魔獣の求恋〜美形の熊獣人は愛しの少女を腕の中で愛したい〜

森 湖春

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序章

07 黄薔薇の騎士、アルストロ

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 無理もない。目の前の男はエディからして見ても、文句なしの美形イケメンなのだから。

 目の前の男の死角で、リディアはバシバシとエディの背中を叩いた。

「あ、あの方は……! 黄薔薇の騎士、アルストロ様じゃないの」

「おや、私のことをご存知でしたか。はじめまして、リディア・シャウレイさん。私の名前はジョージ・アルストロ。現在は騎士ではなく、魔獣保護団体に籍を置いています」

 ジョージと名乗ったその男は、優雅に一礼した。

 なんというか、いかにも騎士といった風の気取った礼である。

 トドメとばかりに眼鏡男子の必殺技『眼鏡クイッ』を繰り出されて、リディアは「はぅ」と声を漏らした。

(おいおいおーい、リディアー? 今日は僕が恋人なんだから、ジョージ様に惚れ惚れしている場合じゃないぞー?)

 訴えるような視線を送るが、ジョージの顔面にときめいているリディアは気付かない。

 エディはこっそり、ため息を吐いた。

「ところで……そちらの方はどなたでしょうか? 今日、ご招待したのはリディアさんだけの予定でしたが」

 不審者を見るような目で、ジョージはエディを見下ろした。

 光の加減で眼鏡のレンズがギラリと光って、威嚇されているようだ。エディは思わず、肩をぶるりと震わせた。

(まぁ、そうだよね。僕、呼ばれていないんだし)

 ジョージの態度は当然である。

 とはいえ、ここまで来たら作戦の実行あるのみだ。

 エディは挑戦的な笑みを浮かべると、精一杯胸を張ってこう言った。

「はじめまして、アルストロ様。僕の名前は、エディ・ヴィリニュス。リディアの恋人で──」

 その瞬間、大使館の窓ガラスが派手な音を立てて割れた。

「すぅぅぅぅ⁉︎」

 叫びながらも反射的にリディアに伸ばした手が、空を切る。

 バランスを崩して倒れそうになるエディの背後で、リディアが小さな悲鳴を上げた。

「リディアは俺のものだ! お前には、彼女を諦めてもらう!」

 慌てて振り返った先には、ジョージが霞むくらいの超美形な青年が、リディアをお姫様抱っこして立っていた。
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