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第5章 くたくた迷宮探索の敵は移動とご飯?
第018話 29階層到達
しおりを挟む上層に逃げていた冒険者達がアーダルベルト達に近づいて話し掛けて来た。
「よう、言っておくが俺等は上層に逃げたのは間違いとは思ってねえぞ。お荷物(国軍)抱えて戦うなんて無理だからな」
「お前等だって上に逃げる事も出来たのに自分からこの階層に留まって戦ったんだ。俺等が付き合う道理は無えよな?」
「何が言いてえんだ?」
「別にケンカ売ってる訳じゃねえ。意見の擦り合わせだよ。こっちの考えを知っておいてもらわねえとな。つまんねえ言い掛かりつけられたく無えからな」
んじゃな、と去って行く冒険者達をアーダルベルトとルトルートは疑心の目で見送った。
「どう思うよルトルート」
「道理は通ってるが、……なぁんか企んでそうだよな」
「やっぱお前もそう思うか」
昼食を食べ後片付けを終わらせてアーダルベルト達は皆んなを集め今後の行動を説明していった。
「まだ昼過ぎだし嬢ちゃんの魔法のお陰で皆んな万全だ。行くしか無いだろう」
「28階層の事でも分かる様に何があるか分からない! 何があっても対処出来る様に心構えを忘れるな!!」
「「「おう!!」」」
「アイリスちゃん、抱っこしましょう抱っこ! ほら!?」
両手を広げるナージャを冷めた目で見るアイリス。アーダルベルト達が話し合いをしている間に休んでいて、既にリリィの力で魔力体力共に万全に回復していたのだ。
「ほらナージャ、馬鹿やってないで準備なさい。夜になったら私が満足するまで抱いてあげるから」
「ちょっ、ミリアーナ止めっ、て言うかそんな事望んでません! どさくさに紛れて何を言ってるんですか!?」
迷宮探索で女日照りが続く探索者の男達は鼻を膨らませて2人の様子を聞いていたが、ヴェルンが咳払いをすると慌てて作業に戻っていった。
「全く、貴女方も女性として目を引く存在だと言う事を自覚して下さい」
両探索者クランにも女性は3割程いる。しかし見目がそれなりに良く、更に新顔と言う事でアイリス程ではないが目立っているのだった。
少し混乱はあったが立ち直り29階層へと進んで行った。29階層、目の前は湿地帯だった。かなり前方に目をやると木々が増え森になっていて右側に草原、左側に岩山があった。
「湿地帯か、……面倒だな」
「草原に行くにしろ岩山に行くにしろ距離があるな。嬢ちゃん呼んで道案内でも頼むか?」
湿地帯は歩くだけでも苦労する。荷物は濡らせないし越えた後も靴を乾かしたり手間がかかる。その上そこの魔物は湿地に適正があり自由に動き回る魔物ばかり、出来れば避けたい場所だ。
次の階層の方角をリリィから聞いて伝えた。無駄に湿地帯なんて行きたくないからな。岩山寄りの方向らしくて助かった。結果湿地帯を避けて岩山方面へ向かう事になった。
湿地帯はなあ……俺の体躯じゃずぶずぶいって進み辛いだろうしなあ。体が軽いんだから沈まなくても良いと思うのに。
『無茶を言うでないわ』
少し湿地帯を通ったけど無事? 岩山まで辿り着いた。リリィに上空から見てもらって進み易そうなルートを教えて貰って伝えたのだ。余計な回り道や苦労はしたくないからな。
途中上の階層で見たより大きな手投げ猿が出て前方の探索者達に大きな石を投げつけていた。けど後方、俺の側に居た探索者が死角から弓を放って射殺していた。
「あれだけ大きな石だと盾で弾くのも盾にダメージがありそうで嫌よね」
確かに盾がガインガインいってたからな。
「後ろに人が居なければ避けるのでしょうが、これだけ大人数のクランでは難しいでしょうね。その分チーム単位では倒し辛いでしょうが」
「そうね、クランだと縦に長くなって死角から攻撃するのも簡単そうだもんね」
ミリアーナとヴェルンが何か話しているけど岩山の傾斜がキツくて歩くのが大変でそれどころじゃないんだよ?
「アイリスちゃん大丈夫ですか? やっぱり抱っこしましょうか?」
「んーん」ふるふる
ぜえぜえ言いながら前を見ると大きな鹿が岩山の上から探索者の盾に飛び蹴りしていた。アグレッシブだね。
頭に大きな角が生えているから突き刺さったら大怪我するだろう。まあ他の探索者に斬り裂かれたけどな。
「大手投げ猿に角跳ね鹿、この階層まで来ると上位種ばかりになるわねえ」
おいリリィ、本当に1番まともな道なんだろうな。歩くのめっちゃキツいぞ!?
『かろうじて道として使えそうなのが此処なのじゃ』
おおぅ……絶望。
何とか小休止まで歩き続けたけど疲れてぐっすり寝てしまう。そして起きたら岩山を越えていた。どうやらまたナージャさん達に運ばれていた様である。レーディアさんツェツェーリアさんにまでお礼言うの恥ずかしいんだぞナージャさんめ!?
「……あっち」
何時の間にか先頭に連れられ次の階層の方角の確認をさせられた。俺の指差す方向は木々が生い茂るエリアだった。ついでに魔物の情報も伝えておいた。
リリィの情報で次の階層付近に魔物の群れがあるみたいなんだよな。何の魔物かは分からないけど。
「いやいや、楽で良いねえアーダルベルト」
「気ぃ抜き過ぎるなよルトルート。お前は良くても他の奴等にも移るからな」
「わあってるよ。しっかし岩山の進行ルートに次の階層位置が分かるって反則だよなぁ」
「まあな、次の階層探す時間もストレスがデカいからな」
「んで、……この先の魔物の群れって何かねえ?」
「さてな、だが次の階層付近を陣取ってるってのが気になるな。もしかしたらもうすぐ階層を下る魔物が統率してるのかも知れない」
「もしそうなら最悪だな。群れの統率者、しかも実質下の階層の魔物だ。それが群れを成してるんだ。手強いだろうなあルトルート?」
「何で楽しそう何だよ」
階層を降りる魔物と言うのはたまに居る。その階層で強くなり過ぎて必要な邪素が足りなくなり、邪素の濃い場所を求めて下への階層付近に行き、最後は下の階層に降りて行くのだ。
そう言う魔物は迷宮内で長く生きて成長した為、種族的な強さだけでなく経験による強さも手に入れている場合が多い。
木々の生い茂る森林エリアに入っていくとオークやオーガに黒狼系の大黒狼に大角大黒狼まで出て来た。新しい魔物で言えば大紫蜘蛛や斑大毒蛇等が出て来たくらいか。
「アイリスちゃん蜘蛛は苦手みたいですねえ?」
「んっ、あれはダメ」
斑大毒蛇は毒を飛ばすのが怖い。大紫蜘蛛も毒を飛ばして来るけど更に見た目と動きが気持ち悪かったのだ。何処を見ているか分からない目、いっぱいある足がわさわさ動く様は自分が戦っている訳でも無いのに思わず怖じ気が走り足から力が抜けていってしまった程だ。
そうしてアーダルベルト達が突き進んで行くと、森林を抜けた先に草原が現れ、目で見える距離に黒狼の群れがなっているのが見えた。
「やっぱ黒狼系か」
「森林で彼奴等だけ統率がとれてたからな」
森林エリアで黒狼系の魔物だけ無理して戦わず探索者達が狩った魔物を食料として持ち去っていたのだ。迷宮の魔物らしくない統率のとれた行動に2人は当たりをつけていたのだ。
「さて、統率者はどなたさんかねえ?」
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