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第3章 なりきり学生生活は問題だらけ?
第005話 試験、問題!?
しおりを挟む「アイリスちゃん、アイリスちゃん、起きて下さい?」
「んんぅ? ……ふあぁあふぅ」
ナージャさんに起こされて寝惚けたまま目を開けると皆んながコッチを見てる? ……そう言えば試験だった!?
「もう試験が始まりますからね? 落ち着いて頑張って下さいね、では」
軽く頭を下げて足速に教室から出て行った。ちょっとぼうっとする頭で前を見る。試験官が4人か、試験官も子供達も何で皆んな俺を見てんの? めちゃくちゃ目立ってるじゃん?
『そりゃ人生が掛かる試験で熟睡しておったら目立つのじゃ。見るなと言う方が無理なのじゃ』
何で起こしてくれないんだよリリィ! 静かに過ごしたいって言ったじゃん!!
『静かに寝て過ごしとったのじゃ』
そう言う意味じゃねえよ!
『寝とる時点で目立っておったからの、手遅れなのじゃ。そもそもこんな時に寝るお主が悪いのじゃぞ?』
くうっ、……ぐうの音も出ないよ!?
1時間目は社会、法律や王侯貴族との対応、一般的な礼儀作法についてだった……まあ何とか? 2時間目は歴史、3時間目は数学だった。合格ラインが分からんけど大体埋めたしやる事はやった。
『いや社会と歴史は半分以上リリィが答えたのじゃ! 書き終わったら試験中なのにさっさと寝てしまうし目立ちたくないって言ってたのはどうしたのじゃ!?』
もう目立っちゃったんだし今更じやないか。ならもう寝ちゃって良いだろ?
『此奴、図太いのか繊細なのか分からんのじゃ』
「アイリスちゃん午後の試験は自信ありますか?」
「んっ、――まあ、まあ?」
お前もちゃん付けか、隣りに座っている赤茶の髪目でショートボブの女の子供、ホリーと言う名前で商人の娘らしい、丸い子だ。
『いや丸い子って……、確かに丸顔でちょっとふっくらしておるが可愛い顔しとるじゃないか。オナゴをそんな呼び方するでないのじゃ』
今は座学の試験が終わって合格した俺は教室でナージャさんが用意した昼食をとっている。そう、既に学院の合格は午前の座学で決まってしまっているのだ。
この後は実技、剣や魔法の試験を受けるらしい。因みにクラス分けは座学の成績だけじゃなく身分も関わるらしくて数日掛かるそうだ。――面倒くさ。
「アイリスちゃん甘い物好きなんですか? 美味しそうに食べますねぇ」
「んっ、美味しい」
今日のクッキー、固めた苺のジャムが乗ってるのとチーズが乗ってるの、それとナッツが乗ってる3種類ある。美味しい美味しい、どれも美味しいな。
「はぁ~、……帰りたい」
「そんな事言わないの、ほら行きましょアイリスちゃん」
ホリーに背中を押されて校舎を出て広場に出ると、試験を受けた教室事に集められてそれぞれ試験を受けているみたいだった。
「アイリスちゃん達はあちらで試験をするそうです」
俺達の後ろをナージャさんとホリーのメイドさんが仲良く歩いている。何時の間に仲良くなったのか、いや俺の所為か。
「よぉし集合したな。それぞれ手に合った木剣を取って適度に広がれ!」
受験生が集まると教師? っぽいのが声をあげた。他にも騎士っぽいのが沢山いるな。
「アイリスちゃん、髪を結いましょうね?」
「んっ」
髪の毛は伸ばすように言われてるんだよな。向こうに戻った時見た目を少しでも変えた方が良いって言うからしてるけど鬱陶しい。俺の為じゃなかったらとっくに切ってるのに。
「はぁ、……あんまり(人数が)減ってない」
「そうですね。まあお金とコネがモノを言いますから学院側も上位者と揉めでもしない限り不合格にはし辛いのでしょう」
籠の中から自分でも取り回せそうなリリィの精霊剣に近い細剣の木剣を手にして言われたように広がった。
「よぉし、それじゃあ周りに当たらないように素振りをしろ! 良いと言うまで止めるなよ!」
言われた通りに木剣を振っていく。周りを見ると明らかに振れてないのもいるな。て言うか前のバカ、木剣デカ過ぎだろ。重さに振り回されてるじゃんか危ないな。後ろに飛ばすなよ?
ホリーの方を見ると俺と同じような木剣を持って剣を振ってるけど腰が引けてる。
『しかしそれなりに振れてるのとダメダメなのと両極端じゃの』
まあ貴族の子息子女は嗜みとしてやっているみたいだけど、この学院を受ける商人はそれなりに大きな商家らしいからな。行商する訳じゃないから剣の腕なんて必要無いんだろ。
そうこうしてる内に剣を振れない奴等が次々に除外されて3分の2程残った。
「アイリスちゃん剣も出来たんだね。持った事も無さそうに見えるのに」
いやどんなイメージだよ。
『深窓の令嬢? 箱入り姫かの?』コテ
何を言っているんだお前は。
「よーし、残った者達はこっちに来い! 騎士の方達と手合わせして貰う。大体の腕が分かれば良いので正々堂々戦うように!」
次々と手合わせが進んでいくのを見ていると、やはり12歳と大人の騎士と言う体格差が大きく、殆どが相手にならずに敗れていく。
中には互角に近い戦いをするのもいるにはいるけど……。何かあからさまに手加減されてるんだよな。まあどこぞの貴族なんだろうけど、こう言うの見ると萎えるよな。
けど他の騎士を見るとそいつを嫌そうに見ていたから慣例って訳じゃないのかね?
「次っ、アイリス・フローディア!」
「んっ」コクリ
呼ばれて前に出ると貴族に手加減騎士が相手みたいだ。
『貴族に手加減騎士って……、そのまんまじゃの』
因みに名前にフローディアが付いたのはシャルロッテさんの苗字を借りた。シャルロッテさんの養子になった訳じゃないからね?
名前だけじゃ不便だからって付けられたんだよな。ビアンカお嬢様はレンリートって付けようとしてたけど伯爵家と同じ名前がヤバいのは俺でも分かるんだぞ?
木剣を構えるけど向こうからは攻めて来ない。まあ腕を見る為だから他の騎士達も同じようだったけど。
自分から攻めるのは苦手なんだよな! 浅い踏み込みで片手で騎士の小手を狙う。騎士は鎧を着込んでいるから遠慮なく打ち込めるな。
けど木剣を引かれて木剣で受けられた。でもそれはコッチも想定済み、回り込んで横を抜けるように胴を薙いでいく。
しかしそれに合わせて相手も体の向きを正面に変えて木剣を振り下ろして弾かれた。
けどそれも想定内だよ? コイツ腕力はあるけど技術はミリアーナより低い、ヴェルンさんやナージャさんより格下だ。俺よりは上だけどレイク達みたいな規格外ともやり慣れてるから隙を付けない程じゃない。
木剣を弾かれた勢いを利用して体を回転させて更に接近密着して木剣を首筋に当てた、コレで勝負あり、何とかなったな。
ドカッ!
!? 何だ? 何があった!? 体がふらつく、膝が笑ってる!?
『体当たりを食らったのじゃ! 油断するな! まだ来るのじゃ!!』
横を見ると馬鹿騎士が顔を真っ赤にして木剣を振り上げて打ち込もうとしていた。
俺は咄嗟に細剣を盾にするよう構えて衝撃に耐えようと構える。
『安心するのじゃ! リリィが障壁を張るのじゃ! 弾いたら叩きのめしてやるのじゃ!!』
おっ、使えるじゃないかリリィ。ならこんな馬鹿思いっきりやってやるか。
「バリスっ! 何をしてる! 止めるんだ!!」
木剣同士が当たる寸前、同僚の騎士に止められて馬鹿騎士はまだ怒りを残した顔のまま木剣を止めた。
「……チッ、命拾いしたな」
馬鹿騎士はイラつきながらも見下した視線で吐き捨てて去って行った。
「君、大丈夫か? ……済まないな、同僚が……」
ガコッ!!
寄ってきた同僚の騎士が話しかけて来た時、馬鹿騎士は後ろから頭に衝撃を受けて崩れ落ちた。
『なっ、何をしとるのじゃお主っ!?』
そう、後ろから馬鹿騎士の後頭部におもいっきり木剣を叩きつけたのだ。まあ兜越しだし死なないだろ。
「なっ、何をしてるんだ貴様はっ!」
寄って来ていた騎士は咄嗟に木剣を俺に向けて来たが何時の間にかナージャさんが真剣を抜いて間に入って来ていた。アンタ何者??
未だにナージャさんヴェルンさんの底が見えないんだよな。流石にレイク程でないのは分かるんだけど。
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