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九章
9、恋文【4】
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銀司が部屋を出て行った後、俺は再び文机に向かった。
かろうじて恋文を書き上げると、それを机に置いて布団へ入った。
明日の朝に渡してやることにしよう。
翠子さんは横を向いて眠っているので、その寝間着の背中に指で「かきおえた」と、記してやる。
熟睡していると思ったんだ。その時は。
「書きあがったんですね」
ぱっちりと目を開いた翠子さんが、俺を見上げていた。それはもう、期待に煌めく瞳で。夜空に見える星座だの星雲だのを、その瞳に散りばめたみたいに。
あなたは、そんなにも俺からの恋文が欲しかったのか。
そう思うと、胸の奥が甘く痺れた。
琥太郎兄さんの恋文と比較されたくないという、些細な自尊心からなかなか書けないでいたが。
俺の手紙でいいのなら、あなたがこれほど喜んでくれるのなら。いくらだって書いてあげるから。
「翠子さんは、背中に書かれた文字の判読率がすごいな」
「え? そんな特殊な特技はありませんよ」
「だが、すべて正解しているじゃないか」
「旦那さまが与えてくださる言葉は、一語一句逃したくないだけです」
照れ隠しで言った言葉だったのに。
翠子さんの返事に、俺は頭の芯がくらくらしそうになった。俺は恋文を書くのに四苦八苦していたのに。なぜあなたは、こうも簡単に俺を有頂天にさせる言葉をくれるんだ。
そして気づけば、彼女にくちづけていた。
嫋やかな指が俺の頬に触れる。そしてうなじの辺りに伸ばされた翠子さんの手は、俺を導くように力がこもった。
「いいのか? 明日も学校だぞ」
翠子さんは静かにうなずいた。
「いけない子だな。自分から誘うなんて」
「睡眠不足は、学校で補います」
「授業中以外にしておけよ」
翠子さんに覆いかぶさった俺は、唇だけではなく彼女の首筋にも接吻する。寝間着の帯を解いてやると、自ら望んだことなのにまだ恥じらいがあるのだろう。
日に当たることのない腿の部分を、固く閉じている。
「翠子さん。こういう時は、どうするんだった?」
返事はない。ただふるふると小さく首を振るだけだ。「困った子だな」と、俺は自分の手首に、翠子さんの手を添えさせた。
「旦那さま?」
「触れてほしいところに、俺の手を持っていってごらん。それなら、恥ずかしさもましだろう?」
さて、どうするのかな? と黙って見ていると、翠子さんはあろうことか自分の頬に俺の手を添えた。
まったく、恥ずかしがるにも程があるし、本心を露わに出来ないのなら自ら誘わなければいいのに。
だが、翠子さんに望まれたことだ。しょうがない。
俺は、彼女の頬をしばらく撫で続けた。さすがにじれったくなったのだろう、翠子さんは上体を起こして、俺の唇に接吻する。
まったく可愛いことをする。
「言葉にしないと分からないよ」
「旦那さまは、ご存知ですもの」
「分かっているけど、教えてほしいんだよ」
耳元で囁いてやると、翠子さんは顔を赤く染めながら瞼をきつく閉じた。
そして俺の右手を、少しずつ下ろしていく。
恥ずかしさのあまり、俺の肩に顔を埋めた翠子さんの頬は熱い。
翠子さんの体を持ち上げて、俺の足をまたぐように座らせる。半分脱げていた寝間着が、そのまま布団の上に落ちた。
「俺の肩につかまっていなさい」と指示を出すと、彼女の返事を待たずに、両手で秘所に触れた。
「や……あぁ」
前と後ろから、同時に俺の指に責められた翠子さんは短い悲鳴を上げて、首をのけぞらせた。
荒っぽい俺の指の動きに応じるように、すぐにそこが潤んでくる。
胸を口に含んでやると、その頂きはすでに硬くなっていた。
「恋文を書いたご褒美に、好きにさせてもらうよ」
「い、つも……好きに、なさっています」
かろうじて恋文を書き上げると、それを机に置いて布団へ入った。
明日の朝に渡してやることにしよう。
翠子さんは横を向いて眠っているので、その寝間着の背中に指で「かきおえた」と、記してやる。
熟睡していると思ったんだ。その時は。
「書きあがったんですね」
ぱっちりと目を開いた翠子さんが、俺を見上げていた。それはもう、期待に煌めく瞳で。夜空に見える星座だの星雲だのを、その瞳に散りばめたみたいに。
あなたは、そんなにも俺からの恋文が欲しかったのか。
そう思うと、胸の奥が甘く痺れた。
琥太郎兄さんの恋文と比較されたくないという、些細な自尊心からなかなか書けないでいたが。
俺の手紙でいいのなら、あなたがこれほど喜んでくれるのなら。いくらだって書いてあげるから。
「翠子さんは、背中に書かれた文字の判読率がすごいな」
「え? そんな特殊な特技はありませんよ」
「だが、すべて正解しているじゃないか」
「旦那さまが与えてくださる言葉は、一語一句逃したくないだけです」
照れ隠しで言った言葉だったのに。
翠子さんの返事に、俺は頭の芯がくらくらしそうになった。俺は恋文を書くのに四苦八苦していたのに。なぜあなたは、こうも簡単に俺を有頂天にさせる言葉をくれるんだ。
そして気づけば、彼女にくちづけていた。
嫋やかな指が俺の頬に触れる。そしてうなじの辺りに伸ばされた翠子さんの手は、俺を導くように力がこもった。
「いいのか? 明日も学校だぞ」
翠子さんは静かにうなずいた。
「いけない子だな。自分から誘うなんて」
「睡眠不足は、学校で補います」
「授業中以外にしておけよ」
翠子さんに覆いかぶさった俺は、唇だけではなく彼女の首筋にも接吻する。寝間着の帯を解いてやると、自ら望んだことなのにまだ恥じらいがあるのだろう。
日に当たることのない腿の部分を、固く閉じている。
「翠子さん。こういう時は、どうするんだった?」
返事はない。ただふるふると小さく首を振るだけだ。「困った子だな」と、俺は自分の手首に、翠子さんの手を添えさせた。
「旦那さま?」
「触れてほしいところに、俺の手を持っていってごらん。それなら、恥ずかしさもましだろう?」
さて、どうするのかな? と黙って見ていると、翠子さんはあろうことか自分の頬に俺の手を添えた。
まったく、恥ずかしがるにも程があるし、本心を露わに出来ないのなら自ら誘わなければいいのに。
だが、翠子さんに望まれたことだ。しょうがない。
俺は、彼女の頬をしばらく撫で続けた。さすがにじれったくなったのだろう、翠子さんは上体を起こして、俺の唇に接吻する。
まったく可愛いことをする。
「言葉にしないと分からないよ」
「旦那さまは、ご存知ですもの」
「分かっているけど、教えてほしいんだよ」
耳元で囁いてやると、翠子さんは顔を赤く染めながら瞼をきつく閉じた。
そして俺の右手を、少しずつ下ろしていく。
恥ずかしさのあまり、俺の肩に顔を埋めた翠子さんの頬は熱い。
翠子さんの体を持ち上げて、俺の足をまたぐように座らせる。半分脱げていた寝間着が、そのまま布団の上に落ちた。
「俺の肩につかまっていなさい」と指示を出すと、彼女の返事を待たずに、両手で秘所に触れた。
「や……あぁ」
前と後ろから、同時に俺の指に責められた翠子さんは短い悲鳴を上げて、首をのけぞらせた。
荒っぽい俺の指の動きに応じるように、すぐにそこが潤んでくる。
胸を口に含んでやると、その頂きはすでに硬くなっていた。
「恋文を書いたご褒美に、好きにさせてもらうよ」
「い、つも……好きに、なさっています」
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