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序章
02 少年の嘘
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「こらっ! ジョージ様に向かってなんて口のきき方だ! ……申し訳ございません、ジョージ様。どうか、お許しくださいませ」
「平に、平に!」と頭を下げる高官に、ジョージの形の良い眉が鬱陶しげにしかめられる。
「……はぁ」
「お疲れでございますか⁉︎ では、お茶をお持ちしましょう。ジョージ様は、甘いものはお好きですかな?」
疲れが滲むため息を吐くジョージに、高官はせっせと世話を焼こうとしている。
エディにだって分かるのに、どうして分からないのだろう。
(今のため息は、あんたに疲れたって言っているんだと思うよ)
物言いたげなエディの視線にも、高官は気付かない。
窓から差し込む光が彼のツヤツヤした頭に反射して、ジョージの目を眩しくさせているなんて、ヘコヘコと頭を下げまくっている彼が気付くはずがないのだ。
(助け舟を出すべきか……って言っても、どうやって? あなたのハゲ頭が光を反射して、ジョージ様を照らしていますよ、なんて言ったらマズイだろうし……むむむ……)
頭を悩ませるエディの前で、ジョージが二度目のため息を吐いた。
「茶も菓子も結構だ。悪いが、部外者は出て行ってくれないか?」
「部外者だなんて、そんな……」
婚約破棄されたご令嬢のように悲嘆に暮れる高官に、ジョージもだんだんイラついてきたみたいだ。
メガネのブリッジをクイッと押し上げた彼の目は、「黙れ」と言っている。
「ひぇっ……ももも申し訳ございません。では、ごゆっくりお話くださいませ。えぇえぇ、もちろんしっかり人払いしておきますので、ご安心ください! しっ、失礼致します」
背中を見せれば斬られるとでも思っているのか、高官は器用にジョージの方を向いたまま後ろ足で逃げていった。
扉の隙間から、エディにだけ分かるように目配せするのも忘れない。
(ありゃ、ジョージ様が僕に手を出すつもりだとか思っていそうだな。それだけは、ないと思うけど。どうやったら、そんな勘違いが出来るんだろうなぁ。想像力、逞しすぎるだろ)
バタンと音を立てて扉が閉じると、室内はとたんに静かになった。
「なんか……すみません」
高官より立場が下であるエディが言うべき言葉ではないが、沈黙に耐えかねてそう言わざるを得なかった。
申し訳なさそうに小さな体をさらに縮こませているエディを見ていると、まるで弱い者いじめをしているようである。
意思の強そうな眉がハの字になると、少年の顔はまるで少女のように見えて、ジョージは余計に罪悪感を覚えた。
ジョージは気を取り直すように、足を組み換える。
「はぁ……まあ良い。それで……君はどうして、嘘をついていた?」
「それは──」
はぁぁ、と。
今度はエディがため息を吐く番だった。
「平に、平に!」と頭を下げる高官に、ジョージの形の良い眉が鬱陶しげにしかめられる。
「……はぁ」
「お疲れでございますか⁉︎ では、お茶をお持ちしましょう。ジョージ様は、甘いものはお好きですかな?」
疲れが滲むため息を吐くジョージに、高官はせっせと世話を焼こうとしている。
エディにだって分かるのに、どうして分からないのだろう。
(今のため息は、あんたに疲れたって言っているんだと思うよ)
物言いたげなエディの視線にも、高官は気付かない。
窓から差し込む光が彼のツヤツヤした頭に反射して、ジョージの目を眩しくさせているなんて、ヘコヘコと頭を下げまくっている彼が気付くはずがないのだ。
(助け舟を出すべきか……って言っても、どうやって? あなたのハゲ頭が光を反射して、ジョージ様を照らしていますよ、なんて言ったらマズイだろうし……むむむ……)
頭を悩ませるエディの前で、ジョージが二度目のため息を吐いた。
「茶も菓子も結構だ。悪いが、部外者は出て行ってくれないか?」
「部外者だなんて、そんな……」
婚約破棄されたご令嬢のように悲嘆に暮れる高官に、ジョージもだんだんイラついてきたみたいだ。
メガネのブリッジをクイッと押し上げた彼の目は、「黙れ」と言っている。
「ひぇっ……ももも申し訳ございません。では、ごゆっくりお話くださいませ。えぇえぇ、もちろんしっかり人払いしておきますので、ご安心ください! しっ、失礼致します」
背中を見せれば斬られるとでも思っているのか、高官は器用にジョージの方を向いたまま後ろ足で逃げていった。
扉の隙間から、エディにだけ分かるように目配せするのも忘れない。
(ありゃ、ジョージ様が僕に手を出すつもりだとか思っていそうだな。それだけは、ないと思うけど。どうやったら、そんな勘違いが出来るんだろうなぁ。想像力、逞しすぎるだろ)
バタンと音を立てて扉が閉じると、室内はとたんに静かになった。
「なんか……すみません」
高官より立場が下であるエディが言うべき言葉ではないが、沈黙に耐えかねてそう言わざるを得なかった。
申し訳なさそうに小さな体をさらに縮こませているエディを見ていると、まるで弱い者いじめをしているようである。
意思の強そうな眉がハの字になると、少年の顔はまるで少女のように見えて、ジョージは余計に罪悪感を覚えた。
ジョージは気を取り直すように、足を組み換える。
「はぁ……まあ良い。それで……君はどうして、嘘をついていた?」
「それは──」
はぁぁ、と。
今度はエディがため息を吐く番だった。
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