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二章
46、バルコニーで朝食を【2】※琥太郎視点
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あー、なんでこんなにナイフとフォークが扱いづらいんやろ。
洋食には慣れているはずやのに。
私はちょっと……いや、多分かなり混乱していた。
女性経験がなかったわけではない。欧之丞みたいに、操を立てるべきお嬢さんもおらんかったし。
これまで付き合った女性はどの人もきれいで、穏やかで。そして皆、同じに見えた。
だいたいどの女性も、初対面では私の顔を凝視して、そして「素敵ですね」とか「お綺麗ですね」と、ぽうっと頬を染める。
まるで判で押したような反応や。
まぁ翠子さんは違たけど。
わたしの顔が綺麗というなら、母親似やから女顔なんやろ。素敵というなら、父親に似て身長が高いし体を鍛えとうからやろ。
でも、別に女性のために鍛えてるんやのうて、いざという時の為や。
あと、女性に対しての扱いが丁寧なんは、これも父親と欧之丞の影響かもしれへん。
なにしろ、母が病弱で虚弱すぎて、あんなに武骨な父やのに甲斐甲斐しく世話を焼いているのを見慣れているし。欧之丞が翠子さんに常に気を配っとうのも間近で見る機会が多いから。
別に、私が持って生まれた特性やないし。父やら欧之丞みたいに、誰か一人の為に優しくなっているわけじゃない。
それやのに、文子さんには自分の愛情とか優しさとか、あたたかくて柔らかい部分を全部与えたくなってしまう。
組に奴らが、女性に対して粗雑な扱いをしているのを、よく耳にするから。それもある意味、反面教師になっとんやろなぁ。
顔を上げると、文子さんが朝食を前に目移りしていた。
私は割と勘がいいから、彼女がスープを先にすべきだが、他に食べたいものがあると悩んでいると見抜いた。
ふと、文子さんが喉の辺りに手をやるのが見えた。
ああ、そうか。昨夜の所為か。
文子さんは初めてやのに、私が散々抱いたから。申し訳ないことをしたなぁ。
改める気はあらへんけど。
トーストに塗るべき蜂蜜を匙ですくい、文子さんの前に差し出す。
最初はためらっていた彼女だが、根負けしたのかついに口を開いた。
自分が差し出す蜂蜜を、口に含む文子さん。
柔らかな唇を、恐る恐る開いて匙を受け入れる。(もう彼女の唇の感触を知っとうから、柔らかそうなではなく、柔らかいと断言できる)
指に蜂蜜をつけて、それを彼女の口に入れた方が、色っぽいよなぁと思いつつ、今が朝なのを思い出した。
あかんなぁ。自制せんと。
文子さんをやたらと翻弄してしまうのは、多分彼女に甘えてしまっとんやろな。
こんな年の離れた女の子やのになぁ。
自分でも情けないけど、でもこんな風に情けない自分がおったんやなと思えるのは、なんか嬉しい。
私は、気づかぬ内ににこにこと微笑んでいたらしい。
意外と自分のことは、自分では分かりづらいのかもしれへん。
私の笑みにつられたのか、文子さんも戸惑いながらも微笑みを返してくれる。
けど、互いに目が合うと視線を外してしまって。
それやのに、また文子さんのことが気になって見てみたら、視線が合って。すぐに目を逸らせるんを、またやってしもた。
なんや、これ。大人やのうて少年の反応やろ。
うわー、恥ずかし。
洋食には慣れているはずやのに。
私はちょっと……いや、多分かなり混乱していた。
女性経験がなかったわけではない。欧之丞みたいに、操を立てるべきお嬢さんもおらんかったし。
これまで付き合った女性はどの人もきれいで、穏やかで。そして皆、同じに見えた。
だいたいどの女性も、初対面では私の顔を凝視して、そして「素敵ですね」とか「お綺麗ですね」と、ぽうっと頬を染める。
まるで判で押したような反応や。
まぁ翠子さんは違たけど。
わたしの顔が綺麗というなら、母親似やから女顔なんやろ。素敵というなら、父親に似て身長が高いし体を鍛えとうからやろ。
でも、別に女性のために鍛えてるんやのうて、いざという時の為や。
あと、女性に対しての扱いが丁寧なんは、これも父親と欧之丞の影響かもしれへん。
なにしろ、母が病弱で虚弱すぎて、あんなに武骨な父やのに甲斐甲斐しく世話を焼いているのを見慣れているし。欧之丞が翠子さんに常に気を配っとうのも間近で見る機会が多いから。
別に、私が持って生まれた特性やないし。父やら欧之丞みたいに、誰か一人の為に優しくなっているわけじゃない。
それやのに、文子さんには自分の愛情とか優しさとか、あたたかくて柔らかい部分を全部与えたくなってしまう。
組に奴らが、女性に対して粗雑な扱いをしているのを、よく耳にするから。それもある意味、反面教師になっとんやろなぁ。
顔を上げると、文子さんが朝食を前に目移りしていた。
私は割と勘がいいから、彼女がスープを先にすべきだが、他に食べたいものがあると悩んでいると見抜いた。
ふと、文子さんが喉の辺りに手をやるのが見えた。
ああ、そうか。昨夜の所為か。
文子さんは初めてやのに、私が散々抱いたから。申し訳ないことをしたなぁ。
改める気はあらへんけど。
トーストに塗るべき蜂蜜を匙ですくい、文子さんの前に差し出す。
最初はためらっていた彼女だが、根負けしたのかついに口を開いた。
自分が差し出す蜂蜜を、口に含む文子さん。
柔らかな唇を、恐る恐る開いて匙を受け入れる。(もう彼女の唇の感触を知っとうから、柔らかそうなではなく、柔らかいと断言できる)
指に蜂蜜をつけて、それを彼女の口に入れた方が、色っぽいよなぁと思いつつ、今が朝なのを思い出した。
あかんなぁ。自制せんと。
文子さんをやたらと翻弄してしまうのは、多分彼女に甘えてしまっとんやろな。
こんな年の離れた女の子やのになぁ。
自分でも情けないけど、でもこんな風に情けない自分がおったんやなと思えるのは、なんか嬉しい。
私は、気づかぬ内ににこにこと微笑んでいたらしい。
意外と自分のことは、自分では分かりづらいのかもしれへん。
私の笑みにつられたのか、文子さんも戸惑いながらも微笑みを返してくれる。
けど、互いに目が合うと視線を外してしまって。
それやのに、また文子さんのことが気になって見てみたら、視線が合って。すぐに目を逸らせるんを、またやってしもた。
なんや、これ。大人やのうて少年の反応やろ。
うわー、恥ずかし。
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