勇者の系譜とやらに異世界転生した私ですが、そんな事など関係なくメイド喫茶で働いてます

秋月静流

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事態は急変を迎えるみたいです

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「我等アラクネの調査を以てしても魔神皇の名と真の実力は不明。
 ですが、推測されるその能力は折り紙つき……いえ、札付きです」
「というと?」
「奴は自らの魂を他者に分け与える事により、自らの力を付与された……
 そう、分身というより分霊とでもいうべき眷属を作り出す事が出来ます」
「なっ!?」
「6魔将と呼ばれる存在が正にそれで、それぞれが魔神皇に直接力を授(呪)与されてます。
 レベルもさることながら、その力が厄介です」
「詳しい内容は分かりますか?」
「はい。活動してる者達5名までは既に」
「では述べなさい」
「はっ。まずは地獄の道化師の異名を持つ<恐影>のパンドゥール。
 自身がアストラルサイドに身を堕とす程卓越した影使いです。
 人の心を惑わす術に長け、叛乱を促し疑心暗鬼を誘う厄介な存在です」
「ええ。知ってます」
「盟主様は……そうでしたな。
 もっともここ数年は休眠状態で活動の傾向は御座いません」
「でしょうね……ティアに感謝しなくては」
「……続けます。
 次は殺戮の貴公子こと<狂慄>のミシュエルブラード。
 血液を媒介とした魔術を使い前衛を熟す血戦師です。
 女性と見間違える程端正な容貌とは裏腹に、
 敵も味方も皆殺しにする事で有名な狂戦士でもあります」
「味方も?」
「はい」
「それはまた……傍迷惑な存在ですね」
「本人は腐ったこの世からの解放という御題目に酔ってますから。
 狂信者はいつも迷惑なものですな」
「ええ。次は?」
「次は深淵の呪教授こと<冥想>のバレディヤ男爵。
 元は地方領主の一人だったのですが……自らの推進する持論、人としての進化という名のおぞましい人体実験を領民相手に繰り返していた為、王国から追放処分を受けてます。
 片眼鏡(モノクル)に燕尾服、ステッキという出で立ちであちらこちらに現れては誘拐や殺人を繰り返すシリアルキラーです」
「幼少の頃、寝物語に聞いた事がありますね。
 最早都市伝説のたぐいではないですか」
「まさに。では次の……」

 銀狐がそこまで言い掛けた時、
 村外れまで鳴り響く、耳をつざくような爆発音。
 ついで聞こえる人々の悲鳴。
 喧噪。
 打ち上げる予定の花火が爆発したのでしょうか?
 いいえ、違います。
 耳を澄ます私に聴こえてくるのは

「バケモノだああああ!!」
「逃げろ!」
「冒険者達を呼んでこい! 早くしろおおお!!」

 という逼迫した村人たちの叫び声でした。
 これはもしや……

「銀狐」
「はっ」
「尾行されましたか?
 ……いいえ、違いますね。
 貴方の能力の特性上、それはありえない。
 すると……」
「はい。盟主様の推測通りで御座います。
 ご覧ください。
 私の運命石にネットワークを介し、次々と各地の惨状が飛び込んできてます。
 これは……このフェイム村だけでなく地方全体を狙ったもの。
 即ち同時多発テロ」
「くっ。どういうことです!?」
「つまりは……遂に動き出したのでしょう。
 王国を相手に反旗を翻す為<ミズガルズオルム>が本格的に。
 これはホンの宣戦布告に過ぎません」

 闇夜に燃える火柱を遠くに見据えながら、
 銀狐は冷酷なまでに告げるのでした。



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