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第5章 くたくた迷宮探索の敵は移動とご飯?
第024話 副都の迷宮探索終了と転機
しおりを挟む俺はひいひい言いながら此処まで歩いて来た訳だけど、ふと思うとバカバカしくなってしまった。
だってこんだけ頑張って歩いても全く筋力が伸びないんだもん!
しかもナージャさんミリアーナにレーディアさん達が抱っこしたがるからその誘惑に負けそうになってしまう。
けど流石に男としての矜持があってそれは泣く泣く我慢した。
『と言うか本当に涙をポロポロ流しとったのじゃ』
声を出してないからセーフなんだよ?
『結局レーディア達に無理矢理運ばれたがの』
俺の意思じゃないからセーフなんだよ?
それから大きなトラブルも無く進み迷宮探索も21日目、12階層まで戻って来た。
此処まで来ると魔物の脅威も大分薄まるな。
『30階層まで行った猛者達じゃからの』
うん。安心安心。
小休止してる時に上層から探索者達がやって来て合流した。
今日は11階層まで行って1日休んでから中継地のある10階層まで上がって行く事になった。何かあったのかね? 今までなら10階層まで行って中継地点で休むのに。
翌朝食事を摂って出発、10階層に入ると直ぐに中継地が見えて……ん??
何かいっぱい人が居る。こっちも200人くらい居るけどその倍以上、500人くらいは居そうだ。
しかも揃いの鎧を着けてる軍人が100人くらい居るから、多分他の奴等も探索者や傭兵じゃ無く冒険者じゃないかな。
「んえっ? えっ? えっ??」
何が始まるんだろうかとナージャさんを見上げたら後ろから手で目隠しされた。何? 何で??
「レーディア、後方は頼んだぞ」
「ふん、任せなよ。冒険者共は多少厄介だけどウチ等の敵じゃないからね」
そう言ってレーディアとツェツェーリアは20階層で合流した探索者50人を引き連れクランの後方に行き、付いて来ていた国軍冒険者に睨みを利かせた。
「さあてどうなるかねえ?」
「上の状況が分からんからな。兎に角俺等は地上に帰る事を最優先に「ええーい退け退け貴様等っ! 退かんか!!」……しよ、う?」
後ろから大声が聞こえて振り返ると国軍とその国軍に連れられ冒険者達が俺等の脇を抜けて前に行こうとしていた。途中嬢ちゃんの居る辺りで欲に塗れた視線をぶつけていたが周りの奴等が剣を手に威圧して追い払っていた。
「ありゃどう言うつもりだアーダルベルト?」
「知らん」
「どうもこうも、後ろの国軍がお仲間を見て合流しに行っちまったのさ。冒険者共は渋々だったけどね」
「レーディア」
「後方に敵が居なくなっちまったんだ。戻って来たよ」
戦うなら挟撃して来ると踏んで居たのに戦うつもりは無いのか? いや500人近く集めておいて話し合いで終わる様には思えないんだけどな。
「警戒は切るなよ、臨戦態勢は維持しておけ」
「昨日合流して来た奴等は10階層の中継地を無理矢理奪われたって言ってたからな、本来ならそれで充分殲滅対象だ」
俺達は20階層と10階層の中継地に居た探索者達を含めて170人、奴等は500人に俺達に引っ付いて来てた国軍冒険者が合流して600人ってところか。
普通なら実力はこっちが上だが人数差を考えると勝つにしても相当な被害が出るだろうな。だが此処は迷宮、見晴らしの良い草原エリアと言えど人数差を活かせる程広くない。
その上こっちには嬢ちゃんがいるから即死しなけりゃ幾らでも戦える。寧ろ負ける絵が見えないくらいだ。警戒するとしたら挟撃される事くらいだったが前に出て合流しちまったからな。幾ら何でもアホ過ぎるだろ。
ルトルート達と認識の共有をしていると太ったおっさんが偉そうに部下数人を引き連れゲッフェルトとか言うのとこっちに向かって来た。
「私は第3大隊長ラッセル・ドルフレイルである! 平伏せよ!!」
「ああっ!? 寝言なら寝て言えや! ぶっ殺すぞおっさん!!」
おいおいルトルートや。勝てるイコール喧嘩売る。じゃないんだけど? いきなり三下みたいなセリフで喧嘩売るなよ。
コイツの事だからどうせ面倒なやり取り抜きにしてさっさと殺っちまおうって事なんだろうけど。
「なっ、なっ、なっ……」
「ラッセル殿、此奴等は礼儀も道理も知らぬ探索者共、我等もここまで道中苦労させられたのだ。要点だけ伝えてさっさと地上に戻りましょうぞ」
「ふん、仕方ない。良いか貴様等、貴様等が持って来たグリフォンとタイタンスネークとやらの素材を我等に献上せよ! 勿論聖女もだ!! 良いな!?」
「良い訳ねえだろ! おいアーダルベルト、もう殺っちまっても良いよな?」
「ああ~、勿論そんな話しは断る。渡す道理は無いからな」
「何だと貴様等ぁ」
「ふん、良いのかね? これだけの人数差でそんな大口叩いて」
「構わねえよ」
と言う訳ではい、戦闘になりました。一応大隊長とか言うクソ2人は確保して後はなるべくぶっ殺す方向で、戦闘はあっという間に終了。
人数差を活かす戦術も無いからこっちは俺やルトルート初めエース級を並べて一方的に蹂躙するだけ。勝てないと踏んだ冒険者共が散り散りになってさっさと逃げ出して形勢は決まった。
「嬢ちゃんの活躍の場も無かったなあアーダルベルト?」
「ああ、情け無さ過ぎんだろ。こんなんでこの国の国軍は大丈夫なんかね」
「国軍200人強は殺ったけど、冒険者は逃げちまってそこまでいかなかったな」
「取り敢えず地上に戻ろう。これだけ大きな動きがあって探索者ギルドが動いて無いのが気になる」
ゲッフェルトはアーダルベルト達に捕まり何故こんな目に遭っているのか考える。探索者共が反逆して来るのはこれまでの事があるから分かる。
冒険者共に先陣を切らせたが劣勢と見るとさっさと逃げ出した事が原因だ。何故そんな奴等を連れて来たのかとラッセルを睨みつける。
しかし何故かラッセルの方も此方を睨みつけていて意味が分からない。お互いに猿ぐつわをされて言葉を交わせないからだ。
ラッセルからするとこれだけ人数差があって何故逆らうのか分からないし、こんな奴等なら先に言っておけとゲッフェルトに言いたい所だろう。
それから3日、迷宮に入ってから25日目で漸く地上に戻って来た。
「アイリスちゃん!?」
おお~、ビアンカお姉様達だ。何で探索者ギルドに居るのか知らないけど迷宮に居なかった人と再会すると地上に戻って来た実感がわくね。
「ビアンカお姉様ただいまぁー」
地上に出た解放感から思わず笑顔になって駆け寄ってしまうけど気は抜かないんだよ?
お姉様呼びの約束は忘れて無いのだよ、ふふふ。
「アイリスちゃん、元気そうで良かったわ」
「えへへ」
そう言って抱きしめて頭を撫でて来るビアンカお姉様、相変わらずだな。
『相変わらずはお主の方じゃろ』呆れ顔
「ビアンカお嬢様が何故此方に居るのですか?」
「ナージャも、皆んなも無事に帰ってこれで良かったわ。まあ此方も色々あってね。その辺の事はヒストロスかアリーニャにでも聞いて頂戴、行くわよアイリスちゃん」
アイリスはビアンカに手を引かれヒストロスにアリーニャ、そしてヴェルン達も付いて行く。
「皆さんご無事で、本当に良かったです」
「ダールトンの旦那が何で此処に? 何か貴族の嬢ちゃんも居たし何があったんだ?」
アーダルベルト達の前にはアデール王国の商工ギルドの長であるダールトンにこの探索者ギルドの長デルトファス、更に精霊神社の宮司ザイールの姿まであった。
迷宮でのトラブルから覚悟はしていたが、そのメンツから予想以上の大事かも知れないと迷宮探索を終えたばかりの疲れた身体で問いかけた。
「端的に言うと2つ。先ずこの国、アデール王国が隣国フォシュレーグ王国に戦争を仕掛けました」
「…………おう」
「それと商工ギルドの飛空場を商業ギルドに襲われた為、私達リアースレイ精霊王国はこの国から撤退する事になりました」
「「「はあっ!?」」」
「既に巫女のオリビア様を初め王都の同胞達は飛空艇にて脱出しています」
「「「はあっ!!?」」」
ようやく帰還、次話から地上で何があったのか。
アデール王国内の幕間が4話。フォシュレーグ王国、ビアンカの実家レンリート伯爵領を中心とした幕間を4話入れて本編に戻ります。
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