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第8章 のろのろ帰還と運命の再会?
第029話 エミリアーナの悪戯
しおりを挟むレイク達はビアンカを領都へ送り届けた後、すぐにアデール王国へと向かって行った。良く体力が持つよね? 本当働き者だよ。
ミリアーナはコレット達と一緒に傭兵ギルドに向かって行った。ミリアーナはビアンカお姉様の護衛契約が切れちゃったから一足先にコレット達と合流する事になったのだ。
俺も後で行くつもりだけど皆んなはそこで先にチームを組むそうだ。俺はまだビアンカお姉様との契約が終わっていないからね。俺も含めて正式に組むのはその後だ。
何だか楽しみだな、ふふふん。
レンリート伯爵邸は5階建ての建物で兎に角デカく、建物も威容も邸宅と言うより城っぽい。カントラス王国の王城ほどじゃないけどメメントリア王国の王城よりは大きい。最早お城と言って良いだろう。
ねぇねにすぐ会いたかったけどキーちゃんの事とかアリアとカチュアの事とかもあってビアンカお姉様のお城にお呼ばれしたのだ。キーちゃんはやっぱり騒ぎになるから人目に晒せないそうだ。ねぇねに会わせたかったのに。
ビアンカお姉様のお城の庭は小さな森みたいだった。ただ俺が居ないと霊素が足りなくてキーちゃんが辛いらしい。
「プルルゥ『空気が不味いーー』」
「ん、よしよし」
霊素の供給として精霊が宿っている精霊剣であるリリィかネネェを一本置いて置く事になる。まあネネェが駄々を捏ねてリリィを置いて行く事になったんだけど。
『お主のあね……妹が居る場所は此処から離れておる様じゃからの。リリィ達の能力が及ばない距離じゃから仕方がないのじゃ』
レンリート伯爵領の領都では基本的にお店も5階建ての高層大型の建物だ。住宅も同じ様に5階建て大型の集合住宅になっている。ねぇね達は領都の中心地近くに住んでいるらしい。
そしてビアンカお姉様のお城は、領都の中でも南よりの豪邸が並ぶ、高級住宅地にあって人口密集地とは離れているのだ。
「エミリアーナ姫様、ご無事でのご帰還お喜び申し上げます」
「ええ有り難うレンリート伯爵。貴方の娘には助けられたわ」
エミリアーナ姫と白銀騎士隊はレンリート伯爵邸に着いてグランツ達から歓待を受けていた。
「――? その、娘と帰って来られたのですよね?」
「ええそうよ」
「あいつは、姫様のご案内もせずに何をやっているのか……」
「アレは仕方ないから、私は気にしないわよ」
「アレ?」
「聞いていないの? 庭に出れば分かるわよ?」
「庭……」
訝しそうにしながらも部屋の中から庭を見に行くグランツ。だがエミリアーナが若干ほくそ笑んでいたのを妻のエウレカは見逃さなかった。
フォシュレーグ王国の王都で社交に勤しんでいたエウレカは、エミリアーナの悪癖を知り尽くしていたのだ。にも拘わらずグランツを黙して見送ったエウレカも、かなり良い性格をしていると言えるのだろうが。
「うおぉおおーーおお?? 何じゃこりゃあああああーーっっっ!!???」
暫くして聞くグランツの叫び声、爆笑のエミリアーナ、それを半眼になって見つめるエウレカ。
対応に困ったのはエミリアーナに付いて来ているデイジー副隊長と、同じく白銀騎士隊の中では高い地位を持つ伯爵家の4女フレイヤだ。今もバカ笑いをするエミリアーナに肩を叩かれている。
グランツが見たモノは、ビアンカが庭で戯れるユニコーンとアイリスと共に居る姿であった。
ユニコーンは人の立ち入れない精霊樹の様な、霊素の濃い場所を住み家にする為に目撃例が殆んど無い。住み家を変える時に深い森の中で見掛けたと言う信憑性の薄い噂話しとしてある程度だ。
そんな幻の様な存在が突然目の前に現れたのだから驚くのも無理は無いだろう。
グランツは余りの衝撃にふらふらと近寄りそうになるが、ユニコーンの聖素に当てられて近寄る事が出来なかった。
「お父様、只今帰りました。ですがそれが娘に向ける視線ですか?」
「いや、おま、……え? ――ええっ?」
そんなユニコーンの間近で平気そうにしている実の娘に対し、唖然としてしまっていた。まるで異物を見る様な目である。
「はあ、此方はお父様が無様な叫び声を上げたのを無かった事にしてあげたと言うのに、何と言う様ですか」
「ぐはっ!?」
ビアンカの父親を蔑む様な目と口撃に、グランツは大ダメージを負ってしまう。
その衝撃は度重なるアイリスによる美容魔法で一目で分かる程の見た目の変化にも気付かない程である。
だが実の娘であり女の見た目に関わる事なので、これもまた蔑まれるのも無理は無い事だろう。
「少々お転婆が過ぎるのではないかしらエミリアーナ姫様」
「――少々なら良いじゃないエウレカ」
「はあ、これは陛下と王妃様に淑女教育のやり直しを進言するしか無いかしら?」
「ちょっと止めてよね! アレがどんな苦行か分からないの!?」
「苦行と言っている時点で問題なのですよ? 姫様に何かあれば家のラウレスとの婚約も無くなりますし、マルトア元伯爵領を如何するのか。――下手をすれば内乱にまで発展していますよ?」
そっと視線を反らすエミリアーナ、しかしエウレカは追撃の手を緩めない。
「暫くは社交でも楽しんで下さい。ラウレスにも時間を開けさせますから」
「うげぇ~~」
「……流石に自分の息子相手にその反応は傷付きますね」
キーちゃんとお別れを惜しんでいたら野太い叫び声を出したおっさんが居た。
ビックリするから止めて欲しいな。おっさんは見るからに高そうな服を着ていてリリィ曰くビアンカお姉様の父親だそうだ。
『と言うかビアンカと初めて会うた時に居たのじゃ』
……そう言えばビアンカお姉様と何処かで会った時に、何人かおっさんが居た気がする。
『何処かって、レンリート伯爵領に入ってすぐの街で会うたのじゃ』
それにしても何であんな遠くでビアンカお姉様と話しているんだろ?
『キーちゃんの聖素で側に寄れないのじゃろう』
「ブルゥ『むふー! キーは凄いのー』」
キーちゃんを落ち着かせて精霊剣リリィを側に置いて屋敷の中に入って行く。アリアとカチュアは元気にしているかな?
『まだ別れて十日も経って無いなのー』
2人共まだ子供だからなぁ。知らない所。しかも貴族の屋敷だし、心細くしていないか心配なんだよ?
ヒストロスさん達が迷宮に寄らずに先行して報告すると言うからアリアとカチュアもそれに同行して行かせたのだ。安全の為と思ってたけどアレだったら一緒に来ていても良かったよね?
『結果論なのー』
まあそれはそうなんだけどさ。
ビアンカお姉様に付いて行くと大広間に入らされた。ビアンカお姉様の影からちょっと顔を出して見るとさっきの父親? と多分母親かな? が正面にいて側に年嵩の執事の人が此方を見ている。
――何か怖いな。
思わずビアンカお姉様に抱き付いて隠れちゃったよ。やっぱり貴族とか偉い人とかに会うのは緊張しちゃうから嫌だよね?
横をチラッと見ると周りにはビアンカお姉様と一緒に来ていた執事のヒストロスさんと侍女のアリーニャさん、ナージャさん達もいる。
ナージャさんは良いや。手を振っておこう。
うん、ニコニコして手を振り替えしてくれる。良かった。何か怒られる様な事ならナージャさんもこんな反応しないよね?
『いや、ナージャはするじゃろ』
『ネネェもそう思うなのー』
……あれ? 俺もそんな気がしてきたよ?
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