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九章
25、水蜜桃【3】
何度抱いても、どれほど抱いても、翠子さんからは清らかさが失われないように思える。
だからだろう。あなたを貫くたびに、まるで嬲っているような心地になるのは。
指を絡めた翠子さんの爪が、俺の手の甲に食い込んでくる。
ああ、もっと痛めつけてくれていい。傷つけてくれていい。
俺は、それ以上のことをあなたに強いているのだから。
日頃、翠子さんの着物や服に隠されて日に当たらない部分の肌は滑らかで、ただ触れているだけでも陶酔しそうな心地になる。
俺は、あまり動かずに翠子さんの肌を撫で続けた。
大きくはないが形のいい胸、そしてなだらかな腹部、女性にしてはたぶん臀部は薄い。他の女性のを撫でたりしないから、よく知らないが。
とくに触り心地がいいのは、腿の内側だ。
俺は翠子さんを貫いたまま、動くのをやめて彼女を撫でる。彼女が膝を立てているから、ちょうど触りやすい。
「あ、あの? 旦那さま?」
「どうした?」
「何をなさっているんですか?」
「翠子さんを撫でているよ」
「でも……その」
「他にしてほしいことでもある?」
「いえ、そういうわけではなくて。その、いつもと……違うので」
「撫でたい時もあるんだよ」
翠子さんは、そういう返事を求めているわけではなかっただろう。だが、敢えて気づかぬふりで、一見意味がなさそうな箇所へ愛撫を続ける。
不思議なもので、ただ肌を撫でているだけなのに、翠子さんの頬が上気しはじめた。
「翠子さん。感じているのか?」
俺がそう尋ねたのは、彼女の中がこれまでよりもさらに潤んでいるからだ。
腿の内側に感じる部分があるわけでもないだろうに、そこを撫でると、俺を締め付けてくる。
繋がっているのに、穿つわけではなく。ただ、やわやわとした凪のような快感とも呼べぬ感覚を与え続けるだけなのに。翠子さんは目の周囲を赤らませ、潤んだ瞳で俺を見つめてくる。
ああ、水蜜桃だ。
翠子さんがゆっくりと丁寧に皮をむいて、そうしただけで果汁を滴らせたあの水蜜桃に、今のあなたはそっくりだ。
「どうしてほしい?」
「わ、分かりません。でも、このままは……いや」
「もっと、蕩けるまで撫でるつもりなんだが。まだ我慢できるね?」
翠子さんが小さく「はい」と返事をするから。俺は愛らしい言葉を発する唇をふさいだ。
こちらも我慢ができなくなるからな。
夏季休暇の課題をきちんとこなすように監督さえしていれば、あなたを存分に抱いても、翌日の登校に差し障ることがない。
だから、簡単に解放するつもりはないよ。
◇◇◇
わたくしは、お昼にいただいた水蜜桃になったような心地でした。
するりと脱がされたワンピースが果皮なのかと思っていましたが、そうではありません。
わたくしの肌を撫でさする、その行為こそが、水蜜桃の果皮を剥いている状態なのです。
ええ、わたくしもナイフを使わずに、指でそーっと水蜜桃の皮を剥がしていきました。
よく熟れていたから、苦も無く剥けたのです。そして溢れてくる果汁を、お行儀悪く舌でぺろりと受け止めました。
今のわたくしが、まさにその桃の状態です。
溢れる果汁は、わたくしの意志とは無関係にこぼれます。旦那さま自身が入っていらっしゃるから、外に流れ出ることはないのでしょうが。
こんな……こんな、恥ずかしい気持ちになるなんて。
今後、水蜜桃をいただく時には、ちゃんとナイフを使います。切り分けます。はしたなく、かじりついたりしません。
ですから、旦那さまも……一刻も早く、このじれったくて甘くて耐え難い官能から翠子を解き放ってください。
このままでは、ぐずぐずに蕩けてしまって、何をねだるか自分でも分かりませんもの。
ええ。どうかわたくしが、はしたないお願いをする前に。
だからだろう。あなたを貫くたびに、まるで嬲っているような心地になるのは。
指を絡めた翠子さんの爪が、俺の手の甲に食い込んでくる。
ああ、もっと痛めつけてくれていい。傷つけてくれていい。
俺は、それ以上のことをあなたに強いているのだから。
日頃、翠子さんの着物や服に隠されて日に当たらない部分の肌は滑らかで、ただ触れているだけでも陶酔しそうな心地になる。
俺は、あまり動かずに翠子さんの肌を撫で続けた。
大きくはないが形のいい胸、そしてなだらかな腹部、女性にしてはたぶん臀部は薄い。他の女性のを撫でたりしないから、よく知らないが。
とくに触り心地がいいのは、腿の内側だ。
俺は翠子さんを貫いたまま、動くのをやめて彼女を撫でる。彼女が膝を立てているから、ちょうど触りやすい。
「あ、あの? 旦那さま?」
「どうした?」
「何をなさっているんですか?」
「翠子さんを撫でているよ」
「でも……その」
「他にしてほしいことでもある?」
「いえ、そういうわけではなくて。その、いつもと……違うので」
「撫でたい時もあるんだよ」
翠子さんは、そういう返事を求めているわけではなかっただろう。だが、敢えて気づかぬふりで、一見意味がなさそうな箇所へ愛撫を続ける。
不思議なもので、ただ肌を撫でているだけなのに、翠子さんの頬が上気しはじめた。
「翠子さん。感じているのか?」
俺がそう尋ねたのは、彼女の中がこれまでよりもさらに潤んでいるからだ。
腿の内側に感じる部分があるわけでもないだろうに、そこを撫でると、俺を締め付けてくる。
繋がっているのに、穿つわけではなく。ただ、やわやわとした凪のような快感とも呼べぬ感覚を与え続けるだけなのに。翠子さんは目の周囲を赤らませ、潤んだ瞳で俺を見つめてくる。
ああ、水蜜桃だ。
翠子さんがゆっくりと丁寧に皮をむいて、そうしただけで果汁を滴らせたあの水蜜桃に、今のあなたはそっくりだ。
「どうしてほしい?」
「わ、分かりません。でも、このままは……いや」
「もっと、蕩けるまで撫でるつもりなんだが。まだ我慢できるね?」
翠子さんが小さく「はい」と返事をするから。俺は愛らしい言葉を発する唇をふさいだ。
こちらも我慢ができなくなるからな。
夏季休暇の課題をきちんとこなすように監督さえしていれば、あなたを存分に抱いても、翌日の登校に差し障ることがない。
だから、簡単に解放するつもりはないよ。
◇◇◇
わたくしは、お昼にいただいた水蜜桃になったような心地でした。
するりと脱がされたワンピースが果皮なのかと思っていましたが、そうではありません。
わたくしの肌を撫でさする、その行為こそが、水蜜桃の果皮を剥いている状態なのです。
ええ、わたくしもナイフを使わずに、指でそーっと水蜜桃の皮を剥がしていきました。
よく熟れていたから、苦も無く剥けたのです。そして溢れてくる果汁を、お行儀悪く舌でぺろりと受け止めました。
今のわたくしが、まさにその桃の状態です。
溢れる果汁は、わたくしの意志とは無関係にこぼれます。旦那さま自身が入っていらっしゃるから、外に流れ出ることはないのでしょうが。
こんな……こんな、恥ずかしい気持ちになるなんて。
今後、水蜜桃をいただく時には、ちゃんとナイフを使います。切り分けます。はしたなく、かじりついたりしません。
ですから、旦那さまも……一刻も早く、このじれったくて甘くて耐え難い官能から翠子を解き放ってください。
このままでは、ぐずぐずに蕩けてしまって、何をねだるか自分でも分かりませんもの。
ええ。どうかわたくしが、はしたないお願いをする前に。
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