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第2章 ゆるゆる逃避行は蚊帳の外?
第001話 移住について
しおりを挟む体調は良くなったしお金も沢山入った。けど居場所を奪われた。伝説級と言う精霊剣リリィを手に入れた成果としては微妙な成果かな。
『リリィがスタンピードで回復魔法を施したからじゃな。精霊剣としては正しいと思うがお主の現状はリリィも不本意なのじゃ。すまんのじゃ』
いや素直に謝られると、……ルルが死んでたと思うとこれで良かった気がするよ。そう言う意味ではプラス収支か。
『こう言う所はお主も素直なんじゃよなぁ』ボソッ
ギルド長室に呼ばれてチームの皆んなと行くとギルド長と副ギルド長、それにレイク達とサージェス達が居た。話しは俺が領地を越えて避難する事に対してだ。
「リリスちゃ~ん。私同じチームよね? 一緒に行って良いよね?」
ミリアーナ、コイツ付いて来る気か? 何がそこまでコイツを駆り立てるのか。
「ミリアーナさん付いて行く気ですか!?」
「家族とか親しい人とか、未練無いんですか?」
「私は孤児だしねぇー。狙ってた女の子は大体食べちゃったし今はギルド長とリリスちゃん狙いだから付いて行かない手は無いんのよん♪」
あっ、ギルド長の冷たい笑顔がそのまま凍りついた。と言うかちょっと引き攣ってる? 凄いなミリアーナ。
「んんっ、取り敢えず5日後くらいを考えているから、付いて来るのなら手続きもあるから早めにお願いね。後、大事をとってリリスちゃんは下には降りないように、出来ればなるべく皆んなと一緒に生活して頂戴」
5日間ギルドに缶詰か、――キツいな。
ミリアーナは来る事になったけどコレット達は来ない。と言うかギルド長からストップが掛かったのだ。本人達は来たがったけどな。
理由は実力不足、神聖教会の本部があるルードルシア教王国は冒険者ギルドのラージヒルド商業王国と並んでこの大陸2大超大国で目を付けられると危険過ぎる、と言う話しをギルド長から聞いた。
それ俺が危険って事じゃないの? まあギルド長と一緒だから大丈夫なんだろうけど。
「リリスちゃん……私達、その……」
「んっ、大丈夫、巻き込まない」
「でも私は、命の恩人、だから恩返ししたい」
「ルルちゃん、スタンピードの時助けられた人達は他にも沢山いたのでしょう? その中でアイリスちゃんの助けになってくれたのは貴女達だけ、それだけでも充分じゃないかしら?」
「でも……仲間だし」
「リリスちゃんは貴女達を巻き込みたくないって言ってるでしょ? 貴女達はまだまだ幼い、そしてまだまだ半人前です。こう言う時は甘えていれば良いのです」
「「「……………」」」
副ギルド長が諭すけど納得いってないようだ。でも3人共まだ12歳、孤児院を出たばかりの子供だ。おじさんの揉め事に巻き込むのは流石に気が引ける。
『おじ、……さん??』コテリ
「リリスちゃん、私は仮のチームとは思ってないよ!」
「ん、ラビィ、初めてチーム組めた、……嬉しかった」
この見てくれで色々あって人間不信になっていたからな。リリィのお陰でもあるけど色々楽しかったのも事実だ。
「リリスちゃん……」
皆んなが涙を流しながら抱き付いてくる。
ミリアーナも空気を読んで離れて、くれない? 一旦離れて上から抱き締めて来た。て言うか何処触ってんだよ止めろよ。ダメだ、睨み付けてもニヤニヤしてる。
うわっ、何でこんな時に体をまさぐって来るんだよ! 息を吹き掛けるな!! うひっ! なっ、何で耳を舐めるの!? 尻を揉むな! この女最悪だ!
皆んな泣いてる所で痴女されてますなんて言える訳が無いのに。くっ、耐えるしか無いのか、~~屈辱だよっ!!!
「ああー、リリス?」
「んっ、……サージェス……」
「何か顔赤いな、大丈夫か? しかしお前も結構甘い性格してんだな」
?? ミリアーナに辱しめられただけだが?
『少女達と別れを惜しんで涙目になって顔を赤くしてると思われたのじゃ。バレんで良かったの』
――バレてたら色々台無しだったよ!?
「うんうん、感じちゃったんだね?」
黙れミリアーナ! お前絶対違う意味で言ってるだろ!!
「えーっとだな。スタンピードの時にお前が言ってた洞窟の東側な、念の為調査して来たんだが問題無かったぞ。まあゴブリンに追われた魔物が少し多かったがな」
「んっ、……調査行って……疲れてた?」
「? ……イヤまあ、疲れたのは別の理由があったんだけどな」
「あら? 帰りに私と一緒になったのがご不満かしら?」
「いえッ、滅相もございませんギルド長っ!」ビシィ!
「ええー、羨ましいわぁ。ギルド長と一緒になれるなんて」
ミリアーナ、それも違う意味で言ってるだろ!!
「リリスちゃん」
ギルド長が真剣な顔で呼んで来た。何だろ?
「サージェス達の調査が無事終わった事で今回の為に呼び寄せておいた高ランクの傭兵達は地元に帰る事になるわ。レイク達とサージェス達にはもう少し残って貰うけど、此処の守りは薄くなるの。軽率な行動はしないように、皆んなも気を付けて頂戴」
「「「はい」」」「「んっ」」
その後職員用のシャワーを浴びて部屋に戻った。コレット達は寮から私物を持って来て一緒に寝る事になった。そこまでしなくても大丈夫なのに。って言ったら一緒にいたいって言われた。何処でそこまで慕われたのかね? ――ってルルを治療したからか。
『(同性同年代の友人とも思われとるようじゃがの)』ジト目
……なあリリィ、寝ている時の調整ってコレット達にも出来るのか?
『む、お主の魔力を使うし遠隔でやる事になるから効率はかなり悪くなる。――が、出来ん事も無いのじゃ』
なら頼むよ。どうせ数日だけになるし、俺の事はその後幾らでも出来るんだしな。
『うむ、お主がそれで良いなら構わんが、お主変わったか? 情に流されるとは』
そうか? 出来る事しないで後で何かあったらって思うとスッキリしないからな。
その後回復魔法で皆んなを癒やしてまた訓練をした。もうすぐ別れるって事で皆んな気合いが入ってた。因みにミリアーナは元チームメンバーの所に突撃して行ったらしい。
「マットぉーーっ! アンタどう言うつもりよ仲間を売るなんてぇーー!!」
「…………仲間じゃねえ」
こっのっ、ガキ~~!!
「同じ傭兵でしょうがっ! アンタの所為でアイリスちゃんこの町に居られなくなったのよ!?」
「ええっ、そうなの!?」
タチアナは驚いた、まさかそんな大事になってるとは思って無かったのだ。むしろマットへの罰が重いんじゃないかとすら思ってたくらいだった。
「アンタどうケジメつける気よ!?」
「はあ? ランク落とされたし罰金も払わされただろうが!」
「それはギルドに対するケジメでしょうが! アイリスちゃんには全然釣り合って無いのよ!!」
「知るかよそんな事っ!」
「こっのっ!」
「待ったミリアーナ!」「気持ちは分かるけど抑えて!」「マットにはキツく言っておくからっ!」
タチアナとマリーが抑え付けてくる。
バキッ「ぐはっ」
男のハリーまで私を抑え込もうとしたから蹴り飛ばした。男に抱き付かれる趣味は無いのよ。
「……相変わらずねミリアーナ」
「でもアイリスが居なくなるならミリアーナはどうするの?」
タチアナとマリーが抑えて何とかミリアーナを落ち着かせてから話しを聞いていく事になった。
「それなら俺等んトコに戻れば良いじゃねえか。そうだよ、その方が金になるし元々アイツなんて俺等に関係ないんだしそれが良い。なあハリー」
マットのあまりの発言にタチアナとマリーは怖気が走った。ミリアーナが初めて男のアイリスに興味を持ったのを密かに喜ばしく思ってたのにこんな事になるなんて。
「………………~~殺す」
((ひいーーーー!!))
マットは自分の発言が名案に思えて勝手な未来の展望を語り出しミリアーナの怒りに火を注ぎ続けてる。
ハリーはミリアーナに蹴り飛ばされてからどうしたら良いか分からず固まっているが、タチアナとマリーは長い付き合いからミリアーナがマジでブチ切れてるのが分かってしまった。
このままじゃ血を見る事になる。2人は目を合わせ覚悟を決めた。
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