勇者の系譜とやらに異世界転生した私ですが、そんな事など関係なくメイド喫茶で働いてます

秋月静流

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黒歴史らしいです

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 仲直りの握手の後はおやつの時間です。
 育ち盛りはすぐにお腹が減るのが困りものです。
 中途半端になっていたクッキーを食べながら、兄様と色々お話しをします。
 家族の事。
 友達の事。
 マイブームなど。
 最近の兄様はアップリケ作りに凝っているそうです。
 母様が繕ってくれるアップリケはとても可愛く、
 兄様も是非真似してみたいと思ったみたいです。

「女の子みたいかな?」
「いいえ。素敵な趣味だと思います。
 兄様は昔から手先が器用ですし、結構向いてるのではないでしょうか?
 今、お持ちになってるんですか?」
「うん。あるよ」
「わあ。是非見てみたいです♪」
「はは。まだまだ上手には出来ないんだけどね」

 苦笑しながらも兄様が見せてくれたハンカチには可愛いワンコが縫い付けられてます。
 さらにワンコの周りには犬小屋とお花まで。
 ……前世である悠奈の私よりも上手でした。
 弱冠6歳にしてこの技量。
 つくづく恐ろしい才能だと思います。
 哀しい敗北感にめげそうになりながら、私は引き続き兄様と談笑を続けます。
 兄様は特に真剣に、
 時に笑顔で応対してくれました。
 でも楽しい時が経つのはあっという間で、辺りには夕闇が押し迫ってきました。
 母様も心配するでしょうし、そろそろ帰宅しなくてはならないでしょう。

「随分暗くなってきたね」
「そうですね」
「……帰ろうか、ユナ」
「はい、兄様」

 再び差し伸べられた手を取り、私達は家路につきます。

「よっ、と。
 頭の方は冷えたみたいだな」

 そんな私達を待っていた様にミスティ兄様が道中現れ、合流します。

「兄さん……先程は……」
「んー……ま、気にすんな。
 お前だって完璧じゃないんだからさ。
 あいつらにも然るべき報いは喰らわせてきたし」
「でも……」
「あ~~~~~もう!
 我が弟ながら、シャスはホント面倒な奴だな。
 じゃあ明日のオヤツ、それで手を打とう」
「……それはレートが高くありませんか?
 異議を申し立てたいのですが……」
「けっ、可愛げのない奴」
「フフ」
「ほら見ろ。ユナにまで笑われちまっただろ」
「ボクのせいだけではない気が……」
「いや……それはそうだけど……」

 二人の兄様の漫才じみたやり取りに自然と笑みが零れます。
 その瞬間、胸の奥から込み上げてくる何やら無性にあたたかい想い。
 私は二人の兄様を見上げながら、正直にこの胸の内を吐露することにしました。

「ねえ、ミスティ兄様にシャス兄様」
「ん?」
「何です?」
「ユナは……
 私は、二人の妹で本当に幸せです」

 あ、あう。
 うあ~何を口走ってるんでしょうか、私。
 言った後で顔が赤面し汗がダラダラ出てきます。
 完全に黒歴史ですよ、これ。
 ですが二人は私を馬鹿にすることなく、
 お互いに顔を見合わせると苦笑し、
 私の頭を優しく撫でてくれるのでした。

「もう! 子供扱いしないでください!」
「だって……こんな可愛い事言うし。なあ?」
「ええ、実の妹に萌え殺されるとこでした」

 何やら共感し合う二人。
 ……もう~知りません(ぷい)。


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