拾った剣が精神汚染して来るんだけど!?⇔拾われた剣、主に振り回される!?

ゆうきゅうにいと

文字の大きさ
88 / 278
第3章 なりきり学生生活は問題だらけ?

第011話 副都の迷宮へ

しおりを挟む

 屋敷に戻ってからナージャさんとミリアーナに連れられて、一緒に行くだろうヴェルンさんにも迷宮探索について話した。まだ言って無かったんだな。
「は? 迷宮、……ですか……」
 おお、……話しを聞いたヴェルンさんが動揺してる。何時もは冷静なのに。
「ナ、……ナージャ。わざとですね?」
「何の事でしょう? あ、因みに精霊神社と商工ギルドにはヒストロスさんが話しに行きましたよ? そうね、そろそろ帰って来るかしら?」
「今からでは止められない、……確信犯ではないですか」
「? ……ねえヴェルンは反対なの?」
「ミリアーナさん。いえ、反対と言うかビアンカお嬢様方は……。いえ、リアースレイ精霊王国もアイリスは見学するだけだと思っていますよ」
「えっ? ……ああそっか。アイリスちゃん精霊神社とか商工ギルドとかに目を掛けられてるんだっけ」
「リアースレイ精霊王国にとってもレンリート伯爵領においても最重要人物となっているでしょう。そんな人物が迷宮で自身で戦うなんて思ってもいないでしょう」
「ふふっ、そうですね」
「貴女はそれを分かっていながら……」
 おお、ヴェルンさんがナージャさんに怒りを露わにしている。普段怒らない人が怒るとより怖いな。
「アイリスちゃん? そう言う事なので残念ですが迷宮探索は見学しましょうね?」
「ふあっ!?」「「『えっ!?』」」
『見学って何なのじゃ見学って! それじゃ意味ないじゃろがぁあああーーーっ!!』うがー!

「……成る程、アイリスが戦うのをゴリ押しするのではなく元から見学をさせるつもりでしたか」
 ヴェルンさんは納得したみたいだけど俺が納得出来ないよ!? そもそも俺ってそんな立ち位置なの? 何か凄いモヤモヤする! 知らない間に権力者に目を付けられてるとか凄い怖いんだけど!??
『いや巫女やダールトン、獣人達の対応で分かるじゃろ』
 リリィは呆れた様に言うけど今まで権力者とか会った事無かったんだから知らないよ! 考えもしなかったよ!!
「どうしたのアイリスちゃん? やっぱり戦いたかった?」
 うう~、ミリアーナぁ。駄目だ、不安を隠すようにミリアーナに抱き付いてしまった。俺はこんなんじゃないのに……。
『いやどっぷりそんなモンじゃろお主は』ボソッ
「どっ、どうしたのかな? アイリスちゃん? いや抱き付くのは良いんだよ? 全然良いんだけどね?」
「ミリアーナさん、代わりましょう」
「代わらないわよ。それより本当どうしたのかしら?」
「……権力者、怖い」ボソッ
「「「今更!?」」」
 その夜、ナージャさんに裏切られたからミリアーナとだけ寝た。ナージャさんは謝ってきたけどプイってしたら何故か満足そうにしていた。
 後ビアンカお嬢様がお疲れのようだったから軽く回復魔法でも掛けてあげようと声を掛けたら微妙な顔をされた。
 期待されてないようでちょっとムカついたからリリィの能力を使って全力で掛けてやった。一応雇い主? の1人だからな。その後何故か一緒に寝ようとして来てヒストロスさんに怒られてたけど。
 癒やしがどうとか言ってたけどやり過ぎたかな? でも学院って大変なんだな。……余計行きたく無くなったよ。

 ビアンカは疲労とささくれ立った心がアイリスとリリィのフルパワー回復魔法によって解けていった。しかしその所為で癒やしの根源であるアイリスを手放し難くなってしまっていたのだった。
 しかしそんなモノは翌朝鏡を見てツルツルピカピカになった自身の姿を見て砕け散った。
「何よこれぇえええーーーっ!!?学院でどう説明すれば良いのよぉおおおーーーっ!!!」
 元々13歳と言う若さもあってピチピチだったのだが今では更に光り輝くようである。年頃の少女が美しくなったと言うのに学院での微妙な立場を考えると頭痛しかしないビアンカであった。
 ――恐るべしアイリスタイフーンである。


 早朝、王都を離れて馬車で2時間、副都に入って1時間。探索者ギルドに入ってミリアーナにナージャさんヴェルンさんを加えた4人でチーム登録をした。
 副都の迷宮探索では冒険者ギルド傘下で迷宮専用の探索者ギルドと言うのがあるのだ。
 迷宮探索では依頼と言うのは無いけど2人以下だと日帰りのみ、3人で一泊、4人以上で迷宮内での連泊が許可されるようになるそう。ランクによる制限もあるけどヴェルンさんナージャさんが去年探索者としてランク4まで取っているから俺達には関係無いそうだ。
 既に夕方になってたから迷宮探索に必要な物資を購入して、今日はギルドの寮に泊まって明日から迷宮探索って事になった。
「迷宮専用の資格が必要とは思わなかったわ。それに試験まであるなんてね。これ傭兵以外は結構苦戦するんじゃない?」
「ええ、確かにその事で揉める事も多いらしいです。ですが迷宮内でトラブルを起こされるよりはマシですから」
 ミリアーナがそう言って探索者カードをひらひらさせる。この副都の迷宮は傭兵ギルドの管轄下にあるけど試験を受けて資格を得れば誰でも迷宮探索出来るようになるそうだ。
 当然俺達も受けた。一般常識と迷宮に関する注意事項などだ。一般常識は傭兵ギルドと同じだし迷宮関連は事前に軽く学んでいたから問題無く合格した。
「それにしても迷宮が傭兵ギルドの管轄だとは思わなかったわ」
「いえ此処が特別なんですよ。王都近くの迷宮と言う事で昔は軍が管理をしていたのですが余り上手く行ってなかったようでして。それを買い取ったらしいのです」
「へえ、……じゃ探索者ギルドは上手くやってるの?」
「そうですね。探索者ギルドと言うより商工ギルドがでしょうか。軍の跡地を此処が副都と呼ばれるまでに発展させたのですから、上手く行っているのではないでしょうか」
『全く、迷宮の低階層くらい主でも通じるのじゃ! 見学だけなんて過保護が過ぎるのじゃ!』プンプン
 でも?

 もう夜になるので探索者ギルドの寮で休む事になった。此処は探索者ギルド3棟目の寮だ。この探索者ギルドの寮は迷宮の所為か傭兵も多く集まって来るので1棟じゃ足りなくなって建てられたそうだ。
 個室だけど横の扉を引くと隣りの部屋と繋げる事が出来て今は4部屋を繋げている。他の傭兵ギルドの寮でも作りは同じなんだけどずっとソロだったからこう言うのは使った事無かったんだよな。
「子爵領でも寮の部屋がこのくらい高さがあっても良いのに」
「この寮は迷宮探索者用になっていてこうやってチームで話し合いが出来るようになっているんです。天井が低いと圧迫感がありますからね」
 子爵領の寮と違って此処は130cmの俺ならギリ立てる高さがある。此処で生活するのも良いな。
「便利過ぎると自立を促せないそうです。此処が高さがあるのは迷宮特有の理由によります。探索者は他の迷宮探索者に出し抜かれないように情報を秘匿する傾向があるのです」
「そんなの当たり前じゃないの?」
「違います、迷宮と言う同じ依頼を受けて利益を取り合っているのですから」
「ああ! そっか成る程、町じゃそれぞれ違う依頼を受けてたし合同依頼でも仲間として受けるから秘匿性は低いわね」
 ヴェルンさんとミリアーナが何やら話し合っている、もう寝て良いよね?
「アイリスちゃんお眠ですか?では一緒に寝ましょうね」
「ちょっと待ったナージャ、3人じゃ狭くて無理だし私が寝るわよ」
「いえいえ、それには及びません。私に任せて下さい」
 何故にこんなおっさんと寝たがるのか、まあ2人共笑顔で話し合ってるから良いけど。
『おお、……これが鈍感系主人公』
 何言ってんだ? しかしこのままだと1人用の個室で3人で寝る事になりかねないな。
「……2人で寝れば良い」
「「………え?」」
「ああそうね! アイリスちゃんの言う通り2人で寝ましょ! ねっ、ナージャ?」
「いえ待って下さいミリアーナ! 今の流れでどうしてそう言う話しに……」
「良いから良いから、どうせ3人じゃ狭いんだし優しくするから大丈夫よ」
「優しくって何ですか!? 全然大丈夫じゃありませんよ! あっ、やめっ、ちょっ、ドコ触っ……! ……!??」
 扉を閉めると結構静かになるな。さっさと寝ちゃおう。
『えっ? お主アレ……、良いのかの??』困惑




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!

仁徳
ファンタジー
あらすじ リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。 彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。 ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。 途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。 ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。 彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。 リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。 一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。 そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。 これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

元公務員、辺境ギルドの受付になる 〜『受理』と『却下』スキルで無自覚に無双していたら、伝説の職員と勘違いされて俺の定時退勤が危うい件〜

☆ほしい
ファンタジー
市役所で働く安定志向の公務員、志摩恭平(しまきょうへい)は、ある日突然、勇者召喚に巻き込まれて異世界へ。 しかし、与えられたスキルは『受理』と『却下』という、戦闘には全く役立ちそうにない地味なものだった。 「使えない」と判断された恭平は、国から追放され、流れ着いた辺境の街で冒険者ギルドの受付職員という天職を見つける。 書類仕事と定時退勤。前世と変わらぬ平穏な日々が続くはずだった。 だが、彼のスキルはとんでもない隠れた効果を持っていた。 高難易度依頼の書類に『却下』の判を押せば依頼自体が消滅し、新米冒険者のパーティ登録を『受理』すれば一時的に能力が向上する。 本人は事務処理をしているだけのつもりが、いつしか「彼の受付を通った者は必ず成功する」「彼に睨まれたモンスターは消滅する」という噂が広まっていく。 その結果、静かだった辺境ギルドには腕利きの冒険者が集い始め、恭平の定時退勤は日々脅かされていくのだった。

【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。  なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!  冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。  ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。  そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。

A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる

国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。 持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。 これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。

神様、ありがとう! 2度目の人生は破滅経験者として

たぬきち25番
ファンタジー
流されるままに生きたノルン伯爵家の領主レオナルドは貢いだ女性に捨てられ、領政に失敗、全てを失い26年の生涯を自らの手で終えたはずだった。 だが――気が付くと時間が巻き戻っていた。 一度目では騙されて振られた。 さらに自分の力不足で全てを失った。 だが過去を知っている今、もうみじめな思いはしたくない。 ※他サイト様にも公開しております。 ※※皆様、ありがとう! HOTランキング1位に!!読んで下さって本当にありがとうございます!!※※ ※※皆様、ありがとう! 完結ランキング(ファンタジー・SF部門)1位に!!読んで下さって本当にありがとうございます!!※※

勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?

猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」 「え?なんて?」 私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。 彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。 私が聖女であることが、どれほど重要なことか。 聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。 ―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。 前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。

処理中です...