拾った剣が精神汚染して来るんだけど!?⇔拾われた剣、主に振り回される!?

ゆうきゅうにいと

文字の大きさ
43 / 278
第2章 ゆるゆる逃避行は蚊帳の外?

第002話 美容の魔法?

しおりを挟む

「カリンは腰骨が歪んでますねえ。んん~気になるのはお肌と髪の艶ですか。じゃあキレイキレイにしちゃいましょうね。女の子は皆んな綺麗で可愛いのが1番です」
「えっ、リリスちゃん!? 何か雰囲気が何時もと違っ、あっ凄いっ……」
「ギルド長は綺麗なのに眉間にシワが寄ってますねー。視力も回復させてぇ、身体のバランスを整えて、ほーらお肌もツルツルですよー」
「ちょっ、ちょっと待って? 貴女本当にリリスッ、あっ、ぅん」
「レーナさんは? 特に無い? でも目のクマさんと胸の傷は取っちゃいましょう。ついでにシワも無い無いしましょうねぇ」
「ええっ!? ええっ!? 何でっ、ああっ、んっ……!!」
 ――どうしてこうなった。
 自棄になって聖女モードどころかおかしなテンションになってしまったぞ? それと言うのも鍛練の途中でコレット達に回復魔法を掛けていたのがカリンに知られてしまったのが原因だ。
『そりゃアレだけ鍛練しておいて疲れを残すどころか元気いっぱい擦り傷なんかも癒しておったしの。見れば直ぐに分かるのじゃ』
 そこでカリンに自分にもして欲しいと懇願された。ちょっとその圧が怖くて頷いてしまったのが運の尽き。ギルド長、副ギルド長まで参加して来たのだ。
 若返りに俺の回復魔法が関係ある可能性がとか何とか、それ俺の回復魔法の範疇じゃなくリリィの調整レベルの事をしろって事だよな?
『求めておるのは美容に特化していそうじゃがの』
 当然技術も魔力も足りる筈も無く、リリィの外魔力循環を使う事になって堪え切れずに暴走してしまったのだ。……ああ気持ち悪い。
『そうは言うがコレでもマシな方なんじゃぞ。本来なら取り込んだ魔力を体内で回復魔法にして使うのじゃ。それを体の外、患者に魔法を掛ける時に回復魔法にしてるんじゃからの』
 それは分かってるけどもっとマシな方法が無いもんかね。
『それどころか難しい患者には本来のやり方が必要になるのじゃ』
 ……はあ。スタンピードの時、俺の魔法は回復魔法に特化しているって事にしちゃったからな。数十人の重軽傷者を癒しておいてこの程度の人数で根を上げる訳には行かなかったんだよな。
「ギルド長……、これヤバくないですか?」
「ここまで効果があるとは。――私達で独占した何て思われたら不味いですよ」
「伊達に聖女扱いされていないわね。完全に能力を見誤ったわ。でも何か性格まで変わってないかしら」
 ギルド長達がボソボソ言いながら帰って行った。何か気になるけど詮索はしない、それが俺の処世術。
 精霊剣リリィを枕元に置いてコレットとルルに挟まれて寝た。ラビィを含めて日替わりで一緒に寝るらしい、――皆んな甘えん坊だよな。
『…………』

 翌朝ミリアーナが艶々してスッキリした顔でやって来た。随分ご機嫌だけどお前には美容魔法? は掛けてない筈だよな? 良く分からんが深く聞かない方が良い気がする。
 コンコン「リリスちゃん、ちょっと良いかしら」
「あーらギルド長朝から……どうしたのよそれっ!? 顔っ、肌艶がっ、何をしたのよ!」
 ミリアーナが思わずギルド長に掴み掛かってしまったけどこれは仕方ないとアイリス以外は理解していた。
「ミリアーナ、貴女も肌艶が良くなってるしスッキリしたような顔してるじゃない。同じなんでしょ? 何を驚くの?」
「同じって、……はっ! 私を差し置いて何処の女に抱かれたの!?」
「「「「「――――はあ?」」」」」
 一瞬時間が止まったかと思ったぞ。何を言ってんだコイツは?
「あれ? 違うの?」
「貴女が何を言ってるのか分からないし分かりたくもないけど、私の方はリリスちゃんの美容魔法を受けてこうなったのよ」
「うえぇええーーっ!? ……いやいや、ちょっと待ってリリスちゃん! 私が回復魔法受けた時そんな効果なかったよね??」
「ミリアーナ、戦う人。――美容より体調」
「おおう……成る程……。でもでも次からは美容の方も欲しいわよアイリスちゃん!?」
 多分何を言っても断れないヤツだよなコレ? 他の連中からも圧を感じるぞ。

「リリスちゃんに聞きたいんだけどこの美容の効果ってどのくらい保つのかしら?」
 ギルド長の顔が怖い。何をそんな真剣になる事があるのか。
「年齢や、体質による」
「……私の場合は?」
 ギルド長って30過ぎくらいだよな。大体同い年なのにこの立場の違いって、……で? リリィどうなんだ?
「んと……1・2年くらい、経てば、また出て来るかも、です」
「……それって、……老化を1・2年遅らせるって事?」
「んっ、寿命は伸びない、けど健康になる」コクリ
「成る程、それが長いのか短いのかは置いといて、1回の美容魔法でこの効果は破格過ぎるわね」
 美容魔法と言う呼び名で固定されてしまったようだ。お金と厄介事の匂いがするぞ? 俺は何でここまでしちゃったのか。
 ……リリィ、お前俺の暴走を止められなかったのかよ。
『リリィが勝手に使い手の意思に反する事が出来るのなら、それはもう精霊剣などでは無く呪いの邪剣なのじゃ』
 くっ、正論!
「リリス……、いえ。――アイリスちゃん。貴方に依頼があるの。ウチの職員達にも美容魔法をして貰えないかしら」
「えうっ!?」
 イヤそれ、収拾付かなくなるんじゃ。
「私達だけが恩恵を受けたって事が問題なのよ。ここまで効果があると、ね」
 ……嫉妬かぁ。
「男性は体調を主に、女性は美容を。ただし視力を回復したり古傷を消したりとかはしないで、本当に収拾付かなくなるから。それでどうかしら」
 これリリィの外魔力循環のパターンだよなぁ……断りたい。
「職員28名ウチ男性12名女性16名、1人銀貨2枚2万イェン分を4日間でやって欲しいの。多分女性は全員お金を上乗せして色々と頼んで来ると思うけど」
「えっ? ウチってそんなに職員いたの!? 傭兵だって100人いないのに??」
「スタンピード対策よ。一時的に他から集まって貰ってたのよ」
 と言っているが実は多くがシャルロッテが連れて来たレンリート伯爵領からの間者である。何時もはライハルト子爵領内に散って活動しているがスタンピードで集められていたのだ。

 ――断りたいけど断る理由が思い付かない。うーん、お金が入ると思って諦めるしか無いのか。
「やる、です」
『お主、大丈夫か?』
 仕方ないだろ? でもお前の魔力キツくて気持ち悪くて慣れないんだよなぁ。4日で4ヶ月分稼げるのは大きいけど。
『まあお主がそれで良いのなら構わんのじゃが』
 取り敢えず朝のウチに4人、内1人は自分の魔力で何とかしたけど3人は無理だった。更にその内の2人は女性だったんだけど2人共金貨1枚、10万イェン上乗せして来た。シワ消しくらいはしないと納得しなさそうだったんだよな。――女性って怖いわぁ。
 
 その後憂さ晴らしにコレット達にミリアーナと鍛練をして、夕方からまた4人回復させた。ちなみに皆んなは俺の護衛依頼を受けていて町を出る時まで一緒って事になった。
「わざわざ変装を解いてアイリスちゃんとして依頼を受けるんですねぇ」
 コレットが言う通り、聖女と言われてるアイリスとして職員の回復をしている。
「金髪リリスちゃんの事は職員でも一部しか知らないからね。隠したいんでしょ」
 夜になってコレット達に加えて今日からミリアーナも一緒に寝る事に、……なったんだけど何故かギルド長、副ギルド長、カリンがやって来てまた美容魔法を受けて行った。
 ああー、頭がスッキリする。心が洗われる。世界が只々愛おしく感じる。この余韻が最高な気分にさせてくれるから最悪なんだよな。
『ううむ、良い事のように聞こえるから反応し辛いのじゃ』
 俺はそんな人間じゃないし、他人に心を操られたみたいで怖いんだよ。
『まあそれは分かるがの。結局お主が受け入れた事じゃしな』
 そうして翌日から朝4人夕方4人回復させて間に鍛練と言う形にした。ルルには魔法も教えている。リリィの回復魔法で魔力に触れてるからか自分の魔力を感じとれるようにはなっている。魔法を扱う1番の壁は超えた事になるから発動までは後1歩かな?




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

ゲームコインをザクザク現金化。還暦オジ、田舎で世界を攻略中

あ、まん。@田中子樹
ファンタジー
仕事一筋40年。 結婚もせずに会社に尽くしてきた二瓶豆丸。 定年を迎え、静かな余生を求めて山奥へ移住する。 だが、突如世界が“数値化”され、現実がゲームのように変貌。 唯一の趣味だった15年続けた積みゲー「モリモリ」が、 なぜか現実世界とリンクし始める。 化け物が徘徊する世界で出会ったひとりの少女、滝川歩茶。 彼女を守るため、豆丸は“積みゲー”スキルを駆使して立ち上がる。 現金化されるコイン、召喚されるゲームキャラたち、 そして迫りくる謎の敵――。 これは、還暦オジが挑む、〝人生最後の積みゲー〟であり〝世界最後の攻略戦〟である。

ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!

仁徳
ファンタジー
あらすじ リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。 彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。 ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。 途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。 ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。 彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。 リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。 一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。 そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。 これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!

【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。  なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!  冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。  ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。  そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる

国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。 持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。 これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。

元公務員、辺境ギルドの受付になる 〜『受理』と『却下』スキルで無自覚に無双していたら、伝説の職員と勘違いされて俺の定時退勤が危うい件〜

☆ほしい
ファンタジー
市役所で働く安定志向の公務員、志摩恭平(しまきょうへい)は、ある日突然、勇者召喚に巻き込まれて異世界へ。 しかし、与えられたスキルは『受理』と『却下』という、戦闘には全く役立ちそうにない地味なものだった。 「使えない」と判断された恭平は、国から追放され、流れ着いた辺境の街で冒険者ギルドの受付職員という天職を見つける。 書類仕事と定時退勤。前世と変わらぬ平穏な日々が続くはずだった。 だが、彼のスキルはとんでもない隠れた効果を持っていた。 高難易度依頼の書類に『却下』の判を押せば依頼自体が消滅し、新米冒険者のパーティ登録を『受理』すれば一時的に能力が向上する。 本人は事務処理をしているだけのつもりが、いつしか「彼の受付を通った者は必ず成功する」「彼に睨まれたモンスターは消滅する」という噂が広まっていく。 その結果、静かだった辺境ギルドには腕利きの冒険者が集い始め、恭平の定時退勤は日々脅かされていくのだった。

勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?

猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」 「え?なんて?」 私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。 彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。 私が聖女であることが、どれほど重要なことか。 聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。 ―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。 前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。

処理中です...