勇者パーティを追放されてしまったおっさん冒険者37歳……実はパーティメンバーにヤバいほど慕われていた

秋月静流

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おっさん、慕われる

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 おっさんが出て行って10分後……ボク達はこそこそ顔を突き合わせる。


「――行った?」
「ええ、間違いなく」
「探知魔術も使った。
 郊外へ向かっているのを把握した」
「ふう~危なかった。
 どうにか説得に応じてくれたね」
「まったくですわ。
 ガリウス様の事ですから、中途半端な態度ではお前達が心配だから~と、こっそり尾行されてきそうですし」
「うん、ありそう。
 ガリウスは過保護だから。
 最後の助言は心に浸みた」
「あれは反則ですわ。
 思わず演技の為の仮面が外れそうになりましたもの」
「まあね。
 自分が窮地でも優しさや労わりを忘れない。
 だからこそおっさんは最高なんだけどさ。
 ……それじゃ、再度確認するよ。
 ボク達はおっさんのお陰でここまで成り上がった。
 それに対する感謝は忘れてないよね?」
「勿論。
 わたくしは身寄りのない孤児の一人だったのに、聖女と呼ばれるまで育ててくれたんですよ?」
「同感。
 あたしだって色々教わって賢者の資格を取得出来た」
「ボクなんか田舎の農家出身だったのが、おっさんに鍛えられ今や勇者だよ。
 おっさんがいなければ間違いなくクエストに失敗して野垂れ死にしてたのにさ。
 あの人は親以上の存在で間違いない。ただ……」
「――ええ。
 わたくし達の事にかまけて自分の事が疎かになってしまう。
 本来であればガリウス様こそ英雄になれるお人なのに」
「打算のないそういったところも好きなんだけど……
 あたし達もあの人に甘え過ぎていたと思う」
「ああ――だから今日からボク達は変わる。
 これからはボク達がおっさんを陰から支える!
 異存はないよね?」
「当然ですわ」
「今更聞かないでほしい」
「――ったく。
 どんだけおっさんが好きなんだよ、ふたりとも」
「あら? それは貴女でしょ、シア。
 さっき咄嗟に本音を口走りそうになったでしょ?」
「ホントに。
 なんだかんだ言って貴女が一番ガリウスを慕ってる」
「それはそのぅ……前衛職としていつも一緒にいたから」
「ふふ、乙女ですね」
「可愛い」
「まあわたくし達も負けてないんですけどね!」
「――ん」
「特にさっきのガリウス様のお顔ときたら!
 信じていたものがガラガラと崩れていきそうになりながらも……
 それでもわたくし達を心配させまいと、気丈にも自らを繋ぎ止め取り繕う!
 あの弱々しくも懸命で儚げな姿はたまりませんわ!
 あれだけでしばらくネタに困りません!」
「聖女なんて言われてるけど何気にこいつが一番ヤバいんだよね……」
「うん。持ってる本のほとんどが腐ってる……」
「本性は聖女じゃなくて性女ですわ~って、こないだ言ってた」
「うあ~」
「そこ!
 人の趣味にグチグチ言わないでくれます!?」
「まあ、色々おかしくなるのはシアも一緒。同類」
「うええ?」
「こないだガリウス様の着終えたシャツの匂いを嗅いでましたわね。
 履き続け蒸れきった靴下と一緒に。
 さすがのわたくしでもその行為は引きますわ」
「うん、ドン引き。戦慄」
「そ、そういうリアだってガリウスからこっそり拝借した鞘で何してたのさ!
 聞こえないと思ってるんだろうけど意外と壁って薄いんだからね!」
「なっ!? 淑女の秘密をよくも!」
「というか……やめませんか?
 このままだと不毛な争いになりそうで……」
「確かに……」
「うん、ごめん……」
「でも本当に皆さんガリウス様がお好きなんですね」
「ホント罪作りな男。
 見えないフラグばっか立てまくるし」
「そこがいいんじゃないか。
 じゃあ改めて誓おう……
 ボク達はこれから大好きなガリウスが成功するまで陰から支えるよ!」
「は~い」
「了承した」
「同意も得られたとこで、さっそくおっさんの後を追跡だ。
 おっさんは唯一無二のユニークスキル【英雄の運命】持ち。
 まるでヒロイックサーガの様な波乱万丈な出会いと宿命の因果。
 トラブルやフラグが放っておいても勝手に襲ってくる。
 だからボク達の役目はその露払いだ。
 厳選した良イベントのみをおっさんにお届けするよ。
 報われない役目だけど――
 おっさんには絶対幸せになってほしいから。いいね?」
「「了解!!」」

 こうしておっさん大好きなボク達の――フラグ叩きが始まるのだった。



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