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33 闇の陰謀
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パーティも終わりに近付き、タウンハウスへ帰る者が増えてきたので、王家に仕える諜報機関【闇】の者達も暇になってきた。
「見たか?チラの奴は、そうとうエリーシア嬢に気に入られているみたいだな」
「若様。そりゃあ、いくら末端と言えど【闇】の首領の娘ですからね。【影】の女共よりは腕が立つからでしょう」
この場で【テイラー】を名乗っている彼は次期首領なので、仲間内では【若様】とよばれているのだった。
【闇】の教育機関で【テイラー】が研修を受けていた時は、本家次期首領の参加とあって腕利きばかりが揃っていた。
不幸にも、そんな者達と同期になってしまったチラ(シンシア)が最下位になったのは致し方無かったのだ。
「その【エリーシア嬢】だが、第三王子のトライアン殿下と婚姻の話になりそうだぜ」
「本当か?じゃあ、あのブービーが第三王子の横に立つって訳か!」
国王の近くには王族と大臣、側仕えの他に使用人も居るが、ここ数世代は【闇】の関係者を使用人に含む事はなかった。
現国王も表舞台から【闇】を遠ざける傾向にある。
新バルド・ノウルとしてトライアンが立ち、エリーシアが寄り添う姿をテイラーは想像した。
更には、その後ろに控えるチラの姿を。
「あれっ?あのエリーシア嬢が王妃になったら、闇が側に侍る事にならないか?」
テイラーの脳裏に【闇】の一族が抱き続けてきた悲願が浮かぶ。
王族罪人の末裔とは言え、国王の血をひく闇は、バルドと同じ立ち位置の筈なのだ。
それ故に、王族が並ぶ高台に【闇】の姿がある姿を夢見ていた。
「今の国王達に教育されている皇太子や第二王子じゃあ変わりないないだろう。だが、国王になる見込みがなかった第三王子ならば、」
もし、皇太子に何かがあれば、第二王子が皇太子に繰り上げられるので、第二王子のサルーヌも国王になる為の教育を受けている。
しかし、この二名が共に失脚する事など皆無なので、第三王子には宰相になる為の教育しか受けさせていないのだ。
【闇】に関しては、国王直属なので、トライアン殿下に存在は知らされていても、取扱いの教育を施されていない。
それは【闇】の方でも熟知している。
「宰相とフェラルド殿に継続を頼めば、後釜を養成するまでの中継ぎ猶予も稼げるだろう。その上で王族の頭だけすげ替えれば、我々の悲願が達成できるんじゃないのか?」
この野望を達成するには、トライアン殿下に【反闇教育】をされない事が重要で、トライアンとエリーシアの婚礼の後に、国王、皇太子、第二王子の順に崩御していただく必要がある。
「確か【呪いの遺物】と噂されている物が、宝物庫に有ったな。アレを利用して病気や事故に結びつければ・・・」
科学が発達していない世界では、不可思議に思われる事が沢山ある。
近代では手品やウイルスによる疾患と分かる事が、【魔法】や【呪い】として認識されるのが中世なのだ。
その後、エリーシア達の予期せぬ形で王位継承がなされ、エリーシアに三男が産まれて成人するまで、フェラルドのバルド・ノウル領主が続いたのは、また別の話となるのだった。
END
御愛読をありがとうございましたm(_ _)m
「見たか?チラの奴は、そうとうエリーシア嬢に気に入られているみたいだな」
「若様。そりゃあ、いくら末端と言えど【闇】の首領の娘ですからね。【影】の女共よりは腕が立つからでしょう」
この場で【テイラー】を名乗っている彼は次期首領なので、仲間内では【若様】とよばれているのだった。
【闇】の教育機関で【テイラー】が研修を受けていた時は、本家次期首領の参加とあって腕利きばかりが揃っていた。
不幸にも、そんな者達と同期になってしまったチラ(シンシア)が最下位になったのは致し方無かったのだ。
「その【エリーシア嬢】だが、第三王子のトライアン殿下と婚姻の話になりそうだぜ」
「本当か?じゃあ、あのブービーが第三王子の横に立つって訳か!」
国王の近くには王族と大臣、側仕えの他に使用人も居るが、ここ数世代は【闇】の関係者を使用人に含む事はなかった。
現国王も表舞台から【闇】を遠ざける傾向にある。
新バルド・ノウルとしてトライアンが立ち、エリーシアが寄り添う姿をテイラーは想像した。
更には、その後ろに控えるチラの姿を。
「あれっ?あのエリーシア嬢が王妃になったら、闇が側に侍る事にならないか?」
テイラーの脳裏に【闇】の一族が抱き続けてきた悲願が浮かぶ。
王族罪人の末裔とは言え、国王の血をひく闇は、バルドと同じ立ち位置の筈なのだ。
それ故に、王族が並ぶ高台に【闇】の姿がある姿を夢見ていた。
「今の国王達に教育されている皇太子や第二王子じゃあ変わりないないだろう。だが、国王になる見込みがなかった第三王子ならば、」
もし、皇太子に何かがあれば、第二王子が皇太子に繰り上げられるので、第二王子のサルーヌも国王になる為の教育を受けている。
しかし、この二名が共に失脚する事など皆無なので、第三王子には宰相になる為の教育しか受けさせていないのだ。
【闇】に関しては、国王直属なので、トライアン殿下に存在は知らされていても、取扱いの教育を施されていない。
それは【闇】の方でも熟知している。
「宰相とフェラルド殿に継続を頼めば、後釜を養成するまでの中継ぎ猶予も稼げるだろう。その上で王族の頭だけすげ替えれば、我々の悲願が達成できるんじゃないのか?」
この野望を達成するには、トライアン殿下に【反闇教育】をされない事が重要で、トライアンとエリーシアの婚礼の後に、国王、皇太子、第二王子の順に崩御していただく必要がある。
「確か【呪いの遺物】と噂されている物が、宝物庫に有ったな。アレを利用して病気や事故に結びつければ・・・」
科学が発達していない世界では、不可思議に思われる事が沢山ある。
近代では手品やウイルスによる疾患と分かる事が、【魔法】や【呪い】として認識されるのが中世なのだ。
その後、エリーシア達の予期せぬ形で王位継承がなされ、エリーシアに三男が産まれて成人するまで、フェラルドのバルド・ノウル領主が続いたのは、また別の話となるのだった。
END
御愛読をありがとうございましたm(_ _)m
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