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自嘲しちゃうみたいです
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「もう一度問おう。
貴様は転生者か?」
「わっ……私は……」
「言え。何が目的だ?
そして誰の差し金だ?」
研ぎ澄まされた刃の様な声色。
鋼の意志を感じさせる氷の双眸。
見慣れぬ黒白の双刃から放たれる圧倒的な闘気と殺気。
精神強化、並びに抗フィア系のスキルを総動員し対抗。
それでも魂に染み込んでゆく根源的な恐怖。
この男性は危険です。
いうなれば天敵にも近い存在。
理屈じゃなく本能的に直感します。
今も男性を恐れ、萎縮した心に追随するように、膝が折れそうになってます。
ですがこの場を切り抜ける為にも屈する訳にはいきません。
痺れる様にガクガクする太腿を強引に抑え込み、私は男性を見返します。
もしかしたら殺されるかもしれません。
けれど何もせず安易に身を委ねるのはノルン家の信条に反します。
限界まで諦めない。
如何なる事態でも。
その信条を忠実に遵守するのが如何に難しいか。
だけど今守らずしていつ守るのでしょう。
歯がカチカチ鳴るのを喰いしばり、口角を苦心して微笑みます。
その反応に怯んだ男性の隙を逃さず、
強張る手でエプロンドレスの裾を掴みます。
流れる様に頭を垂れ、宮廷礼儀作法式の一礼。
ツインテールの髪が別個の生き物のように宙に舞いました。
澱みないその動作。
身体の髄までメイドの心得が宿っていることを実感します。
如何なる時も優雅たれ。
ファル姉様の教えが自然と身体を動かしてくれるからです。
これが私の最後なら、せめて最高の姿を誰かに見せてやりたい。
そう思うのは私が愚かだからでしょうか?
いいえ。これは意地です。
悪戯な運命とやらに懸命に抗う人としての意志。
震えない様にこっそり深呼吸をし、私は名乗りを上げます。
「お前は……」
「私の名はユナティア・ノルン。
フェイム村自警団長カルティア・ノルンが長女です。
貴方は意識を失って川を流されておりました。
その窮地を救ったのは私です。
しかし恩義に対する報いがこれですか?
礼儀知らずにも程があるのなら……
私は殺されようとも断固として抗議します!」
凛と。
恐怖を打ち払うように毅然として宣言。
軽くやっちゃった感が脳裏を過ぎりますが、後悔はしません。
現に男性は驚いている様でした。
頭が痛むのか、何かを思い出すかのように眉を顰め堪えてます。
やがて何かしらの結論が出たのか、
私を見定める様にじっくり観察するとその口元を綻ばせるのでした。
「なるほど……
傀儡ではないか」
苦笑と共に刃を納める男性。
その場で跪くと私と目線を合わせます。
「え……?」
突然の事態に茫然とする私。
しかし男性は意に介さず、私の手を取ります。
まるで姫に傅(かしず)く騎士のように。
「あ、やっ……」
な、何事です!?
気恥ずかしさに顔が紅潮していきます。
こうして改めてじっくり男性の顔を観察すると、
歴戦の勇士を窺わせる気迫とは別に、
目鼻の整った美丈夫である事が分かりました。
「非礼は詫びよう。
仮にも命の恩人に対し無礼だったな。すまない」
その場で頭を下げる男性。
アップダウンの展開に脳の理解が及びません。
「それにまさかノルン家に所縁の者だったとはな……
これも運命の導きならば、真に数奇なるものだ」
「貴方は一体……」
「わたしか?
わたしは……」
答えようとした男性。
しかしそこまでが気力の限界だったのでしょう。
瞬時に意識を失うとその場に倒れ込みます。
事態の成り行きに再び呆然とする私。
でもまあ無理もありません。
先程まで動いて話してる状態こそが異常な程の深手だったのです。
一刻も早い本格的な治療が必要でしょう。
「でも……どうしましょう?」
生き延びた事に安堵の溜息を洩らしながら私は困惑します。
一番いいのはこのまま何もなかった事にして立ち去る事です。
男性と無関係を貫けば面倒に巻き込まれる事もありません。
実際私は命を狙われた訳ですし、例えこのまま男性が衰弱死しても私の所為ではありません。
非難する人とていないでしょう。
「何だ最初から結論は出てるじゃないですか」
私はにっこり微笑むとスカートから呼び子を取り出します。
自警団員が持ってる緊急集合用の呼び子です。
それを口に咥え高らかに鳴らすと、私は急ぎ男性の介抱に取り組みます。
限界ギリギリまで血を失い本当に危険な状態です。
手かざしで気を注ぎ込み、男性の内面を活性化しながら私は自分の行為に苦笑してしまいます。
だって母様の娘である私にとって……傷付き病める人を放っておく選択肢なんて最初からなかったんです。
悩む方が馬鹿でした。
でも、命を狙った人を救おうとするなんて……
フフ……私も大概お人好しですね。
「大丈夫ですか!?
しっかりして下さい!」
誰かが駆けつける足音を遠くに聞きながら、
私は醒めた自分の内心に呆れ返るのでした。
貴様は転生者か?」
「わっ……私は……」
「言え。何が目的だ?
そして誰の差し金だ?」
研ぎ澄まされた刃の様な声色。
鋼の意志を感じさせる氷の双眸。
見慣れぬ黒白の双刃から放たれる圧倒的な闘気と殺気。
精神強化、並びに抗フィア系のスキルを総動員し対抗。
それでも魂に染み込んでゆく根源的な恐怖。
この男性は危険です。
いうなれば天敵にも近い存在。
理屈じゃなく本能的に直感します。
今も男性を恐れ、萎縮した心に追随するように、膝が折れそうになってます。
ですがこの場を切り抜ける為にも屈する訳にはいきません。
痺れる様にガクガクする太腿を強引に抑え込み、私は男性を見返します。
もしかしたら殺されるかもしれません。
けれど何もせず安易に身を委ねるのはノルン家の信条に反します。
限界まで諦めない。
如何なる事態でも。
その信条を忠実に遵守するのが如何に難しいか。
だけど今守らずしていつ守るのでしょう。
歯がカチカチ鳴るのを喰いしばり、口角を苦心して微笑みます。
その反応に怯んだ男性の隙を逃さず、
強張る手でエプロンドレスの裾を掴みます。
流れる様に頭を垂れ、宮廷礼儀作法式の一礼。
ツインテールの髪が別個の生き物のように宙に舞いました。
澱みないその動作。
身体の髄までメイドの心得が宿っていることを実感します。
如何なる時も優雅たれ。
ファル姉様の教えが自然と身体を動かしてくれるからです。
これが私の最後なら、せめて最高の姿を誰かに見せてやりたい。
そう思うのは私が愚かだからでしょうか?
いいえ。これは意地です。
悪戯な運命とやらに懸命に抗う人としての意志。
震えない様にこっそり深呼吸をし、私は名乗りを上げます。
「お前は……」
「私の名はユナティア・ノルン。
フェイム村自警団長カルティア・ノルンが長女です。
貴方は意識を失って川を流されておりました。
その窮地を救ったのは私です。
しかし恩義に対する報いがこれですか?
礼儀知らずにも程があるのなら……
私は殺されようとも断固として抗議します!」
凛と。
恐怖を打ち払うように毅然として宣言。
軽くやっちゃった感が脳裏を過ぎりますが、後悔はしません。
現に男性は驚いている様でした。
頭が痛むのか、何かを思い出すかのように眉を顰め堪えてます。
やがて何かしらの結論が出たのか、
私を見定める様にじっくり観察するとその口元を綻ばせるのでした。
「なるほど……
傀儡ではないか」
苦笑と共に刃を納める男性。
その場で跪くと私と目線を合わせます。
「え……?」
突然の事態に茫然とする私。
しかし男性は意に介さず、私の手を取ります。
まるで姫に傅(かしず)く騎士のように。
「あ、やっ……」
な、何事です!?
気恥ずかしさに顔が紅潮していきます。
こうして改めてじっくり男性の顔を観察すると、
歴戦の勇士を窺わせる気迫とは別に、
目鼻の整った美丈夫である事が分かりました。
「非礼は詫びよう。
仮にも命の恩人に対し無礼だったな。すまない」
その場で頭を下げる男性。
アップダウンの展開に脳の理解が及びません。
「それにまさかノルン家に所縁の者だったとはな……
これも運命の導きならば、真に数奇なるものだ」
「貴方は一体……」
「わたしか?
わたしは……」
答えようとした男性。
しかしそこまでが気力の限界だったのでしょう。
瞬時に意識を失うとその場に倒れ込みます。
事態の成り行きに再び呆然とする私。
でもまあ無理もありません。
先程まで動いて話してる状態こそが異常な程の深手だったのです。
一刻も早い本格的な治療が必要でしょう。
「でも……どうしましょう?」
生き延びた事に安堵の溜息を洩らしながら私は困惑します。
一番いいのはこのまま何もなかった事にして立ち去る事です。
男性と無関係を貫けば面倒に巻き込まれる事もありません。
実際私は命を狙われた訳ですし、例えこのまま男性が衰弱死しても私の所為ではありません。
非難する人とていないでしょう。
「何だ最初から結論は出てるじゃないですか」
私はにっこり微笑むとスカートから呼び子を取り出します。
自警団員が持ってる緊急集合用の呼び子です。
それを口に咥え高らかに鳴らすと、私は急ぎ男性の介抱に取り組みます。
限界ギリギリまで血を失い本当に危険な状態です。
手かざしで気を注ぎ込み、男性の内面を活性化しながら私は自分の行為に苦笑してしまいます。
だって母様の娘である私にとって……傷付き病める人を放っておく選択肢なんて最初からなかったんです。
悩む方が馬鹿でした。
でも、命を狙った人を救おうとするなんて……
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