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四章
49 未来を描いて
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「それで……ご用件は、何でしょうか?」
ジョージは、懐から出した眼鏡をかけた。
どうやら、眼鏡はオンとオフを分けるためのものらしい。
眼鏡に度は入っているのか、いないのか。
エディはしょうもないことが気になった。
少女に見えないのを良いことに、ジョージは剣呑な視線をツキツキと向けてくる。
(うぅぅ……おっかない。あんた、魔獣の恋を応援するのが任務なんだろ。それなのに、そんな態度で良いわけ?)
エディはたまらず、ジョージを睨み返した。残念なことに、エディの顔が幼いために、そんなに威力はない。子猫が「ニャア」と爪を立てたくらいの、なんでもない攻撃であった。
ジョージの態度を知ってか知らずか、少女はニコニコと可愛らしい笑みを浮かべながらロキースの頭上を見つめている。
視線を感じて、ロキースの耳がくすぐったそうにピクピク動いた。
「あなた、くまさんなのね。わたしのおとうさまは、おうまさんだったのよ」
両手の指を合わせて、コロコロと笑う少女は可愛らしい。
ジョージが可愛がるのも無理はないと、エディは思った。
(しかも、この子の父親は馬だって言った。つまりこの子は、獣人の子供ってことだよね?)
獣人だけでも珍しいのに、獣人の子供なんてもっと稀少だ。
少女には、獣の耳も尾も見当たらない。
正直言って、顔は中の中くらい。獣人特有の目の眩むような美貌ではない。
それでも目が惹きつけられるのは、どうしてなのか。
(へぇ。獣人の子供は、獣人みたいな特徴はないんだ? なるほど。じゃあ、もしも僕とロキースがそういうことになったら、こんな子が生まれるってこと?)
エディはこっそりロキースを盗み見て、それから想像してみた。
ロキースと同じハニーブラウンの髪と蜂蜜みたいな色をした目をもつ、自分によく似た顔立ちの子供。
一人だろうか、二人だろうか。熊の子供は二匹のイメージが強い。
男の子だろうか。女の子だろうか。どちらでも、きっと可愛い。
背は小さいだろうか。大きいだろうか。元気ならどちらでも。
ロキースの腕の中で子供たちと一緒に抱きしめられ、楽しげに笑い合うシーンまで想像して、エディは思った。
(もしかして、大丈夫そう……?)
根拠はないが、なんとなくいけそうな気がした。
この勢いで、ロキースのことをもっと好きになれたら、万事順調なのにとも思う。
自分を好いてくれている相手との子供を想像するなんて、どう考えたって友愛よりも限りなく恋に近い。いや、恋だろう。もしかしたら、愛かもしれない。
だが、恋愛経験皆無の彼女に、それを知る術はなかった。
これは、非常に勿体無い出来事であった。痛恨のミスである。
目の前に居たジョージは、その瞬間一体なにをしていたんだと、後に魔獣保護団体所長のマリー・クララベルが彼を詰《なじ》ったほどである。「だが、ニューシャが……」と言い訳したジョージに、マリーは心底呆れたようなため息を吐いたのだけれど。
ジョージは、懐から出した眼鏡をかけた。
どうやら、眼鏡はオンとオフを分けるためのものらしい。
眼鏡に度は入っているのか、いないのか。
エディはしょうもないことが気になった。
少女に見えないのを良いことに、ジョージは剣呑な視線をツキツキと向けてくる。
(うぅぅ……おっかない。あんた、魔獣の恋を応援するのが任務なんだろ。それなのに、そんな態度で良いわけ?)
エディはたまらず、ジョージを睨み返した。残念なことに、エディの顔が幼いために、そんなに威力はない。子猫が「ニャア」と爪を立てたくらいの、なんでもない攻撃であった。
ジョージの態度を知ってか知らずか、少女はニコニコと可愛らしい笑みを浮かべながらロキースの頭上を見つめている。
視線を感じて、ロキースの耳がくすぐったそうにピクピク動いた。
「あなた、くまさんなのね。わたしのおとうさまは、おうまさんだったのよ」
両手の指を合わせて、コロコロと笑う少女は可愛らしい。
ジョージが可愛がるのも無理はないと、エディは思った。
(しかも、この子の父親は馬だって言った。つまりこの子は、獣人の子供ってことだよね?)
獣人だけでも珍しいのに、獣人の子供なんてもっと稀少だ。
少女には、獣の耳も尾も見当たらない。
正直言って、顔は中の中くらい。獣人特有の目の眩むような美貌ではない。
それでも目が惹きつけられるのは、どうしてなのか。
(へぇ。獣人の子供は、獣人みたいな特徴はないんだ? なるほど。じゃあ、もしも僕とロキースがそういうことになったら、こんな子が生まれるってこと?)
エディはこっそりロキースを盗み見て、それから想像してみた。
ロキースと同じハニーブラウンの髪と蜂蜜みたいな色をした目をもつ、自分によく似た顔立ちの子供。
一人だろうか、二人だろうか。熊の子供は二匹のイメージが強い。
男の子だろうか。女の子だろうか。どちらでも、きっと可愛い。
背は小さいだろうか。大きいだろうか。元気ならどちらでも。
ロキースの腕の中で子供たちと一緒に抱きしめられ、楽しげに笑い合うシーンまで想像して、エディは思った。
(もしかして、大丈夫そう……?)
根拠はないが、なんとなくいけそうな気がした。
この勢いで、ロキースのことをもっと好きになれたら、万事順調なのにとも思う。
自分を好いてくれている相手との子供を想像するなんて、どう考えたって友愛よりも限りなく恋に近い。いや、恋だろう。もしかしたら、愛かもしれない。
だが、恋愛経験皆無の彼女に、それを知る術はなかった。
これは、非常に勿体無い出来事であった。痛恨のミスである。
目の前に居たジョージは、その瞬間一体なにをしていたんだと、後に魔獣保護団体所長のマリー・クララベルが彼を詰《なじ》ったほどである。「だが、ニューシャが……」と言い訳したジョージに、マリーは心底呆れたようなため息を吐いたのだけれど。
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