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第1章 うろうろ迷子と運命の出会い?
第015話 サージェスの災難 前編
しおりを挟む冒険者達はしばらく騒然としていたけど結局金を払って食事を出して貰う事になった。因みに傭兵はタダだけど後でまとめて傭兵ギルドが払う事になっているから村としては変わらない。
て言うか何時まで抱き付いてんだよミリアーナ、胸が邪魔なんだよ。ジト目で見上げて不快感を表してるのにニコニコしてまるで効いてない。
「ミリアお姉ちゃんって呼んでくれないと離れられないなぁ」
何でだよ。って言うかそれお姉ちゃんって呼ぶともっと遊ばれるヤツだろ。大体お前女にしか興味無かったんじゃないのかよ? 女なのに傭兵ギルド1の女好きとして有名だからな、コイツは。
俺の力じゃ振り解けないし仕方がない。黙ってサージェス達との話しを聞いておくか。
「サージェス、それで具体的には応援はどうなったんだ?」
「ああ、それがな……」
エリックに聞かれて苦虫を噛み潰したような顔で話し出した。
「何で俺まで町長に会わなきゃならないんだよ」
魔物調査から村に戻ってシラルの町だけでなく村から反対側のエルビアの町の支援も必要と考えた。そこで俺はシラルの町、仲間のダリルとワットは隣町のエルビアに行って支援の要請をする事にした。
元々シラルの町の傭兵ギルドのギルド長には必要ならそうするように言われてたんだが、ギルド長にスタンピードの情報を報告したら何故かそのまま一緒に町長に面会する事になってしまっていた。
偉いさんに会うのも嫌だけどこのギルド長の方がおっかないんだよな。白い肌に銀髪で透明感がある美人なのに、高身長で美人過ぎるからか人間味を感じないって言うか。
「生の情報を聞かせたいのよ。いい加減あのアホ共の目を覚まさせたいのよね」
町長の屋敷に入り部屋に案内される。今まで何度か権力者に会う事はあったがこのギルド長に連れられてって言うのが嫌な予感しかしないぜ。
「来たか、私も暇ではないのだがね」
「全くです、ウチは傭兵ギルドと違って規模が大きいですからな」
町長だけじゃなく冒険者ギルドのギルド長も居るのか。まあウチのギルド長が呼んだんだろうけど。
「ふふっ、私もこれでも忙しいのよ。仕事をしない他のギルドや権力者の尻拭いをさせられて」
うわっ! いきなりケンカ売ってるじゃねえか、何してくれてんのギルド長!?
「――それはどう言う意味かな?」
「まさか私達の事ではないよな?」
一気に空気が冷え切った。あの……ギルド長? その冷たい笑顔怖いんだけど? 殺し屋か?
「4ヶ月前に御二方に渡した魔獣の調査と対策についての資料を覚えていますよね?」
「あー、そんな昔の話し知らんな」
「私も全く覚えが無いな」
ひぃー、お前等はお前等で何で平気で煽って来るんだよ! このギルド長のヤバさが分からねえのかよ! 特に冒険者ギルドのギルド長! お前危険と隣り合わせの仕事してる自覚あるのか!? 厳つい顔してる癖に平和ボケし過ぎじゃねえか!!
俺は普通人なんだぞ? 頼むから巻き込むなよな!?
「ふふっ。狩りたい魔物をただ狩っていたらより危険な魔物が出て来たり、特定の魔物が急増したりして危険だと注意しましたよ?」
「ふん、それで?」
「今回シラル三の村の西側でゴブリンのスタンピードの兆候があります。既に危険水域にまで達してます。サージェス、話して」
ここで俺に振るかぁああーーっ!!
「成る程、確かにスタンピードが起きそうだな」
「それでどう対処致します?」
「取り敢えず兵を何人か向かわせて現状の確認をさせないとな」
「儂んトコはランク3以上の奴等に依頼を出しておこう。参加するかは分からんがな」
「それで対処出来ると?」
「どうなんだ?」
無理に決まってんだろ! 全然数が足らねえよ!!
町長が冒険者ギルドのギルド長に聞いてるけどお前等本当に何にも知らないのかよ! まさか本当に調査資料を読んでないんじゃないだろうな!?
「この町までは来られないから心配ないだろう」
「なら良い。――まあ念の為私は領都に行ってるか」
「それなら儂もご一緒しよう」
コイツ等最低だ。何でこんな奴等が上にいるんだよ。確かに町までは被害は出ないだろうが村が幾つ潰れると思ってんだ。そもそも町まで来ないのは村で皆んなが決死の思いで抵抗するからだろが。
スタンピードは不運な自然災害って思われてるから責任問題になる事は無いだろうが無責任が過ぎるだろ!!
チラッとギルド長を見ると更に良い笑顔になってる。けど何故か寒気がするぞ? バカ共にイラついて熱くなりそうだったのが氷水ぶっかけられた気分だ。頼むから穏便に終わってくれよ~。
「全く足りませんわね。兵は9割、冒険者はランク2以上で強制依頼にして下さい」
「そんな事出来るかっ!!」
「あり得んな。何様のつもりだ貴様は」
「今回の件は冒険者が好き勝手に魔物を狩って生態系を乱したから起こった人災です。町側もそれを放置した責任を取って下さい」
「ふん、こじ付けだ。今回は偶々お前にはそう見える結果になっただけだ。歴史も規模も無い傭兵ギルド如きが口を挟む事じゃない。まあお前が金を出すって言うなら依頼の件は少しだけ考えてやるがな」
「たかが小規模ギルドのギルド長如きが町の運営に口を挟むな。全く、常識が無いのか」
「ここの領主、ライハルト子爵にも同じ資料をお渡ししてあるのよね」
おお、貴族を味方に付けてあるのか。やるじゃないか。
「ククッ、それがどうした? ライハルト様は商業ギルドと繋がりが深いお方だ。こんな事なんとも思わんさ。残念だったな。お前の手とはその程度か? まあ所詮女のやる事か、ガハハハハ」
「傭兵ギルドとやらで若くしてギルド長になったものだからどんなやり手かと思ったが、見目も良いし体で取り入ったか? なんなら私の愛人にでもしてやろうか?」
駄目じゃないか! 商業ギルドは冒険者ギルドの上部組織、そこと繋がってるなら絶望的だぞ。
「ああ、そうそうレンリート伯爵にも同じ資料をお渡ししてあるのよね? それで大変興味深くお読みになったそうなのよ?」
「「何っ!?」」
2人の侮辱的な物言いを笑顔で流して更なる爆弾発言をする。2人が驚くのも当然だ。平民が領地を越えて情報をやり取りするのは難しい。それも他領の貴族相手なら尚更だ。
だがレンリート伯爵と言えば傭兵ギルド、その上部組織の商工ギルドをこの国に初めて招致してこの国での影響力を上げて来ているお方だ。領地も此処と隣接してるし真実味はある。
そしてそんなモンに睨まれたらどうなるか。
「ちょ、町長?」
「まっ、不味いですよ。ライハルト子爵は下手したら私達の首を差し出して幕引きを計るかも知れません」
「どっ、どっ、どうするんだ! 何とかならんのか!?」
「貴方も何か考えなさい! そうだ、私は弁明の為今から領都に行ってライハルト子爵とお会いして来ます。スタンピードは専門家の貴方に任せます。良いですね」
「良い訳あるか!? それじゃあ儂はどうなる! 責任を儂に押し付けようとしておるだけじゃろう!!」
情け無い……、こんなゴミ共許されるなら今すぐ切り捨てたいくらいだ。
「ふふふ、なんて情け無いのかしら? 余りに無様、みっともない。貴方達には悪党としての矜持すらないのかしら? ふふっ、コレ以上笑わせないで頂戴。ああもう堪えきれない、お腹が痛いわ」
「何だとっ! 儂等をこんな目に合わせておいて良く笑えるな!!」
「そうです、ふざけないで下さい! 元はと言えば貴女の所為でしょう!!」
「違うわ。私は貴方達の尻拭いをさせられただけ。本来なら貴方達の仕事じゃない」
さっきまでと違って冷たくない普通の笑顔になった。心底楽しそうに見える。けど貴女今人を死に追い込んでるんですよ? ああ、何故俺はこんな所にいるんだろう。まだスタンピードの相手をしてる方がマシな気がする。
「これ以上の問答は不用ね。兵は9割出して、冒険者はランク2以上で強制依頼、それと指揮権を私に頂戴、良いですね?」
「まっ待て、それをしたら助けてくれるのか!?」
「どうなんだ!」
「ふふっ、何もしなかったらどうなるか……、貴方達の命を懸けて試してみたらどうかしら?」
「「「………………」」」
「それじゃあ失礼するわね。ご機嫌よう」
…………ご機嫌が良かったのはアンタだけだったがな。
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