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第7章 ふわふわ空飛ぶ旅は旅行気分?
第025話 清浄なる魔力、の真実?
しおりを挟むドラゴンが見えてから更に慎重に歩を進めて行く一行。キラキラした水場が湖としてその姿を現し、そのやや北側に一際大きな大木がそれ以上の存在感を示していた。
その大木から発せられる魔力は尋常でなく清らかで、進むにつれて体に浸透し自身の肉体も精神も侵されて行く。
「これは、――キツいな」
「ああ、神聖なモノと言うのは分かるけど、人が受け付けられる範疇を超えている」
先行するアーダルベルトとルトルートはこれ以上進むと異変があった時に満足に対処出来ないと判断して一旦停止、雇用主であるシャルロッテの判断を仰ぐ事にした。
「迷宮も深くなると邪素がキツくて気分が悪くなるけど、清らか過ぎると言うのも毒になるのね」
「そうですね。アイリスちゃんは大丈夫ですか?」
「ん、――平気」
ナージャに聞かれて答えるアイリス、「流石ですアイリスちゃん!」等と褒め称えられるが、それよりも俺はリリィ達に言いたい事があった。
おいお前等、……コレ、やっぱり人が受け入れられる魔力じゃないんじゃないか?
『『…………』』
リリィとネネェは精霊神から力を与えられた存在、その魔力は精霊神の魔力と似ていて当然なのだが、それは精霊樹から発せられる魔力とも酷似していた。
――そう、今まで毎日リリィ達から送られて来た清浄過ぎる魔力だ。その魔力をここに居る人間皆んなが受け入れられないと判断しているのだ。
リリィ達からはアイリス自身の性根の問題だと、素直に受け入れろと散々言われて来たのに蓋を開ければコレである。
俺の心の問題だとか散々言ってくれたよなあ!? どんだけキツかったと思ってるんだ! お前等の魔力は此処よりもっと濃いんだぞ!?
アーダルベルト達は苦しそうだが、未だ精霊樹からは200m近く離れている。散々リリィとネネェに毒されて来たアイリスにとっては何でもないレベルになっていた。
『なっ、慣れで耐性が出来ておるのなら、間違いでは無いのじゃ』
『ネネェはそんな無理強いしてないなのー』
『あっ、ズルいのじゃネネェ! リリィも知らんかったのじゃ! すまんかったのじゃあああ!!』
素直に謝られても納得いかないよ!? て言うか皆んなの状態見ると俺の体に何か悪影響あったんじゃないかって怖いんだけど? 大丈夫だよな!??
『た、体調を良くしてるだけじゃから大丈夫(な筈)なのじゃ!!』
……まあ、……確かに体の調子は良くなってるけど……。
『回復魔法でお金を稼げる様になったのもリリィのお陰じゃろ!? そのお陰で妹だって救えたのじゃないか!!』
くっ! それを言われると弱いんだよ!?
『今も魔法関連は順調に伸びとるし、強くなるには結局続けるしかないのじゃ』
魔法関連が伸びれば魔法も楽に使える様になる。魔法使用中にリリィ達の魔力に汚染されるのを減らせるのだ。
結局これからもリリィ達に体の調整をしてもらうしかない。――本末転倒な気もするがな。
『(じゃが精神への影響は、どうじゃろ? なんか警戒心がゆるゆるになった気はするのじゃ。リリィに会う前までソロでやって来たとは思えんくらいなのじゃ)』
『(主は甘えん坊なのー)』
『(リリィ達を信頼して警戒心が無くなったとも言えるし。リリィ達の魔力の影響かは分からんから敢えて言う必要もないのじゃ)』
『(なのー)』
『(結局これからも強化調整は続けるしかないからの)』
「俺達は此処までだ。後の判断は任せる」
「ええ、アイリスちゃん、どうかしら? 私達はどうしたら良いと思う?」
アーダルベルト達は待機となり、シャルロッテはしゃがみこんでアイリスに聞いて来た。
アイリスはリリィ達に対してまだまだ不満だらけだが、呼ばれる力が強くなっていてこれ以上無視出来なくなっていた。
――呼んでいたのは精霊樹である。
「ドラゴンの、――排除」
そして精霊樹から意思を汲み取らされた。
「マジかよ」
呟くアイリスの言葉を聞いてアーダルベルトは顔を引き攣らされた。ルトルートとの軽口が最悪の形で実現した。その話しを聞いたルトルートも流石に頭を抱えていた。
「珍しいわね。貴方のそう言う所」
ルデリアとティアリスにとってルトルートは、面倒事が起きればアーダルベルトや配下の者達に押し付けていつも飄々としているのが常なのだ。
そのレアなケースにルデリアとティアリスは時と場合を考えずにからかっていた。
「そんな事言ってる場合かよお前等」
「結局はあの精霊の愛し子ちゃん次第でしょ?」
「アタシ等が出来る事なんて何もないって」
シャルロッテも笑顔のまま固まっていた。頭の中では脳ミソをフル回転させているが流石にどうにもならない。自分達に出来る事は何も無い状況だと理解させられるだけだった。
「ん、行く」
そんな周りの混乱を視野にも入れずアイリスは呼ばれるままに動き出してしまった。
「あっ、アイリスちゃんちょっと!?」「――――!」「――!」
周りが止めようと声をかけるが無視をして突き進む。結局自分しかこの先に進めないのであれば行くしかない。
武力でドラゴンを排除せよ、と言うのであればどうあっても無理だろうが兎に角動かない事には事態は動かない。精霊樹からの要望の圧が強いのだ。
(無視するとどんどん精神が汚染されていく気がするんだよ?)
リリィ達も大丈夫と言っているから信じるしかない。
皆んながアイリスを注視している中、――アイリス自身に変化が現れた。
それはリリィ達から魔力を受けながら回復魔法を行使している時の様な変化だ。
ああ~、身体中を巡る魔力が気持ち悪い。
『うぐぐ、何時もなら精霊神様に不敬だと言えるのじゃが』ボソッ
『幾ら不敬でも人が受け入れられないモノは仕方がないなのー』ボソッ
それでもアイリスは歩き続ける。アイリスにとってはまだまだ行けるレベルなのだが、その前向きな考えが清浄な魔力を受け入れたと判断されたのかアイリスは何時の間にか巫女モードになっていた。
実はアイリスを呼んだのは精霊樹だが、そう促したのは精霊神だ。
ここに至ってアイリスは精霊神から精霊樹を通して魔力を受け取っていく。精霊樹の荘厳な雰囲気に呼応するかの様にアイリスも神聖な雰囲気を身に纏っていった。
――素晴らしい、精霊神様からの魔力を感じます。
そしてアレが精霊樹、ですか。精霊神様と近しい魔力です。沢山の精霊達が隠れています。ドラゴンが怖いのでしょうか? 可哀想に。
ドラゴン、初めて見ますが大きいです。でも深い傷を負っていて痛々しいですね。此方も可哀想です。
「すぐに癒して差し上げましょう」
周りからはアイリスからも清浄な魔力が溢れ出ているのが感じ取れ、アイリスの艶やかな桃色の髪も白い肌も水面から反射される光とも相まって幻想的に光輝いているかの様に見えていた。
アイリスは歩みを精霊樹からドラゴンへと向けていた。ドラゴンを精霊樹から離すには先ず動ける様に癒すしかないからだ。
――相変わらず足場が悪く、よたよた歩く様が幼児の様で若干様にならないが。
ナージャはそんなアイリスの姿を瞳キラキラさせてカメラで撮影している。こんな時でも変わらないのは流石と言うべきか呆れるべきかは意見が分かれそうだ。
ミリアーナやヴェルンもアイリスのやらかしについて日々の耐性がある為、驚いてはいるが成り行きを注視する冷静さを保っていた。
だがレイク達はそこまで耐性が無く驚愕している。アーダルベルト達に至っては理解不能の化け物を見る様な目でアイリスを見ていた。
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