魔獣の求恋〜美形の熊獣人は愛しの少女を腕の中で愛したい〜

森 湖春

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四章

45 熊のはなし

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「それってさ、人探しも出来るの⁉︎」

 走り寄ってきたエディが、グッとロキースの顔に迫ってくる。

 食い気味で質問されて、ロキースは面食らう。

 だがどこかで、やっぱりなとも思っている自分がいた。

 きっと彼女は、祖母であるエマを探して欲しいと言うのだろう。

 当然の願いだと思う。

「すまない」

 残念なことに、ロキースの力は万能ではない。

 ロキースが財宝だと認識していないものは、見つけることが出来ないのだ。

 逆を言えば、ロキースが財宝だと思っているもの──例えばそれはエディであったり、大好物の蜂の巣であったりすれば、すぐに分かるのである。

 エディが大切に思っているエマを、ロキースだって探そうとした。

 だけど、結果は……。

「探そうとはしたのだが、エディのお祖母様の居所は掴めなかった」

「……そっか」

 シュンと肩を落とすエディに、ロキースはもう一度「すまない」と言った。

「気にしないで。勝手に期待した、僕が悪い。それにさ、探そうとしてくれたんだろう? それだけでも、嬉しい……だから、そんな顔しないでよ」

 そう言ってエディが辛そうに笑うから、ロキースの良心がズキズキと痛む。

 ぬか喜びさせてしまったと、ロキースは後悔した。

 エディのことは、腕の中に閉じ込めて、誰よりも甘やかしてあげたいのに。

 それが、出来ない。

 出来ないどころか悲しそうな顔までさせて、ロキースの心は後悔でいっぱいになる。

 慰めようと思って伸ばした手を、ゆるゆると引っ込める。

 ロキースに、慰める権利なんてない気がした。

 ゆるゆると離れていく大きな手に、エディは気付いていた。

 ロキースの耳も目も、叱られた子供みたいに伏せられている。

(ロキースは、何も悪くないのに……)

 エディは、離れていく手が寂しくて、彼の手を取った。

 大きな手を、頰に押し当てる。触って良いんだよ、と言うように。

 エディから触れるのは、珍しいことだ。

 反省する間もなく彼女から触れられて、ロキースの気持ちが舞い上がる。

 そういう場面ではないと理性が警鐘を鳴らすが、愛しいという気持ちはどんどん生産されていく。

 ハートが一個、ハートが二個……。

 こんな重い気持ちを押し付けたら、小さなエディは溺れてしまうかもしれない。

 やはり、獣人になるのは早計だったと、ロキースは思った。

 本当は、エディが成人するまで待つつもりだったのだ。

 だというのに、我慢できずに獣人になってしまった。

 それはひとえに、執着心ゆえの行動だった。

 熊というのは、自分の獲物に対して強い執着心を示す生き物だ。

 それは、魔獣であろうとただの獣であろうと変わらない。

 また、熊に奪われたものを取り返すのは危険とも言われている。
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