迷宮アドバイザーと歩む現代ダンジョン探索記~ブラック会社を辞めた俺だが可愛い後輩や美人元上司と共にハクスラに勤しんでます

秋月静流

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5日目②

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 ギャウギャウ!
 想定よりも可愛くない鳴き声と共に5匹の狼が疾走して来る。
 この階層のメジャーモンスターである【ダイアウルフ】だ。
 集団での狩りを得意としており、個々の戦闘力は低くても侮れない。
 しかしそれはソロの話。
 楓とパーティを組んだ今の俺達なら苦戦はない。

「クイックネス!」

 武具を振るう【機敏】の魔法を自分と楓に唱えておく。
 こいつら相手に攻撃魔法は撃ち損だ。
 当たれば一撃だがその間に距離を詰められる。
 連続斉唱スキルでもない限り魔法の連射は出来ない。
 ならば相手の俊敏さに備えて確実にダメージを与えられるように【機敏(クイックネス)】で個々の敏捷性を上昇させた方がいい。
 囲まれないよう階段のある崖を背にした俺達は互いの死角をカバー。
 今後集団戦闘ではこういった形でお互いをフォローするのが基本になりそうだ。
 風を切って迫るダイアウルフらだったが、5メートル近くまで近寄った瞬間――
 高らかにジャンプした。
 二足歩行型生物の弱点である喉を食い千切ろうとしたのだろう。
 だがそれは事前にアイから対処の仕方を聞いていた。

「楓!」
「分かってるっす!」

 互いに膝を曲げると腰ごと上体を引き下げる。
 驚いたような顔をしながら慣性の法則で頭上を飛んでいく狼達。
 これが【噛み付き】の弱点だ。
 ギリギリで進行方向から身体をずらされると空中故に方向転換が利かない。
 そしてしゃがみ込んだ今、犬型モンスターにとって一番の急所である柔らかい腹部が丸見えになってしまっている。
 それを逃すほど俺達は甘くない。
 獲物を構えタイミングよく突き上げる!
 攻撃はクリティカル。
 甲高い悲鳴と共に着地前に魔石を残し粒子化する2匹。
 これで残りは3体。
 無謀な飛びつきを反省し、着地ざまに振り返って俺達に再襲撃を掛けようとする狼らだが……反応が遅い。
 間髪入れず身を翻した俺達はそのまま強襲をかける。
 スコップの先端が、
 小太刀の刃先が、
 的確に狼の肢体を捉え貫く!
 残りは一体!
 首を振り周囲の状況を把握した最後の狼はバックステップで距離を置きながら上を向く。
 あれはまさか【遠吠え】で仲間を呼ぼうとするのか?
 こういう獣型モンスターの一番面倒な所はこうして咆哮を上げて近くの仲間を呼び、連鎖して延々と襲撃を繰り返すという事らしい。
 最大100匹以上リンクするみたいだが、そんな数を相手にするのはチート能力があっても無謀だろう。
 なので俺と楓は同時に放った。
 各々服に仕込んでいたあるモノを。
 工具箱からチョイスしたソレ、五寸釘は【機敏】の影響を受け狙い違わず最後の狼の喉と胸に突き刺さる。
 丁度遠吠えする為に上を向いたのが仇になったな。
 終わってみれば1分に満たない戦闘。
 でもその中身は濃厚だった。
 第一階層と違い敵が速いので自分のペースで戦うという訳にはいかない。
 今後も油断せず対応する事が求められるだろう。
 だが今回はアイの助言もあり完勝に近い内容だったと思う。
 孫氏曰く「敵を知り己を知れば百戦してあやうからず」とのこと。
 まあ全ては先読み出来ていたお陰だ。

「やりましたね、先輩!」
「おう! よくやったな、楓!」

 ハイタッチを求める楓に勢いよく応じる。
 こうして第二階層初戦闘は上々の滑り出しでスタートした。
 

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