。そうだと、思うわ……」
「ちょ、待てよ!」
慌てた様子で声を上げるジャスミンに、冷ややかな目を向けたパームは、静かに宣った。
「では、ジャスミンさんさようなら。僕たちが逃げ切るまでの時間稼ぎを、宜しくお願いします」
「ちょ、待てって……! ――ええい、もう!」
ジャスミンは、忌々しげに叫ぶと、背中の毛皮を広げて、
「くっそーッ! もう、勝手にしやがれ~ッ!」
と、大猿たちの方に投げ捨てた。
「グオオオオオッ!」
次の瞬間、大猿たちは一斉に飛び掛かった! ――投げ捨てられたアズール・タイガーの蒼い毛皮へ。
「やっぱり、あれが原因だったのね……! 今のうちに逃げるわよ!」
「は、はい! ほら、ジャスミンさん、行きますよ!」
「うわ~……! 俺の……俺のカネの種がぁあああ~ッ!」
と、三人三様の叫びを上げつつ、彼女たちは急いで、そして慎重にロープを辿りながら、この場を立ち去ったのだった――!
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