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27 表に潜む者
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理想や信念、努力や願望は物事を進める、推進剤になる。
だがそれは能力や権力、財力が無ければ実を結ぶ事が皆無だ。
時には、それらが有っても叶わない事もある。
バルド・ノウルの侍従長ダニエルに証拠と証人を引き渡し、一息ついた暗殺ギルドのガズズは、部下と帰途の馬車の中で酒を飲んでダベっていた。
部下の一人が今回の件を回想して口を開いた。
「しかし、あんな端金でバルドを潰す手伝いをすると本気で思ったんですかね?」
元よりバルドの首のすげ替えは、国王からの命令でもない限りは行われず、現状維持が各地へと配属された【闇】の分家の使命ではある。
「御嬢様から用立てられた前金の方が、その金の倍以上あったのは笑えたな」
別件とは言え今回は、エリーシアが領内の暗殺ギルドと先に関係を持てたのも、大きな要因と言える。
それに、彼女が自宅の配下である【影】を通して充分な金と時間、現地での裁量権を与えてくれた事が大きかった。
お陰で、内部に食い込んで命令系統を押さえ、少ないギルドメンバーでも情報封鎖を行なって各個撃破できたのだ。
「そう言えば御嬢様の成人の儀で、チラ様が王都へ同行するとか?」
「それなっ!最初は冗談かと思ったら、どうやら本当の事らしい。我々には御嬢様の考える事は解らんな。平民の街娘を社交界に連れて行ってどうするつもりなんだか」
バルド屋敷のメイドとして修行を積んでいるとは言え、御里の知れる者を国で最高峰の場所に連れ出されれば、何かしらの失態をするのが目に見えている。
「チラ様にしてみれば、半ば虐めでしょうね」
「帰ってきたら、目の下にクマができてて、眉間の皺が消えないんじゃないか?」
「違いないっすね」
確かに、将来的にも本人の為になる事なので見逃しているが、妹にとって苦行になるのは間違いない。
「まぁ、バルドの命令なら本家に文句を言われる事もないだろう。どうせ、闇分家の我々では意見のしようがないのだからな」
王国での【闇】の存在は準バルド扱いだが、それは本家での話であってガズズ達の様な分家の話ではない。
ガズズ達の家は、公的には準上位貴族程度の権限しかなく、エリーシア達バルドに意見のできる立場ではない。
「ともあれ報連相はしておくべきだろう。チラの同行を本家に連絡を入れておくか」
ガズズは馬車の小物入れから、滅多に使わない本家宛の書類を出してペンを走らせはじめた。
さて、その【闇】の本家だが、その一部は王城の使用人や出入りの行商人として仕えている。
つまり、大半は王都や王家領地、地方での諜報活動に従事しているのだ。
特に地方まではあまり人手がさけないのと、分家の立場もあるので、深い諜報活動は出来ないが、街で騒がれる程度の事は知り得るし、一部の貴族館にも使用人として潜り込んでいた。
「では、ノウルでは上位貴族の暗殺が有ったのだな?それでは、いよいよ我の出番だな?」
王城の一室で報告を聞いて席を立ったのは、十二歳の着飾った少年だった。
「いえいえ、この件はバルド後継者を暗殺しようとした貴族への粛清と、それを穏便に【病死】で片付けたバルドの行為でございます。殿下が鉄槌を降り下ろす様な案件ではございません」
側仕えの者が必死に少年をなだめている。
この側近は少年に付けられた【闇】本家の一員だ。
少年は成人すれば第五王子となる身だが、いまだ未成年なので父親への謁見も御披露目も成し得ていない。
だが、国に対する気持ちは高い様だ。
「しかし、それでは正義が成り立たないではないか!」
「いいえ、これは素晴らしき采配と言えます。領内の被害を最小限に抑えたのですから」
犯罪に対する妥当な処罰行為を罰しては、本末転倒となる。
罰金や禁固刑、死刑に至るまでの処罰内容の殆んどが、その行為だけを見れば違法行為に当たるからだ。
【因果応報】ではあるが、殺人犯に対する死刑判決に異議を唱える者達にも、それが本末転倒に見えるのかも知れない。
『殺すな』と命じる法律が『殺せ』と命じているのだから。
ともたれ、民主主義とは異なり、封建社会では地位の高い者が一人で法整備と裁判権、執行権利を持っている。
地方での行政全般を任されている者としては、その方法が実質的に【暗殺】であったとしても、問題が無いのだ。
そして、これを公の場で裁けば、関与していない者にも連帯責任が及び、被害は広範囲になる。
責任役職の首のすげ替えだけでは済まず、行政業務が滞って迷惑するのは領民まで及ぶ。
それに公開裁判でない場合、容疑者の逃亡を阻止さえすれば時間をかけた緩やかな移行が可能なのだ。
「何処かに、我の活躍する場は無いものか?」
「国内が平穏なのは、良いことと存じますが?」
書物などに書かれた英雄譚に憧れるのは、男の子の常なのかも知れない。
そして、憧れの対象と同じ様になりたいと思うのは、子供や男性に限った事ではない。
この少年も、王族に仕える【闇】を使って隠された陰謀を探り出し、近衛を使って制圧し、王族の権限で裁きを下そうとしたのだが、如何せん地方の権力者や【闇】の分家が事なき様に対処してしまっていたのだ。
「国内の平和には陛下や兄上達が動いておられます。殿下は殿下にしかできない事が有るのでは?(そんな地方のイザコザよりも、令嬢が暗殺されてバルド・ノウルが登城しない方が問題視されるってもんだよ)」
「これも自由に動ける身だからできるのではないか?(その勉強が嫌だから外に出たいのだ)」
まだ職務に付いていない少年は柵も少なく、時間の猶予もある様に見えるのは確かだった。
「もし、殿下が活躍して事件を解決できたてしても、それを英雄譚の様に公表する事も、陛下からお誉めの言葉を頂く事もできませんよ」
「何故じゃ?」
「それは【越権行為】として本来の役職以外の事を役職を利用して行う行為で、犯罪でございます。ですからバルドも【病死】と公表して権力で隠蔽しているのです」
「では、英雄譚の者は?」
「権限も無い場所で、勝手に殺戮を行った者を利益のあった方から一方的に見た者でございますな」
時代劇の【水戸黄○】や【暴れん○将軍】は、完全に越権行為である。
その解決も、表向きは病死扱いや監査が入った事にされてしまう。
近代のスーパーヒーローも、裁判も無しに航空法違反や銃刀法違反、暴行罪や殺人罪を犯している。
それ故に彼等は、犯罪者から家族を守るのと別の理由からも身元を隠す必要があるのだ。
【正義】は必ずしも【合法】ではなく、法を執行する者は幾つもの制約に縛られている。
「殿下の活躍を隠蔽する為に、罪もない目撃者まで殺す事になりますよ(そもそも、近衛を使えば隠蔽できなくなるし、我々だけでは兵力が足りないんだよ)」
「それは我の求める【正義】ではないな」
合法的に動くのが【近衛兵】であり、非合法に動くのが【闇】の仕事である。
近衛兵は称賛される事があっても、【闇】は称賛されるどころか存在すら非公認だ。
そんな【闇】達は、国内に何事もない様、平穏に維持できて『当たり前』とされている。
例え分家の力不足で表立った騒ぎが起きても、王族から見れば本家の責任を問われるのだ。
その為に、分家に任せてある地方の情報も、ある程度は本家も手にしていなくてはならないので、地方にも諜報員を手配しているのだ。
「(頼むから坊っちゃんは危ない事に首を突っ込まないでくれよ)」
いまだに成人していなくても、王族の意を汲みながながらも御命を守るのが【闇】の仕事だ。
それは近衛兵達も同じだが、表立ってできない事もあるので【闇】が存在している。
「クスッ!(そう言えば、分家の娘が社交界に同行するからと首領や若が頭を抱えていたな)」
分家の者が王都に出入りするのは領分違いなのだが、バルドの命令では逆らえない。
それは、その者が【闇】だとバルドが知っていようとも、知らずにいようとも。
存在が非公認の【闇】なので『分家を王都に出入りさせては困る』とは、バルドに異議申し立てもできないのだ。
そして、その苦情を分家に言ってもどうしようもない。
「(我が儘な坊っちゃんだが、その担当なお陰で面倒事に巻き込まれずにすみそうだ)」
城の片隅で傍観者を気取れる彼は、何が起きるか楽しみで仕方がなかった。
だがそれは能力や権力、財力が無ければ実を結ぶ事が皆無だ。
時には、それらが有っても叶わない事もある。
バルド・ノウルの侍従長ダニエルに証拠と証人を引き渡し、一息ついた暗殺ギルドのガズズは、部下と帰途の馬車の中で酒を飲んでダベっていた。
部下の一人が今回の件を回想して口を開いた。
「しかし、あんな端金でバルドを潰す手伝いをすると本気で思ったんですかね?」
元よりバルドの首のすげ替えは、国王からの命令でもない限りは行われず、現状維持が各地へと配属された【闇】の分家の使命ではある。
「御嬢様から用立てられた前金の方が、その金の倍以上あったのは笑えたな」
別件とは言え今回は、エリーシアが領内の暗殺ギルドと先に関係を持てたのも、大きな要因と言える。
それに、彼女が自宅の配下である【影】を通して充分な金と時間、現地での裁量権を与えてくれた事が大きかった。
お陰で、内部に食い込んで命令系統を押さえ、少ないギルドメンバーでも情報封鎖を行なって各個撃破できたのだ。
「そう言えば御嬢様の成人の儀で、チラ様が王都へ同行するとか?」
「それなっ!最初は冗談かと思ったら、どうやら本当の事らしい。我々には御嬢様の考える事は解らんな。平民の街娘を社交界に連れて行ってどうするつもりなんだか」
バルド屋敷のメイドとして修行を積んでいるとは言え、御里の知れる者を国で最高峰の場所に連れ出されれば、何かしらの失態をするのが目に見えている。
「チラ様にしてみれば、半ば虐めでしょうね」
「帰ってきたら、目の下にクマができてて、眉間の皺が消えないんじゃないか?」
「違いないっすね」
確かに、将来的にも本人の為になる事なので見逃しているが、妹にとって苦行になるのは間違いない。
「まぁ、バルドの命令なら本家に文句を言われる事もないだろう。どうせ、闇分家の我々では意見のしようがないのだからな」
王国での【闇】の存在は準バルド扱いだが、それは本家での話であってガズズ達の様な分家の話ではない。
ガズズ達の家は、公的には準上位貴族程度の権限しかなく、エリーシア達バルドに意見のできる立場ではない。
「ともあれ報連相はしておくべきだろう。チラの同行を本家に連絡を入れておくか」
ガズズは馬車の小物入れから、滅多に使わない本家宛の書類を出してペンを走らせはじめた。
さて、その【闇】の本家だが、その一部は王城の使用人や出入りの行商人として仕えている。
つまり、大半は王都や王家領地、地方での諜報活動に従事しているのだ。
特に地方まではあまり人手がさけないのと、分家の立場もあるので、深い諜報活動は出来ないが、街で騒がれる程度の事は知り得るし、一部の貴族館にも使用人として潜り込んでいた。
「では、ノウルでは上位貴族の暗殺が有ったのだな?それでは、いよいよ我の出番だな?」
王城の一室で報告を聞いて席を立ったのは、十二歳の着飾った少年だった。
「いえいえ、この件はバルド後継者を暗殺しようとした貴族への粛清と、それを穏便に【病死】で片付けたバルドの行為でございます。殿下が鉄槌を降り下ろす様な案件ではございません」
側仕えの者が必死に少年をなだめている。
この側近は少年に付けられた【闇】本家の一員だ。
少年は成人すれば第五王子となる身だが、いまだ未成年なので父親への謁見も御披露目も成し得ていない。
だが、国に対する気持ちは高い様だ。
「しかし、それでは正義が成り立たないではないか!」
「いいえ、これは素晴らしき采配と言えます。領内の被害を最小限に抑えたのですから」
犯罪に対する妥当な処罰行為を罰しては、本末転倒となる。
罰金や禁固刑、死刑に至るまでの処罰内容の殆んどが、その行為だけを見れば違法行為に当たるからだ。
【因果応報】ではあるが、殺人犯に対する死刑判決に異議を唱える者達にも、それが本末転倒に見えるのかも知れない。
『殺すな』と命じる法律が『殺せ』と命じているのだから。
ともたれ、民主主義とは異なり、封建社会では地位の高い者が一人で法整備と裁判権、執行権利を持っている。
地方での行政全般を任されている者としては、その方法が実質的に【暗殺】であったとしても、問題が無いのだ。
そして、これを公の場で裁けば、関与していない者にも連帯責任が及び、被害は広範囲になる。
責任役職の首のすげ替えだけでは済まず、行政業務が滞って迷惑するのは領民まで及ぶ。
それに公開裁判でない場合、容疑者の逃亡を阻止さえすれば時間をかけた緩やかな移行が可能なのだ。
「何処かに、我の活躍する場は無いものか?」
「国内が平穏なのは、良いことと存じますが?」
書物などに書かれた英雄譚に憧れるのは、男の子の常なのかも知れない。
そして、憧れの対象と同じ様になりたいと思うのは、子供や男性に限った事ではない。
この少年も、王族に仕える【闇】を使って隠された陰謀を探り出し、近衛を使って制圧し、王族の権限で裁きを下そうとしたのだが、如何せん地方の権力者や【闇】の分家が事なき様に対処してしまっていたのだ。
「国内の平和には陛下や兄上達が動いておられます。殿下は殿下にしかできない事が有るのでは?(そんな地方のイザコザよりも、令嬢が暗殺されてバルド・ノウルが登城しない方が問題視されるってもんだよ)」
「これも自由に動ける身だからできるのではないか?(その勉強が嫌だから外に出たいのだ)」
まだ職務に付いていない少年は柵も少なく、時間の猶予もある様に見えるのは確かだった。
「もし、殿下が活躍して事件を解決できたてしても、それを英雄譚の様に公表する事も、陛下からお誉めの言葉を頂く事もできませんよ」
「何故じゃ?」
「それは【越権行為】として本来の役職以外の事を役職を利用して行う行為で、犯罪でございます。ですからバルドも【病死】と公表して権力で隠蔽しているのです」
「では、英雄譚の者は?」
「権限も無い場所で、勝手に殺戮を行った者を利益のあった方から一方的に見た者でございますな」
時代劇の【水戸黄○】や【暴れん○将軍】は、完全に越権行為である。
その解決も、表向きは病死扱いや監査が入った事にされてしまう。
近代のスーパーヒーローも、裁判も無しに航空法違反や銃刀法違反、暴行罪や殺人罪を犯している。
それ故に彼等は、犯罪者から家族を守るのと別の理由からも身元を隠す必要があるのだ。
【正義】は必ずしも【合法】ではなく、法を執行する者は幾つもの制約に縛られている。
「殿下の活躍を隠蔽する為に、罪もない目撃者まで殺す事になりますよ(そもそも、近衛を使えば隠蔽できなくなるし、我々だけでは兵力が足りないんだよ)」
「それは我の求める【正義】ではないな」
合法的に動くのが【近衛兵】であり、非合法に動くのが【闇】の仕事である。
近衛兵は称賛される事があっても、【闇】は称賛されるどころか存在すら非公認だ。
そんな【闇】達は、国内に何事もない様、平穏に維持できて『当たり前』とされている。
例え分家の力不足で表立った騒ぎが起きても、王族から見れば本家の責任を問われるのだ。
その為に、分家に任せてある地方の情報も、ある程度は本家も手にしていなくてはならないので、地方にも諜報員を手配しているのだ。
「(頼むから坊っちゃんは危ない事に首を突っ込まないでくれよ)」
いまだに成人していなくても、王族の意を汲みながながらも御命を守るのが【闇】の仕事だ。
それは近衛兵達も同じだが、表立ってできない事もあるので【闇】が存在している。
「クスッ!(そう言えば、分家の娘が社交界に同行するからと首領や若が頭を抱えていたな)」
分家の者が王都に出入りするのは領分違いなのだが、バルドの命令では逆らえない。
それは、その者が【闇】だとバルドが知っていようとも、知らずにいようとも。
存在が非公認の【闇】なので『分家を王都に出入りさせては困る』とは、バルドに異議申し立てもできないのだ。
そして、その苦情を分家に言ってもどうしようもない。
「(我が儘な坊っちゃんだが、その担当なお陰で面倒事に巻き込まれずにすみそうだ)」
城の片隅で傍観者を気取れる彼は、何が起きるか楽しみで仕方がなかった。
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