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第7章 ふわふわ空飛ぶ旅は旅行気分?
第017話 事後処理
しおりを挟む「さっさと死体を処理させなさい。国王陛下にも報告を、それと陛下に兵を出させてベルドットを引き取って貰って頂戴」
ベルドットが捕らえられ、シャルロッテは現場迄出て次々と指示を出して行った。後宮を守っていた女騎士達は不満を訴えたが「ならスカーレット姫様に指示を出して貰いましょうか? この惨状を見せる事になるけど」と言われ渋々と従っていった。その堂々とした様はとても他国の人間とは思えなかった。
「シャルロッテ様、本当に殺してしまって良かったんですか? 貴族なんですよね? コレ」
「コレで国王も動かざるを得ないでしょ」
「はあ~、全部計算ずくですか」
「そんな大したものじゃないわよ。ただ手緩いし決断が遅すぎるのよ。こんな国賊を許す程にね」
「私は王家の血筋を尊んでいるだけだ! 何も間違っていない!!」
「こいつも良くこんな状況で強気に出れるな」
「おっ、おい! 何か欲しい物は無いか!? 私に味方すれば金でも地位でもくれてやるぞ!!」
「ちょっと黙らせてくれる? 猿ぐつわ位しておきなさいよ」
「待て! 私はむぐうぅううーーっ!!?」
「後宮に押し入るなんてどの道処刑ものよ? キチンと有効活用しないとね」
国王ギリアムと宰相カールイスは近衛兵からの報告に頭を悩ませていた。
「死者5人、か。ベルドットを捕らえたのは良いとしても、どの様にするか」
「はい、そちらも上手く対処せねば厄介ですぞ陛下」
「うう~む」
「取り敢えずその方等、信頼出来る者達を率いてグライスロー公爵家を包囲しなさい。それで陛下、前公爵に登城させましょう」
「うむ、公爵と前公爵を押さえる事で反乱の芽を摘むのだな?」
国王の問いに頷く宰相カールイス、それを受けて反ベルドット派として事情を聞かされていた子爵達は陛下と宰相の命を受けて動き出した。
「子爵達も自分達の禊にもなるので手を抜く事は無いでしょう」
「うむ、そうだな。しかし死んだ5人の家に対してはどの様にするか」
レイクが後宮で倒した5人の実家は何れも伯爵以上の高位貴族であった。本来なら断罪される側だが家の名誉、存続に関わる事だ。真実を認めずに此方が一方的に害したと訴えて来るかも知れない。
「何とも頭の痛い話しですな」
「5人だけではないぞ。あの場にいた者達全てが処罰の対象だ」
「となるとグライスロー公爵家を錦に内乱を起こされる可能性も……」
「子爵達が庶民、下位貴族達を何処まで取り込めるか、だな」
「念の為陛下や王妃、姫様方の警備を増やしましょう」
「そうだな。万が一もあってはならん事だ」
「……姫様方にお会いにならないので?」
「そんな時ではなかろう」
「「…………はぁ」」
「シャルロッテ様がいらっしゃいました!」
((魔王が来たっ!!?))
「スカーレットお姉様。この子、隣に寝かせてあげても構いませんか?」
ベッドの脇で椅子に座ったまま、ベッドに突っ伏して寝ているアイリスの髪の毛を遊ばせながら、コクリコットがスカーレットに尋ねた。
「どうなのだ?」
「それは……」
「貴女達が見ているのだから大丈夫でしょう?」
侍女達が躊躇いを見せていると部屋を出ていたシャルロッテが戻って割って入って来た。
そう言われると周りも何も言えないだろう。スカーレットも了承してナージャが寝ているアイリスをパジャマに着替えさせられてからコクリコットの横に寝かされた。
コクリコットも嬉しそうである。
「それでシャルロッテ殿、外はどうなったのだ?」
「グライスロー公爵のベルドットとナーバロン侯爵は捕えてあるわ。家も包囲しているし、後は他の高位貴族達含めどう処分するかね。一応国王陛下には釘を刺しておいたから半端な対応はしないでしょう」
「ふむ、正念場だな。お父様も上手く乗り越えてくれたら良いのだが」
「既に情勢は決しているから問題はないでしょう」
「……どうしてシャルロッテ殿はそこまでこの国にしてくれるのだ?」
「この国が長期に安定していた方が私に都合が良いからですね」
「ふっ、そうか。ではお父様に期待だな」
余りにも明け透けな物言いだがその方が信じられると、スカーレットには刺さった様だ。――国王と宰相は今現在ハゲる程頭を悩ませているのだが。
「調子はどうかなコクリコット」
「はい、とても良いです」
翌朝、目覚めたコクリコットはスカーレットに聞かれて手を握り、腕を上げたり体調を確かめてからキラキラした瞳で答えた。
因みにビアンカはナージャと共に用意された部屋に戻っている。シャルロッテは残っているがナージャと交代で1人はアイリスの側に付き添う事になっている。
当然だがアイリスを1人野放しには出来ないのだ。
スカーレットもこれまでのアイリスの施術を見て体験していたから期待はしていたが、自前の治癒師が無理であった事から不安もあったので一安心と言った所だ。
「そうか、それは良かった。このまま任せて置けば直ぐに良くなるだろう」
「んん~……むにゃ」
椅子に腰掛けてベッドに突っ伏して寝ていたアイリスだが、コクリコットに気を使われて一緒のベッドに寝かされていた。自分を挟んで交わされる会話を不快そうに猫が顔を洗う仕草をしてコクリコットにそのまましがみついて寝てしまった。
「あ、あう。お姉様……」
顔を真っ赤にして動揺するコクリコットだがスカーレットは可笑しそうに笑うだけだった。
まだまだ問題は山積みたが全てが解決へと向けて動き出している。3年前砦を奪われてからの心の重しが取れた様な気分だった。
レンリート伯爵の功績によるモノが大きいと感じているが、シャルロッテが言うにはリアースレイ精霊王国やフォシュレーグ王国を動かせる根拠となるのがアイリスだと言うのだ。多少コクリコットを困らせるくらい笑って済ませられると言うモノだろう。
(コクリコットも嫌がってはいない様だしな)
アイリスが起きたのは暫く経ってからだった。何故か朝起きたら妹姫様の隣で寝ていたけどコクリコット姫は顔が赤いが体の調子は良い様だ。
んんー……、起きがけのリリィ達の魔力はキツい、リリィとネネェの魔力がぞわぞわする。
『コクリコットにしがみついても変わらんじゃろ』呆れ目
気が紛れるんだよ。
『主甘えん坊なのー』
コクリコット姫が頭を撫でてくる。どっちが病人か分からないけどどうでもいい。機嫌は悪くなさそうだし良いだろう。嫌われた状態で治療とか嫌だもんな。
『リリィは自然回復する魔力を吸出しながら固まった魔力も解きほぐして吸出していたのじゃ』
『ネネェも魔力の解きほぐしと体調管理をしてたなのー』
うむ、……良く続くな。
『まあ本気でやれば集中力が持たんが適度にしとるからの』
『半自動なのー』
便利だな。て言うか俺の場合2人にやらせて寝てるんだから全自動とも言えるな。
『主は主なんだから楽して良いなのー』
『それでは技量が上がらんのじゃ』
リリィがぶつぶつ言っているが出来る事が無いのだから仕方がない。出来れば俺もリリィとネネェの清浄な魔力から気を紛らわしたいんだよ?
治療は順調らしいけど魔力の通りを良くして自然回復量と自然放出量の釣り合いが取れる様になるにはやはり3日掛かるそうだ。――ツラい。
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