拾った剣が精神汚染して来るんだけど!?⇔拾われた剣、主に振り回される!?

ゆうきゅうにいと

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第6章 びくびくお城の招待と新たな仲間?

第036話 幕間 シャルロッテとお共達

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 メメントリア王国の王城では国王のギリアム・アル・メメントリアが焦燥に陥っていた。
「陛下、落ち着いて下さい」
「こっ、これが落ち着いて要られるか! あのアデール王国が、たった2ヶ月前にフォシュレーグ王国に進軍したと思ったら逆侵攻を受けて儂等の目の前まで来ておるのだぞ!?」
 息子は無く、娘が2人いるが長女のスカーレットはアデール王国に人質として差し出さねばならず。次女のコクリコットは病気療養中で年々体調を悪化させ、今はベッドから出れる時間も少なくなって来ていた。
 そんな中仇敵であるアデール王国の侵攻をはね除け、何故か自国の目の前までフォシュレーグ王国軍が迫って来たのだ。焦燥もすると言うモノだろう。
(何と情けない。アデール王国の猛攻を何度も退けてきたメメントリア王国は難攻不落だと言うのに……、やはり国を納めるのは俺の様な勇猛果敢な英雄でなくてはならんな)
 この国唯一の公爵家で将軍の地位を親から引き継いだベルドット・イル・グライスローは野心をたぎらせて弱腰な国王を内心では見下していた。
 数年前にメメントリア王国の大切な食糧庫の農地をアデール王国に奪われだ。しかし国王ギリアムはやり返す事もなく高値で農作物を買わされる現状が続いているのだ。
(我が城を落とせないアデール王国ごときに弱腰外交など、フォシュレーグ王国相手には俺が対応して外交と言うモノを教えてやらねばならんな)
 国王からすれば国防の要としていた農地とそれを守る砦を奪われた時点で武力の差を理解しての判断だった。そもそも重要拠点の農地と砦を奪われたのは軍の要職に就くグライスロー公爵家の責任だと考えているのだが。

「来ました! フォシュレーグ王国軍です!!」
「来たか、規模は!?」
「はっ! 百名程です!」
「ちっ、舐めおって。いや、弱卒共にこの高地まで大軍では来れんか。此方も兵を出して連中を包囲しておけ!」
「はっ」
 その後軍を率いて来たシャルロッテは先触れを出してから使者として城に入ったが、案内されたのは些末な部屋だった。
 これは将軍のベルドットの「此方を舐めた相手に下手に出て外交が出来るか!!」との一喝で強引に決められてしまい、自国との国力の差を少しでも知る者達は止める事も出来ずに青ざめるしかなかった。

 案内されたフォシュレーグ王国の使者達、シャルロッテは大人しく案内された些末な部屋に不満を口にする事なく入っていった事にメメントリア王国の兵士達は安堵した。――彼等の会話を聞くまでは……。
「元マルトア伯爵領のアデール王国兵はどうなっていますかね」
「完全に包囲されてるからなあ。領民に無体を働いたら貴族でも処刑すると伝えてあるから、まあそこは大丈夫だろうけど」
「レイクがごちゃごちゃ言ってきた貴族達をぶった切っちまったからなあ」
「鎧ごと縦に真っ二つ、相手ドン引きだったよな! クックックッ」
「いや、リックもトマソンも殺ってたじゃないか」
「俺等は殺る気は無かったぞ? なあトマソン」
「ああ、レイクが暴れた所為でシャルロッテ様に危険が及びそうだった。露払いしただけだ」
 シャルロッテ達は元マルトア伯爵領でアデール王国軍の将官と折衷していたが、敵が現状を理解していなかった。傍若無人な振る舞いをされた上に剣を抜かれた為、レイク達は嬉々として切り捨てていったのだ。
「アデール王は貴族にも庶民にも求心力が無い様ですね」
「ふふっ、じゃなきゃこんな無茶な進軍なんてしないわよ」
 自分達にとって大国であるアデール王国の軍を歯牙にも掛けず、貴族ですら切り捨てると言う恐ろしい会話を聞かされていたメメントリア王国の兵士達は何か大きな間違いを起こしているのではと慌てて国王陛下の元へ駆け込んで行った。

「ばっ、馬鹿者! 何故そんな部屋を用意したのだ!! 相手の真意も分からぬ内にそんな扱いをする等っ、国を滅ぼしたいのか!!?」
 国王ギリアムは粗末な部屋に留め置いた事を聞いて慌てて別に会談の場を設ける様に指示し、そんな判断をしたベルドット将軍を叱責した。
(自ら国の価値を下げるとは何と愚かな。やはり俺がこの国を納めなければならんな。何とかコクリコット(第2王女11歳)に俺(32歳)の子を孕ませ、この愚王には退場して貰わんとならんな)
 青筋を立てながらも頭を垂れたベルドットは渋々国王の指示に従い会談の準備を進めさせた。しかしそれもシャルロッテの一言で覆された。
「あら、こんな立派な部屋があるのだから会談は此処で良いわ」
 長身で人並み外れた美人だが冷たい印象のシャルロッテ。そのシャルロッテが蔑む様な冷たい視線と笑顔で放った一言はメメントリア王国の兵士達を震え上がらせた。

 紆余曲折がありながらも結局部屋は変えずに国王ギリアムに宰相のカールイス・ウル・マグワイア。そこにベルドット将軍と数人の兵士達が見守る中、一様に些末な一室に集められ、カオスな会談が行われる事になった。
「リアースレイ精霊王国、ですか?」
「ええ、其処と国交を結んで得られる品物を私達のモノとしたいの。代わりにアデール王国から接収したあの農地を手放しても良いわ」
「むう」
「待っ、待って下さい陛下! あの土地は元々我々の物!! 其れを対価に何かを得よう等とはおかしいですぞ!!」
「だっ、黙れベルドット!! 国力の差を考えよ! 今は彼等の土地だ!!」
「いいえ黙りません!! 我等と協力したいのであれば先ず土地を返して誠意を見せてからにすべきですぞ!!」
 騒ぐベルドットを何とか宥めて恐る恐るシャルロッテの方を見るとうっすらと笑みを浮かべていた。
「まるで乞食の様ね」
「貴様っ! 愚弄するか!!」
 頭に血を上らせたベルドットは剣を抜き兵士達も使い脅して言う事を聞かせ様とした。
 キンッ!
 しかし気づいたら抜いた剣は根元で切断され首元にはレイクが剣を突き付けていた。
「っ、――なっ、なっ(何時の間に? 剣を切った? いやそんな馬鹿な!?)」
 ベルドットは185cmの長身だがレイクは更に高い195cm、銀髪緑目の端正な顔立ちのレイクが、信奉するシャルロッテを害そうとした事に明らかに怒りを滲ませていてベルドットを恐れさせた。
 慌てて国王と宰相がベルドットを追い出し、謝罪をして何とか仕切り直す事になった。
 ベルドットは不満そうに兵士達と引き上げたが内心では自身を敬わない、自身と隔絶した実力を持つ相手と離れる事が出来てホッとしまっていた。
 しかし追い出されたベルドットは時が経ち、冷静になると他国の騎士相手に恐れた事を恥じていた。それも自身の不甲斐なさを恥じたのではなく恥をかかされた事を恥じていたのだった。
(私は何れこの国の国王になる男だそ!! 其れを敬う事もせんとはっ! ふざけるなよ!!!)


「私達がリアースレイ精霊王国からの輸入品を手に入れるには貴方方メメントリア王国の存続が必要、その為に私達は貴方方を守る必要があるの。互いにメリットがある話しだと思うのだけど如何かしら?」
 シャルロッテは仕切り直す事になった事を敢えて責めずに会談を続けた。リアースレイ精霊王国側の印象を考えての事だ。
「何故我々に? 貴女方フォシュレーグ王国ならもっと大規模な取り引きが出来るのではないですか?」
「リアースレイ精霊王国と国交を結ぶには王都に飛空挺や彼等の組織も招き入れなければならないのよ。今のフォシュレーグ王国ではルードルシア教王国ラージヒルド商業王国の抵抗が強くて実現出来ないのよね」
「な、成る程。我が国は立地から不便過ぎてどちらにも見放されておりますからな」
 メメントリア王国には神聖教会も商業ギルドも無い。それでも神聖教会は寄付を求め、商業ギルドにはボッタクリ価格での取り引きを押し付けられているのだが。
 そうした事からも国王ギリアムと宰相カールイスはシャルロッテの説明に裏が無いだろうと納得を見せた。

「それで……。あの、リアースレイ精霊王国と言えば精霊神社の巫女様が有名ですが、来られるのでしょうか?」
「流石にこの国の規模では巫女様の派遣までは無理でしょうね」
「そう、ですか」
 恐る恐る聞く国王、何でも癒すと言われる巫女が来れば病弱な第二王女のコクリコットを癒せるかもしれないと考えたのだが、巫女は希少で派遣されない国もあると聞いていた。
 覚悟はしていたがそう上手くはいかなかったかと国王と宰相はガックリと肩を落とした。
「それでも魔法の素養のある人達には精霊神社で回復魔法を教えてくれるから、招致する利点は大きいわよ?」
「……ああ」
「ふう、――コクリコット姫はアデール王国の王都にあった精霊神社まで行く事が出来なかったのですね」
「っ、どうしてコクリコットの事を!?」
「スカーレット姫から助力を請われたのですよ」
「そう、ですか、あの子が助力を」
 自身もアデール王国等と言う野蛮な国に人質に出されながらも、妹の為に頭を下げて回っているスカーレットの行いに思わず涙ぐむ国王だった。
「もし私達と同盟を結ぶのであれば巫女様も認める我が国の誇る最高の癒し手を招き、姫様を癒してみせましょう」
 シャルロッテの言葉に目を見開いて驚く国王と宰相だったが、巫女のお墨付きがある者にコクリコットを癒させる事と同盟が結ばれれば飛空挺でメメントリア王国までスカーレットと共に向かって来ると言う事を聞いて決断した。
「これで、あの土地も我が国に戻るのか」
 シャルロッテ達を改めて最高級の部屋に案内した後国王ギリアムは呟いた。
 フォシュレーグ王国がアデール王国に領地を奪い返されれば元の木阿弥だ。しかしアデール王国の現状を聞くとその情報収集能力に舌を巻くと共に逆転はないだろうと判断したのだった。




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