拾った剣が精神汚染して来るんだけど!?⇔拾われた剣、主に振り回される!?

ゆうきゅうにいと

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第8章 のろのろ帰還と運命の再会?

第006話 ゼルアス侯爵家、王都へ

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 ゼルアス侯爵軍は王都に戦闘する事もなく入っていた。
 王都を守る国軍の重鎮は軍内部での地位は高くとも領地を持たない者も多い。領地持ちの貴族からは同じ爵位の貴族であっても偽貴族と蔑まれて来た。
 そこでゼルアスは自分が王になったら下位貴族しかいない北部、この有事に自領に引っ込んでいる南部を接収して、領地を持たない軍閥貴族を領地貴族として引き立てる約束をしていたのだ。
 ゼルアスとしては国軍を味方に付けられ、将来的にも領地持ちの貴族の味方が増えるので国家運営も安定する。更に軍隊上がりの貴族なら領兵の強化も行われ国の軍事力強化に繋がるだろうと言う考えだった。
 そして国軍側もその意見には大賛成だった。贅沢三昧の王家に対し年々下がる軍費に憤りを感じていたのだが、それが自分達が領地持ちの貴族になれるとなれば話しは違って来る。
 金は税金で集まって来るしその金で自前の軍を持ち強化までしろと言うのだ。金に領地に武力まで与えるとまで言われ、腐敗した王家を討つと言う大義名分まである。
 更に王家の血もゼルアスと言う濃い王家の血が受け継いで行くと言うのだ。王都の荒れ様を見ていて反対出来る者など殆んど居なかった。

 国軍の先導を受けて意気揚々と王都へ入ったゼルアス一行。ゼルアスはゼルアス侯爵領の人間だけでなく、そこで働いていたルードルシア教王国、ラージヒルド商業王国の重鎮達も連れて来ていた。
 超大国であるルードルシア教王国、ラージヒルド商業王国の勢力は侮れない。リアースレイ精霊王国との縁が切れた今、彼等との繋がりは欠かせないと考え、後援を約束して王都へ同行させたのだ。
「教会まで破壊されているとは、何とも愚かしいですな」
「壊されたのであればその者等に直させれば良い」
「ふふっ、流石はゼルアス様、仰る通りですな」
 ルードルシア教王国の人間にとって不快な光景ではあったが、王都の重鎮達が失敗したからこそ自分達がこの国の神聖教会のトップになれるのだ。
 ゼルアスの言う通り後で直させれば良い。何ならもっと大きく立派な建物に建て替えさせても良いかも知れない。勝手な妄想だがゼルアスが王になれば極めて実現性の高い妄想だ。
「我々は事前に話した通り、取り敢えずはリアースレイ精霊王国の商工ギルド等の施設を使わせて頂きますよ」
「構わん、国軍に押さえさせてあるからなるべく早く再開する様にな」
「勿論ですよ。コチラも商売ですからな」
 王都の混乱から経済が良くない状況だと言うのはゼルアスも多少は理解していた。ラージヒルド商業王国の重鎮達にとっても、ライバルたるリアースレイ精霊王国が居なくなったので稼ぎ時でもある。


 そうしてゼルアス一行は国軍の先導を受けたまま王城に入って行った。城内は既に国軍によってほぼ押さえられている。
 現在この城で主に動いているのは軍人か城の運営に必要な使用人達で、彼等は国軍によって逃亡しない様監視されていた。
「父上、南部と北部の領地は接収してしまわれるのでしょう? ならばそこの貴族の令嬢共を奴隷にして俺に下さいよ!」
「一人占めは狡いぞ兄上! 父上、私も欲しいです! 遊びがいがありそうですしね!?」
「暫くは城の使用人達で我慢しておけ。……事前に私の許可を取る様にな」
「ええ~、それって父上が良いのを総取りする気でしょ! 狡い!」
「お前は直ぐに壊すからなぁ」
「ええ~、それって兄上も同じじゃん」
「一緒にするな。壊れたら捨てるお前と違って俺は壊れても最後まで遊び尽くすからな」
「貴方、気に入った子が居たら私も欲しいわ」
「男は好きにしろ。私は興味無い」
「俺も興味無いですよ父上」
「うえー、俺も無いよー」
(血筋か、悪辣さは王家と変わらんな。自分達を取り立て様とする分あの愚王よりは政治を分かっているのだろうが、領地を得て力を付けたら好きにはさせないぞ)
 国軍のトップ、将軍ラーバン・イル・マーシャルはゼルアス侯爵家の面々を王の居る場まで先導していた。
 軍属で、ゼルアスと同じ侯爵位を持つ貴族だがゼルアス侯爵家と違い王家の血筋ではない。その上領地を持たない軍閥貴族の為に領地持ちの貴族達に舐められて来た。更に軍費縮小の煽りを受けて城での発言力を著しく失っていたのだ。
 現在の内乱やフォシュレーグ王国との戦争を治められないでいる事も発言力低下の要因になっている。
(そもそも内乱も戦争も愚王やルードルシア教王国、ラージヒルド商業王国が引き起こしたモノだと言うのに、勝手なものだ)

「現在城内の国軍は使用人達が逃げ出さない様にする為に囲んでいる事になっております。なのでまだ完全な制圧には至っておりません」
「それで、敵対勢力は?」
「主だった者は王家と近衛兵ですが、暗部等は我々も把握出来ておりませんのでどうなっているのか分かりません。先ずは国軍だけで城内を制圧していき、安全性を確認してから動くべきかと考えます」
「俺達の兵は使わないと言うのか?」
「不慣れな城内では悪戯に犠牲を出すだけです」
「父上、俺に兵を率いらせて下さいよ! 王家の奴等なんて簡単に捕らえて見せますよ!!」
「あっ、狡いぞ兄上! それなら俺だって出来ますよ父上!?」
(出来る訳ねえだろ! ぶくぶく太った豚共が!! 足を引っ張るんじゃねえよ!!)
「兵を率いた経験がおありですか?」
「そんなモノある訳ないだろ! だが俺なんだから出来るに決まってる!!」
「俺だって出来るぞ!!」
「ふむ、今の王家を廃するのが我々ゼルアス家だと知らしめるには良いかもしれんな」
 頭が痛くなりそうになりながらゼルアス侯爵の方を見るが肯定されてしまった。やはりこいつも実戦を舐めている。
「では現王家の者共を締め上げるぞ」
「「はいっ!」」
(はいじゃねえ!!)

 コイツ等に国軍を率いらせたら無駄な犠牲が出かねん。もしそうなれば俺や国軍が無能扱いされるかも知れん。それだけは何とか避けねばならない。
 何とか理由を付けて城外で警備をしている国軍の兵士や夜番の兵士を叩き起こして、ゼルアス侯爵の兵士と共に数で押し潰す事にした。
(全く、手を焼かせやがって)
 将軍のラーバンは内心で悪態を付きながら今後の展望を考えていた。
 先ずは北部南部の領地を得て自力を付けなければならない。それから西部のベルピュート辺境伯はアデール王国にしては軍人として中々の人物と聞く。カントラス王国との国境を守り続けているのも評価できる。出来れば上手く協力を仰ぎたい所だ。
 それから南部の小国2国を含め、周辺の小国に圧迫外交を仕掛けて不平等条約を結び、税を取り立て軍事国家として立て直させる。この辺りはゼルアスも同意済みだ。
 ゼルアスについてはまともな王政を敷けるなら暫くは放置。……だがそうでないなら潰す。
(精々国を立て直すまで踊って貰うぞゼルアス)
 ラーバンは厳しい現実に国を立て直す決意を胸に秘めていた。




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