拾った剣が精神汚染して来るんだけど!?⇔拾われた剣、主に振り回される!?

ゆうきゅうにいと

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第2章 ゆるゆる逃避行は蚊帳の外?

第026話 次の方針、学院編?

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 むぅ、ソファーだと寝返りし辛い。仕方がないから靴を脱いでから寝返りをしよう。
「アイリスちゃん? そろそろ起きましょうか?」 
「んぅ……ふわぁ……?」
 見上げると山があった。……ってシャルロッテさんの胸か、相変わらずでっかいなぁ。ゆっくり体を起こすと知らない人達の視線を浴びせられた。
「ひうっ??」
 思わずシャルロッテさんにしがみ付いたけど俺は悪くない。
「では、改めて紹介致しますわ。此方が高位の回復魔法の使い手のアイリスさんです」
「う、うむ。俺はこのレンリート伯爵領の領主グランツ・ウル・レンリートだ」
「私は娘のビアンカ・レンリートよ。よろしくね?」
 正面のソファーに座っている茶髪茶目に口髭をしてるやや背の高い穏和な雰囲気を持った40手前くらいのおっさんと、吊り目で活発そうな14・5歳くらいの少女が挨拶して来た。
「私はこの街を治めているチハヤス・オル・ザイガス準男爵だ」
「俺はこの街のギルド長のダックスルートだ」
 その後ろで立っている神経質そうなおっさんがこの街のトップで奥の机についている厳ついおっさんがギルド長か。シャルロッテさんの腕にしがみ付きながらチラッと見る。
「……アイリス君、君に幾つか提案があるのだが。君、私の部下にならないかい? そうすれば神聖教会も国も容易に手出し出来なくなる」
 うえっ、まだ狙われてるの? って言うかアンタもリリィの回復魔法目当てだろ? 精神汚染が酷いからもう使いたく無いんだよ?
『妹には自分から使っておったのじゃ』
 家族は別枠だろ、一緒にすんなよ。

「そんな嫌そうな顔をしないでくれ、これでも君の為を思ってシャルロッテと考えたのだからね」
 伯爵のおっさんは苦笑いしてる。俺の為、ねえ。シャルロッテさんを見上げて顔色を伺うと困った顔をした。
「私の名前を出して勧誘しないで下さるかしら、レンリート伯爵?」
「そうよお父様、そう言う事なら私にも権利がありますよね? 貴方私と一緒に学院に来なさい、楽しいわよ?」
 ?? 何言ってんだ? このお嬢様は? コテリと首を傾げるとお嬢様は目をキラキラさせて笑顔になった。
「良いわ貴方、貴方を連れて行ったら良い話題になるわ。学院に戻るのが楽しみになるわね!」
 何か知らんがこのお嬢様の中では俺の行き先が決定しているようだ。しかし俺は話題作りとやらの道具になるつもりは無いぞ? どうせアレだろ? 学院とかって貴族とか王族とか偉いさんばっかりなんだろ? 面倒な予感しかしないもん。
「いや」プイッ
 シャルロッテさんがいるから強気に言うよ? じゃないと無理矢理連れて行かれそうだからな。
「なっ、何でよ!」
「面倒」
「ビアンカ様、アイリスちゃんはこの通り礼儀作法が全く出来ません。王侯貴族が通う学院ではどんなトラブルを巻き起こすか想像出来ません。ビアンカ様はそれらに対処出来ますか?」
「うぐっ、でも礼儀作法なんて覚えさせれば良いでしょ?」
「それ、アイリスちゃんに何の得があるんです? そもそもアイリスちゃんは学生と言う年齢ではありませんよ?」
「だから良いんじゃない!? 連れて行ったら面白そうでしょ!」
「ビアンカ、無理を言うな。彼については他の権力から目を逸らす為に、当面は目立たないようにしなければならないんだ」
 おお、このおっさんはまともなのか? お嬢様は悔しそうに睨んでくるけど。
「ただアイリス君、君の安全を考えるなら候補の一つでもある。娘の通う学院は隣国の王都だ。そこで一年大人しくしていれば此方に戻る時向こうの王都出身と言う身分証を手に入れ、より安全になるだろう」
 堂々と偽造すると言ってやがる。権力者は好き放題か。
「そうですね、アイリスちゃんの見た目を考えますと年齢的にはビアンカ様と同年代とした方が目立たないでしょう。ただビアンカ様の後ろ盾と言うのは、……無いよりは良いのでしょうが」
「何よその扱い。私の何が不満なのよ」フンッ
「ビアンカ様、と言うより表面上なるべく国との関わりを持たせたく無いのですよ」
「何よそれ、面倒事なんて商工ギルドにでも押し付ければ良いじゃない」
「はあ、シャルロッテみたいな事を言うなビアンカ」
「「どう言う意味かしら?」」

「いや、まあ学院は兎も角、隣国の王都まで避難させると言うのはありなんじゃないかな?」
(この領地に残すよりトラブルの種は娘に押し付けてしまった方が良いかも知れんしな)
「では向こうのお屋敷の下働きとして、現地の人間を雇ったと言う事にするのはどうでしょう」
 何か勝手に行く事になってないか? 俺何も言ってないんだけど? 此処に来るまでギルドと馬車に監禁されてた以外は平穏だったろ。
『………………………』
「そこ、遠い?」
 どんどん話しが進んでいくのに怖くなって聞いてみた。まだ断れるよね?
「馬車でひと月程だったかしら」
「ええ、そのくらいね」
「…………やっ! 行かない!」
 俺は此処に来るまでのリリィの精神汚染回復魔法と監禁生活を思い出した。小休止の度に馬に回復魔法、終わったら馬車の中に連れ戻されて皆んなに回復魔法。精神汚染、回復魔法、精神汚染、回復魔法ってうんざりだよ!?
 魔法が嬉しいのか馬はベロベロ舐めてきて、俺も運んでくれてありがとう。とかお疲れ様ですお馬さんとか、気持ち悪い事を心の底から笑顔で言ってたりして……、ああ思い出したら鬱になる。
 レイク達にも笑顔を振りまいていたなぁ。自分でも目から光りが失われていくのが分かるわぁ。
 それがまた一か月? 嫌だ嫌だ、絶対に嫌だ! 頭がおかしくなるって!
 ――周りを見ると何故か皆んなおろおろしてる。お嬢様もさっきまでの強引さが無くなってる、何で?
「んっ」
 シャルロッテさんがハンカチで俺の顔を拭いてきた? そのまま頭を撫でられ抱き締められる??
「アイリスちゃん。そんなに泣かなくてもアイリスちゃんの意思を無視して、無理矢理連れて行ったりはさせないから大丈夫よ」
 おう、また泣いてたよ。最近何故か涙腺が緩んでいる気がする。これもリリィの所為か。
『断じて違うのじゃ! 何でもかんでもリリィの所為にするでないのじゃ!!』プンプン
 でも今までこんな事無かったぞ?
『それはお主が他人と関わらないようにしてただけじゃろ!』
 ぬぬぬ、それを言われると何も言えないけど。
「わっ、私だって無理矢理連れて行ったりしないわよ! って言うか何がそんなに嫌なのよ!?」
「此処に来るまで馬車とギルドの一室で、ほぼ監禁状態だったのでストレスが溜まっていたのでしょう。私も配慮が足りていませんでした」
 その通りだよ、シャルロッテさんが理解してくれたらもう安心だよね?




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