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事務的で見ない振りみたいです
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「新しき魔族の系譜……」
「はい。純粋な精神生命体である魔族とは違い、物質界に依存した存在となってはいますが。
斃す事が容易になった分、繁殖も可能となったのが脅威です。
幸いな事に彼等の寿命は人族と同様。
更に一族の意向として世捨て人の様に社会には関わらないスタンスを取っております」
「? では魔神皇は一族から離反し、単独で動いてたのですか?」
「ええ。魔神皇はゼアブリッド一族の3代目に当ります。
異界転生者として目覚めた魔神皇は、何を思い世界の改変を望んだのか。
一族に決起を促しますが、危険思想者として追放処分を受けてますね。
以後は個人で活動を開始し、組織を形成。
今日まで至るという訳です」
「先程も聞きましたが……組織?」
「はい。反体制を主体とした武装組織。
世界蛇<ミズガルズオルム>と名乗る組織です。
我等アラクネを凌駕する規模の支援体制も面倒ですが、
今回探りを入れるのに苦労したのはその隠密性と閉塞性でした。
その目的上、どうしても隠れ構成員が多いのです」
「目的とは?」
「現体制の打破による富と権利の再分配。
名目上は平和で公平なる社会の形成とは言ってますが、
その為には虐殺すら厭わないという矛盾を孕んでます」
「愚かな。
叶わぬ妄想なら、密かに抱いて溺死すればよいものを。
それで、例の裏付けは?」
「確かでした。
戦災孤児や行き場の無い者を組織で回収、手駒とする。
口に憚れる人体改造の末、恐るべき力を秘めた存在となってます。
6人いる幹部の平均レベルは80前後。
王都の高位冒険者、BB(ダブル)~AAA(トリプル)クラスに匹敵するかと。
目標とするレベルに適わない者。
人体改造に失敗した者すら、洗脳に近い信仰を摺り込まれ、組織の為には命を惜しまない狂信者に仕立て上げられてます」
「やはりそうでしたか。
あの時の反応は件(くだん)の組織員共通のものだったのですね。
幹部クラスの詳細は後程聞くとして、大まかな構成員は分かりますか?」
「はっ。上は地方領主、下は貧民層まで実に幅広いものになります。
奴等は甘言を有し、言葉巧みに心の隙間を突くことで様々な者達を次々と取り込んでますので。
その手腕は執念深く執拗。
まさに毒蛇のごときとしか形容できませんな」
「蜘蛛と蛇では相性が悪そうですね」
「確かに。
まあ我等アラクネも法の枠内に収まるとはいえ、褒められた行為をしてる訳ではありませんから。
しかし……個人の見解とはなりますが、目的の為に手段を選ばない奴等の手法はやはり肯定しかねます。
家族を人質に脅迫するならまだしも、自爆や要人暗殺を強いるとは。
幼子を殺され嘆き怒り狂う親の気持ちすら利用し、使い捨てる。
決して容認出来ません」
「銀狐……そういえば貴方は」
「私事が過ぎましたね。
申し訳ございません」
内心を隠す様に会話を打ち切り、一礼する銀狐。
アラクネに向かい入れる前。
彼は王都に潜む闇社会の者達の手によって、我が子を見せしめに目の前で殺されてます。
自らの無力さに絶望し、血の涙を流す銀狐。
彼の妻を救い出すのが精一杯だった当時の私<アラクネ>。
謝罪すらできず声を失う私達に、彼は救い出した奥様に宥められ、立ち上がり問いてきました。
お前達は何者だと。
組織の概要を話す私(端末)。
虐げられし存在に救いの手を。
弱者の救済を謳った相互扶助を主体とした情報ネットワーク。
彼は復讐に燃えつつも、組織運営に賛同してくれました。
盲目的に殉じる事が贖罪になるかのように。
故に彼は赦せないのでしょう。
人を蔑ろにする<ミズガルズオルム>の在り方を。
私は血が滲む程に握られた銀狐の手を見ない振りをしながら、
敢えて事務的に彼へ話の続きを促すのでした。
「はい。純粋な精神生命体である魔族とは違い、物質界に依存した存在となってはいますが。
斃す事が容易になった分、繁殖も可能となったのが脅威です。
幸いな事に彼等の寿命は人族と同様。
更に一族の意向として世捨て人の様に社会には関わらないスタンスを取っております」
「? では魔神皇は一族から離反し、単独で動いてたのですか?」
「ええ。魔神皇はゼアブリッド一族の3代目に当ります。
異界転生者として目覚めた魔神皇は、何を思い世界の改変を望んだのか。
一族に決起を促しますが、危険思想者として追放処分を受けてますね。
以後は個人で活動を開始し、組織を形成。
今日まで至るという訳です」
「先程も聞きましたが……組織?」
「はい。反体制を主体とした武装組織。
世界蛇<ミズガルズオルム>と名乗る組織です。
我等アラクネを凌駕する規模の支援体制も面倒ですが、
今回探りを入れるのに苦労したのはその隠密性と閉塞性でした。
その目的上、どうしても隠れ構成員が多いのです」
「目的とは?」
「現体制の打破による富と権利の再分配。
名目上は平和で公平なる社会の形成とは言ってますが、
その為には虐殺すら厭わないという矛盾を孕んでます」
「愚かな。
叶わぬ妄想なら、密かに抱いて溺死すればよいものを。
それで、例の裏付けは?」
「確かでした。
戦災孤児や行き場の無い者を組織で回収、手駒とする。
口に憚れる人体改造の末、恐るべき力を秘めた存在となってます。
6人いる幹部の平均レベルは80前後。
王都の高位冒険者、BB(ダブル)~AAA(トリプル)クラスに匹敵するかと。
目標とするレベルに適わない者。
人体改造に失敗した者すら、洗脳に近い信仰を摺り込まれ、組織の為には命を惜しまない狂信者に仕立て上げられてます」
「やはりそうでしたか。
あの時の反応は件(くだん)の組織員共通のものだったのですね。
幹部クラスの詳細は後程聞くとして、大まかな構成員は分かりますか?」
「はっ。上は地方領主、下は貧民層まで実に幅広いものになります。
奴等は甘言を有し、言葉巧みに心の隙間を突くことで様々な者達を次々と取り込んでますので。
その手腕は執念深く執拗。
まさに毒蛇のごときとしか形容できませんな」
「蜘蛛と蛇では相性が悪そうですね」
「確かに。
まあ我等アラクネも法の枠内に収まるとはいえ、褒められた行為をしてる訳ではありませんから。
しかし……個人の見解とはなりますが、目的の為に手段を選ばない奴等の手法はやはり肯定しかねます。
家族を人質に脅迫するならまだしも、自爆や要人暗殺を強いるとは。
幼子を殺され嘆き怒り狂う親の気持ちすら利用し、使い捨てる。
決して容認出来ません」
「銀狐……そういえば貴方は」
「私事が過ぎましたね。
申し訳ございません」
内心を隠す様に会話を打ち切り、一礼する銀狐。
アラクネに向かい入れる前。
彼は王都に潜む闇社会の者達の手によって、我が子を見せしめに目の前で殺されてます。
自らの無力さに絶望し、血の涙を流す銀狐。
彼の妻を救い出すのが精一杯だった当時の私<アラクネ>。
謝罪すらできず声を失う私達に、彼は救い出した奥様に宥められ、立ち上がり問いてきました。
お前達は何者だと。
組織の概要を話す私(端末)。
虐げられし存在に救いの手を。
弱者の救済を謳った相互扶助を主体とした情報ネットワーク。
彼は復讐に燃えつつも、組織運営に賛同してくれました。
盲目的に殉じる事が贖罪になるかのように。
故に彼は赦せないのでしょう。
人を蔑ろにする<ミズガルズオルム>の在り方を。
私は血が滲む程に握られた銀狐の手を見ない振りをしながら、
敢えて事務的に彼へ話の続きを促すのでした。
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