拾った剣が精神汚染して来るんだけど!?⇔拾われた剣、主に振り回される!?

ゆうきゅうにいと

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第7章 ふわふわ空飛ぶ旅は旅行気分?

第018話 コクリコットとお話し

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「妹なのに姉ぇね、なのですか?」
「ねぇねはねぇね、妹、なの」
 ずっと寝ている訳にもいかないけど起きているとコクリコット姫が色々話し掛けてくる。
 まあ今まで殆ど部屋に閉じこもっていたらしいから目新しい人間に興味津々なんだろう。そう思うと大人としてはちゃんと話し相手になってあげないとな。
『なら先ず口下手を治すのじゃな』
『寧ろ主が相手して貰ってるなのー』
 うるさいな。
「……皆さんその様に呼んでいるのですか?」
「ん、ねぇねをねぇねと呼ぶの、リリだけ」
 おっと、ねぇねの話しをしてるとつい自分を子供の頃の様にリリと呼んでしまうな。
「他の方はどの様に呼んでいたのですか?」
「んーと、ラン兄と、ミル兄は、ネネちゃんって呼んでた。後、パパとママも」
『パパ、……ママ……』
『リリィ大丈夫? なの?』
『いや、確かにそう呼ぶ様に母親から求められておったのじゃが……』
 それはアイリスが故郷の村に戻った際、母親が幼い姿のアイリスを見てママと呼ばせて喜んでいたと言う話しだった。
 リリィはその場かぎりのノリの話しだと思っていたのだ。恐らくアイリス以外、当の母親含め家族全員もそうだろう。
「……ビアンカ様、もしかしてあの子は」
「家族の中で、見た目も中身もズレているのはあの子だけだと聞いてますわ」
 12歳としても背が低く、何かと言動が拙いアイリスを見て妹に年下扱いされているなとスカーレットは理解した。――最もアイリス意外全員がそう理解していたのだが。

「リアースレイ精霊王国のぬいぐるみは質が高いのですね」
「ん」コクリ
 何か寝ている間にシャルロッテ様が気を利かせて俺の熊さんぬいぐるみを持って来てくれていたのだ。
 今はコクリコット姫に抱き締められている。自分の身長以上に大きなぬいぐるみを抱いてる幼い子供って、何だか見ていて微笑ましいな。
『まんまお主も周りにそう見られておるのじゃがの』
 何でだよ。幼い子供って言っただろ? 大の大人がぬいぐるみ抱いて微笑ましい訳ないだろ。これだから精霊は……。
『自分が見えて無いなのー』
 ネネェにも言われてるぞリリィ?
『……大の大人がぬいぐるみを抱いている時点での』ボソリ
「確かにアイリスちゃん達の持つぬいぐるみは質が高いな。精霊王国との取り引きが出来る様になったらコクリコットも取り寄せると良い」
「はい、スカーレットお姉様」
 ビアンカお姉様に雇われる前の話しは12歳と言う事になっているから齟齬が出ない様にしてと皆んなに言われている。

 と言う事で主に話せるのはアデール王国に行ってからの事になるのだが。
「え? ……馬、乗れる? ……の」
「? はい、最近は体調の所為で乗れていないですけど」
 俺からも何とか話そうと、先ず馬車でアデール王国まで行った話しをしていたんだけどマジかよ。――馬って背が高過ぎて乗るの怖いんだよな。
 馬が嫌いって訳じゃないんだよ? よく回復魔法してあげてるし、ベロベロ舐められたり顔を擦り付けて来られたりするのも、まあ可愛いと思うし。
 イヤ待て、馬車だって馬に乗ってると言えば乗ってる、よな?
「僕、も、……乗れる」
「いやアイリスちゃん? 馬車と乗馬は違うわよ」
「ぐうっ」
『直ぐバレる見栄張るななのじゃ』ジト目
 シャルロッテ様め! リリィも何だよその目は!? ダメだ、こんな子供に舐められる訳にはいかない、……話題を変えよう。
『言い返せなかったなのー』

 それから王都に着いてから精霊神社に行って巫女様と精霊達に会った話しや学院生と仲良くなって買い物に行ったりパジャマパーティー? をした話しとかをしていった。
「精霊ですか、見てみたいです」
「ん、無理」
 精霊には食い付かれたけど見えるのが巫女様と俺しか居ないのだから話しを広げようがない。
『なら何でそんな話しを振ったのじゃ』
 子供相手に何話せば良いのか分からないんだよ?
『主は頑張ってるなのー』
 まあ小っこくて色んな姿をしていて性格も様々だと言ったから興味を持たれても仕方がないのかな? でも見てみたいと羨ましそうに言われても無理なものは無理だよね。
『シャルロッテは居るのは感じておる様じゃがの』
『見られてるー?』
『見えてはおらんじゃろ』
 ――怖いなシャルロッテ様。

 ついでに俺に付いてるリリィとネネェが妹の姿をしていると言ったら不思議そうな顔をされた。それからスカーレット姫様が俺が一人暮らしをしていたのを聞いて「ならば家族と会いたい気持ちが精霊に伝わったのかも知れないな」と言って納得していた。
 確かにそんなやり取りをリリィと出会った時にしたな。
『ネネェも主の気持ちが伝わったなのー』
 しかし友達の話しになって愕然とさせられた。アデール王国の学院で一学期を終えてどうやら俺には女友達しかいなかったらしいのだ。
『らしいって、今更なのじゃ』
 いやだって、ヴェルンさんとか居たし。狼獣人の人達とかも……。
『同じ学院生ではないのじゃ』
『主ー、諦めるなのー』
 ぐぐ。そう言えばマーブルお姉様にお菓子の部屋に招待されたりもしたなあ。
『お菓子のある部屋な』
『現実逃避なのー?』
「お菓子の部屋、……ですか?」コテリ
 おっと、口に出ていたか。コクリコット姫様が首をかしげて聞いて来られた。なんて言えば良いかな?
「んと、……お菓子、の人」
『絶望的な説明下手じゃの』ジト目
『圧倒的なのー』ジト目
 うるさいな。説明が難しいんだよ。
『どんな話しでも上手く出来んじゃろ』なのー』
 むぅ~。
「アルタード伯爵家の令嬢マーブル様ですね。学院の先輩で貴族用の休憩室に招待されていました」
「今は王都が荒れているから南部の領地に引きこもっているわよ」
 ナージャさんとシャルロッテ様が補足していく。そうか、今は王都にいないのか。まあマーブルお姉様が安全なら良い事だな。


 体の一部でも密着させておかないと治療が難しいと言っているけどコイツ等の普段と変わらない様子を見てるとそうは思えないんだよな。
『全然違うのじゃ。スープを普通のスプーンと身の丈程のスプーンで飲む程に違うのじゃ』
『主ー、リリィは嘘付いて無いなのー。ネネェも難しいなのー』
 分かった分かった、分かったから目の前で飛び回るな。
 しかし暇だな。俺も魔力を操って治療に参加したかったけど難易度が高過ぎて手が出なかったんだよ。
 お風呂や食事の時以外はコクリコット姫様と密着して過ごす事になる。暇過ぎるから魔法の練習でもしようかと思ったけどリリィに止められた。
『治療に専念してないと思われるのじゃ』
 納得の理由だった。

 寝ていれば終わるからずっと寝ていても良いんだけどコクリコット姫を放置するのもね。
 そう言えば寝ている時に何かの物語を読んでいる声が聞こえてたんだけど、読んだ事の無いお話しだったから多分この国の物語かな?
 読んでたのは侍女さん。良い暇潰しになるからおかわりをおねだりしてしまった。
 聞くだけではアレなので俺も何か話しをするかな。馬の話しでは負け、……てはないけど話しが広がらなかったから剣術の話しでもするかな。この子、コクリコット姫はやりそうも無いし負けは無いだろ。
『馬に乗れないからとお主が話題を変えたかっただけじゃろ』ジト目
『主姑息なのー』
「確かにアイリスちゃんは剣を扱えるぞ? 私も何度か相手をさせて貰ったし、中々の腕だと思ったぞ」
「……ボコボコに、された」
 そう言えばスカーレット姫が居たわ。片手剣の正統剣術らしいけど豊富な魔力で身体強化を使い熟して強かったな。何と言うか隙が無くて攻め辛いんだよな、あれ。
 まあナージャさんと似てるけど、魔力量以外はナージャさんの方が上だったかな。
「――お姉様?」ジト目
「ん? ああ、イヤイヤ。アイリスちゃんの方から何度も向かって来られたんだからな? 剣術に怪我は付き物なんだぞ? 私とて充分に手加減はしたんだぞ?」
 小柄で華奢、儚い美少女の様なアイリスを剣で痛め付けたと聞いてコクリコットは責める様に姉であるスカーレットを見ていた。
 あわあわとコクリコットに言い訳をするスカーレットたが、アイリスは結局姉妹に負けてしまっていると落ち込んでしまった。その様がコクリコットを更に責めさせ思わぬ形でやり返されたスカーレットであった。

 そんなスカーレットをフォローする事もなくアイリスは思い悩んでいた。
 リリィは成長してるって言うしナージャさんとかも誉めてくれるけど実感が無い。……何故俺より弱い奴が居ないのか。
 別にそんな奴を憂さ晴らしにボコボコにするなんてつもりは無いんだよ? でも1人くらい居ても良いじゃないかとは思うんだよ?
『(居る事は居るのじゃがなぁ)』
 ヴェルンやナージャは強いから側近として側に居るだけなのだ。
 ただ他の兵士達はアイリスの実年齢など諸事情を聞かされていないので、ビアンカと親しい幼子を怪我させる訳にはいかない。万が一にも負けて恥じをかきたくないと避けられているのだった。




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