拾った剣が精神汚染して来るんだけど!?⇔拾われた剣、主に振り回される!?

ゆうきゅうにいと

文字の大きさ
1 / 305
第1章 うろうろ迷子と運命の出会い?

第001話 拾った精霊剣が

しおりを挟む

「――ぐずっ……、ひっく、……うう」
 泣いて無い。――大丈夫。雨が止んだのに水が頬をポロポロ流れ落ちてるけど、誰も見てないから泣いてない。
 森の中、雨が止んだばかりの真冬の2月、泥だらけになった呆然と立ちすくんでいる。
 俺の名はアイリス、絶賛迷子中のソロの傭兵だ。
 薬草の採取依頼で森に来たんだけど連日の雨で崖崩れにあって方向が分からなくなってしまったんだ。
 はぁ、良い歳して迷子とか意味分かんない。武器も落として見つかんないし。まだ2月でクソ寒いってのにどうすんのコレ?
 ――もう泣きそうだよ?

 取り敢えず、……水場を探すしかない、かな?
 でも魔物に会ったらなあ。この辺りの魔物は狼系が多いから見つかったら逃げられないんだよな。
 悩みながらも目から零れた水を手で拭って歩き出す事にした。
「はあ~……」
 ついてない、こんなんばっかだよ俺の人生……ぐす。
 俺はもう35歳のおっさんだ。それが何でソロで傭兵なんてやってるかって言うと見た目に問題があるからだ。130cmの子供みたいな身長と華奢な体つき、男女供に何度襲われ掛けた事か。
 お陰でフードを深く被って生活をしないと落ち着かなくなってしまった。

 今は若い時に比べればマシになって来たけど逆にコッチが人間不信になってソロのまま此処まで来てしまったのだ。傭兵業はチーム前提の仕事だからソロじゃ碌な仕事が無くてまともな稼ぎにならないのに。
 ――まあ、稼ぎが悪いのは腕が無いのも大きな理由だけど。
「……はぁあ」
 コツコツ小銭を貯めても武器防具が壊れたり怪我すれば簡単にお金が吹っ飛んでいく。その度に自分の人生が無価値に感じて絶望してしまう。俺は一体何処で間違えたんだろうか。
 ――まあ、例え過去に戻ったとしても同じ様な人生を繰り返すんだろうけどな。俺のポテンシャルなんてそんなモンだ。

 クタクタになりながらも歩き続けていると岩山の近くに一振りの剣が落ちているのを見つけた。幸運だな。こんな所に落ちてるって事は持ち主は魔物に襲われて落としたか殺されたかだろう。この際贅沢は言わない、ボロでも最低限帰れるまで壊れなければ良い。
 辺りを警戒しながら剣の方に歩いて行くと岩山の一部が洞窟になっていて、側にゴブリンが3匹いるのを見つけてしまった。ゴブリンの巣窟になってるのか?
 ――不味いな。洞窟に隠れていて今まで誰も気づかなかったのかも知れない。
 俺はゴブリンにバレない様に注意しながら慎重に歩いて行き、やっとの思いで剣を手にした。丸腰で何時間も歩いた緊張感から剣を手にした事でホッと息をつく。

 こんな近くにあったらゴブリンも剣に気づかないハズないよな。ゴブリンが持つにはちょっと大きいけど側に捨てて置く意味が分からない。
《それは我が精霊剣だからなのじゃ》
「(ひゃうっ!?)」
 頭の中に声が響いてきた! 余りの驚きに体がビクッと震えて声が出そうになる。慌てて口を押さえて周囲を見渡し、ゴブリン達も何も気づいていないのを確認してから剣を見る。
《やっと精霊剣の使い手が現れたと思ったら随分と華奢な男じゃのう。顔も可愛いしオナゴかと思うたぞ》
「精霊……剣?」

 頭の中にジジイ口調の幼い女の声が聞こえて来た。けど見た目はただの打ち捨てられた小汚い剣だ。容姿については散々言われてるから流す。
《無礼な、使い手に語りかける事が出来る剣がただの剣の筈ある訳無いのじゃ》
 頭に響くんだよ五月蝿いな。くそっ、変な剣を拾ってしまった。けど他に武器も無いし取り敢えず町に戻るまではコレで我慢するしかないか。
 いやそうか、町でコレ売れば新しい剣を手に入れられるかな?
《何と罰当たりな! この精霊剣を売り払うと抜かすかっ!?》
 いや、だってお前五月蝿いし汚いじゃん。
《ふん、ちょっと待っておれ……》
 うおっ!? 剣から半透明の幼い少女が出て来た、……って言うか。
「ねぇね?」
 ねぇねと言うのは俺の妹のアネモネのあだ名だ。俺達はとても仲が良くて家族でもねぇねとあだ名で呼んでいたのは俺だけだった。ねぇねからそう呼んでって言われたんだよな、ふふん。
『どうなのじゃ? お主の潜在意識から貰った姿なのじゃ。これなら念話じゃなくても声が届くのじゃ』ふんす!

 手のひらサイズで胸を張ってふんぞり変える10歳頃の妹の姿をした何かがいた。半透明の体に蝶々のような羽をつけた姿は絵本に出て来る精霊そのものなんだけど。
『我は元々精霊なのじゃ。精霊には決まった姿形は無いからの、お主のイメージを借りたのじゃ』
「いや、だから……何で妹……?」
『それはお主がシスコンじゃからかの。我の所為では無いのじゃ』
 ねぇねはそんな事言わないよ?
『シスコンは否定せんのか、まあそんな事より我に魔力を込めよ』
 いやシスコンじゃないし。もう村を出て20年会ってないんだぞ?
『それで幼子の姿なのじゃな。シスコンだけじゃなくロリコンも入っておるのかと思ってたのじゃ』
 そんな知識どこから……ってもう良いや。そう言えば魔法剣とかって魔力を通して使うって聞いた事があるな。コレもそうなのか?
『そんなガラクタ共と一緒にするでないわ! まあ良い、早く魔力を込めるのじゃ!』
 ったく、何でそんな偉そうなんだよ。ぶつぶつ言いながらも魔力を流していく。
『足らんぞ。もっと多く一気に流すのじゃ』
 くっ、マジかよ。俺魔力はそんなに無いんだぞ。全身から魔力を腹に集めていって、纏めて剣に流し込んでいく。
『おっ、ヨシ。……ふんっ』
 殆どの魔力を消費して座り込みながら剣を見ていると、剣が僅かに震えて仄かな光を放ち、汚れが落ちて太陽のような黄色い刀身を見せていた。
『どうよ、コレでも汚いと申すか?』ドヤァ
「いや……」
 まあ汚くは無い、……な。ドヤ顔の妹精霊、ちょっと可愛いと思ってしまうのも仕方ないだろう。
『なんじゃその微妙な反応は』
 いや、だって魔法剣ってもっと火とか風とか出すイメージあるから、地味かなって。――まあ魔力を通せば手入れ要らずってのは凄いけど。剣は血脂ですぐ切れなくなるからな。

『精霊剣とまで言われている我がそんなチャチな能力1つのハズがないのじゃ!』プンプン!
 おお、――他に何が出来るんだ?
『魔力を通せばその分切れ味が強化されるのじゃ。他にも魔法の補助なども出来るがその辺はお主の素質次第じゃな』
 うーん。有用なのは分かったけど、俺は魔力少ないんだよなぁ。手の平サイズのファイヤーボール5発も撃てば空になるし。まあ牽制には使えるし、これまでソロでやってこれたのはその魔法が使えたからなんだけど。
『そこら辺は相手を斬りつける瞬間だけ魔力を通すようにすれば良いのじゃ! 魔力を増やすのも我に任せておくのじゃ!』
 はあ? 魔力を増やす?? そんな事が出来るのかよ!?
『そう簡単には増えんがの。お主の適正もあるじゃろうし、当面は先に言ったように瞬間瞬間で使うようにするのじゃ』
 ううん、まあそりゃそうか。けど瞬間的にってそんな器用な事出来るかよ。ファイヤーボール撃つのも8秒掛かるのに。
『それもまた修行なのじゃ』
「はあ」
 ――年齢的には引退間近なんだけど?




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】元ゼネコンなおっさん大賢者の、スローなもふもふ秘密基地ライフ(神獣付き)~異世界の大賢者になったのになぜか土方ばかりしてるんだがぁ?

嘉神かろ
ファンタジー
【Hotランキング3位】  ゼネコンで働くアラフォーのおっさん、多田野雄三は、ある日気がつくと、異世界にいた。  見覚えのあるその世界は、雄三が大学時代にやり込んだVR型MMOアクションRPGの世界で、当時のキャラの能力をそのまま使えるらしい。  大賢者という最高位職にある彼のやりたいことは、ただ一つ。スローライフ!  神獣たちや気がついたらできていた弟子たちと共に、おっさんは異世界で好き勝手に暮らす。 「なんだか妙に忙しい気もするねぇ。まあ、楽しいからいいんだけど」

ダンジョンに捨てられた私 奇跡的に不老不死になれたので村を捨てます

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
私の名前はファム 前世は日本人、とても幸せな最期を迎えてこの世界に転生した 記憶を持っていた私はいいように使われて5歳を迎えた 村の代表だった私を拾ったおじさんはダンジョンが枯渇していることに気が付く ダンジョンには栄養、マナが必要。人もそのマナを持っていた そう、おじさんは私を栄養としてダンジョンに捨てた 私は捨てられたので村をすてる

追放された回復術師は、なんでも『回復』できて万能でした

新緑あらた
ファンタジー
死闘の末、強敵の討伐クエストを達成した回復術師ヨシュアを待っていたのは、称賛の言葉ではなく、解雇通告だった。 「ヨシュア……てめえはクビだ」 ポーションを湯水のように使える最高位冒険者になった彼らは、今まで散々ポーションの代用品としてヨシュアを利用してきたのに、回復術師は不要だと考えて切り捨てることにしたのだ。 「ポーションの下位互換」とまで罵られて気落ちしていたヨシュアだったが、ブラックな労働をしいるあのパーティーから解放されて喜んでいる自分に気づく。 危機から救った辺境の地方領主の娘との出会いをきっかけに、彼の世界はどんどん広がっていく……。 一方、Sランク冒険者パーティーはクエストの未達成でどんどんランクを落としていく。 彼らは知らなかったのだ、ヨシュアが彼らの傷だけでなく、状態異常や武器の破損など、なんでも『回復』していたことを……。

俺の好きな人は勇者の母で俺の姉さん! パーティ追放から始まる新しい生活

石のやっさん
ファンタジー
主人公のリヒトは勇者パーティを追放されるが別に気にも留めていなかった。 ハーレムパーティ状態だったので元から時期が来たら自分から出て行く予定だったし、三人の幼馴染は確かに可愛いが、リヒトにとって恋愛対象にどうしても見られなかったからだ。 だから、ただ見せつけられても困るだけだった。 何故ならリヒトの好きなタイプの女性は…大人の女性だったから。 この作品の主人公は転生者ですが、精神的に大人なだけでチートは知識も含んでありません。 勿論ヒロインもチートはありません。 他のライトノベルや漫画じゃ主人公にはなれない、背景に居るような主人公やヒロインが、楽しく暮すような話です。 1~2話は何時もの使いまわし。 亀更新になるかも知れません。 他の作品を書く段階で、考えてついたヒロインをメインに純愛で書いていこうと思います。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

現代にダンジョンが現れたので、異世界人とパーティ組んでみた

立風館幻夢/夜野一海
ファンタジー
世界を研究する「普通」の女子大学院生、「猪飼瑠璃(いかいるり)」、彼女は異世界人と友達になることを夢見て、日々研究に勤しんでいた。 ある日、いつものように大学院に向かっている最中、大地震に巻き込まれる。 ……揺れが収まり、辺りを見ると、得体のしれないモンスターと猫獣人が現れた!? あたふたしているうちに、瑠璃はダンジョンの中へと迷い込んでしまう。 その中で、エルフの少女、吸血鬼の少女、サキュバスの女性、ドワーフの男性と出会い、彼らとパーティを組むことになり……。 ※男性キャラも数人登場しますが、主人公及びヒロインに恋愛感情はありません。 ※小説家になろう、カクヨムでも更新中

勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?

猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」 「え?なんて?」 私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。 彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。 私が聖女であることが、どれほど重要なことか。 聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。 ―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。 前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。

30年待たされた異世界転移

明之 想
ファンタジー
 気づけば異世界にいた10歳のぼく。 「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」  こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。  右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。  でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。  あの日見た夢の続きを信じて。  ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!  くじけそうになっても努力を続け。  そうして、30年が経過。  ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。  しかも、20歳も若返った姿で。  異世界と日本の2つの世界で、  20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。

処理中です...