勇者の系譜とやらに異世界転生した私ですが、そんな事など関係なくメイド喫茶で働いてます

秋月静流

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お見通しらしいです

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 聞き分けのない駄々っ子のようですが私は拗ねてます。
 まあ……自分がやらかした事なので、本気ではありませんけど。
 兄様達はそんな私の態度に苦笑しつつ、ただ無言で私の手を片方ずつ取ると歩き始めます。
 掴まった宇宙人の様に連れられていく私。
 でも不満はありません。
 胸を占めるのは満たされる想い。
 同じく無言で足を進めます。
 薄闇の帳が下りた村外れ。
 灯りが燈った我が家が見えてきました。
 鼻をくすぐるいい香り。
 今夜はシチューみたいです。

「ただいま~っと」
「ただいま戻りました」
「ただいまです」

 三人揃って玄関に入り帰宅の挨拶をします。
 すると奥からパタパタとスリッパの音を立てて、母様がやってきました。
 料理中の為かエプロン姿です。
 私達は靴を脱ぐとスリッパに履き替えます。
 この世界ではあまりメジャーではないのですが、私の家は土足厳禁なのです。
 何でも昔からそうしてきたとのこと。
 日本式に慣れてる私にはありがたい風習でしたけど。

「おかえりなさい。
 随分遅かったんじゃない?」
「それは、まあ……」
「色々あったので……
 ね、ユナ」
「はい」
「ふ~ん」
「あ、母さん」
「な~に?」
「頼まれた買い物ですが、ちゃんとこなしましたよ。
 明日には届くそうです。
 はい、これカードです」
「まあ……ありがとう、シャスティア。
 でもね」

 カードを受け取った母様は苦笑しながらシャス兄様の身体を抱き締めます。

「嘘ではないにしても……
 誤魔化すのならもっと上手にしないとね?
 やんちゃは程々になさい」

 優しく諭しながら、回復魔術を掛ける母様。
 柔らかな燐光に包まれ、シャス兄様の身体が癒えていきます。
 私では回復し切れなかった細かい怪我や打撲痕も完全に癒されたことでしょう。
 どうやら母様は全てお見通しのようです。

「……どうして分かったんですか、母さん」
「シャスティアの対応が、やましい事を抱えてる時のあの人と同じ反応だからよ」

 父様……全部バレてるようですよ?
 やはり母様は怖いです。

「まあわたしに話せない事情があるんでしょ?」
「ええ」
「なら無理強いはしない。
 ただ、三人ともこれだけは覚えておいて」
「?」
「わたしも、あの人も……
 貴方達を大好きだということ。
 これだけは忘れないでね」
「はい(うん)!」
「よろしい。じゃあ御飯にしましょう!
 手を洗ったら席について~」

「「「は~い」」」

 母様に促され手を洗いテーブルに着きます。
 食卓にはキノコを主菜とした料理が並び、
 ジャガイモと人参のシチューは食欲を誘う芳香を放っています。 
 急に自分が空腹だということを思いだしました。
 懸命にお腹を宥めてると、父様も書斎から顔を出しテーブルに腰掛けます。

「ただいま、父さん」
「今帰りました」
「ただいまです」
「お~みんなおかえり。
 どうやら勢揃いしたようだね。
 母さんの料理は今日も美味そうだな。
 冷めない内にいただくとしようか」

「「「賛成~」」」

「はは。三人とも元気がいいな。
 何かいいことがあったかい?
 ……じゃあ、いただきます」

「「「「いただきま~す」」」」

 父様の音頭に皆の声が唱和し、
 美味しい時間の始まりとなるのでした。

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