拾った剣が精神汚染して来るんだけど!?⇔拾われた剣、主に振り回される!?

ゆうきゅうにいと

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第5章 くたくた迷宮探索の敵は移動とご飯?

第029話 幕間 レンリート伯爵の受難、戦争

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「不味い! ビアンカを連れ戻さないと!」
「お待ち下さい。何の為にアイリスちゃんを付けたと思ってるんですか」
 アデール王国が我が国フォシュレーグ王国に侵略して来た。何故かウチのレンリート伯爵領には来ないで我が領北部のマルトワ伯爵領と南部ラーダンス子爵領が攻められている。
 ウチに来てないのは幸いだがビアンカが心配だ。だが焦る俺にシャルロッテが止めに入る。
「アイリス? 何言ってんだ。アレは戦えないのだろ?」
「……ふぅ、アイリスちゃんに戦わす訳ないじゃないですか」
 いや、その冷たい目止めてくれない? アイリスをアデール王国にやったのは聖女扱いした教会から逃れる為だったろ?
「アイリスの為、……だろ?」
「その為だけで事実上敵国のアデール王国に行かせる訳ないじゃないですか」
 その心底呆れたって顔も止めてくれないかな。て言うかもう答え教えてくれよ、ビアンカの事があるんだから焦れるわ!

「リアースレイ精霊王国はアイリスちゃんを重要人物として見ているんですよ? そのアイリスちゃんと、その主となっているビアンカお嬢様達もまた、リアースレイ精霊王国は守ってくれるでしょう」
 リアースレイ精霊王国か、確かに奴等の力は侮れん。アデール王国内でも強い影響力を持ってる様だしな。
「イヤちょっと待て。そんな事まで考えてアイリスを連れて行かせたのか!?」
「それだけじゃありませんよ。アデール王国の隆盛を考えたら一刻も早く此方もリアースレイ精霊王国との強い繋がりが必要でしょう。アイリスちゃんにはその橋渡しになって貰う様にアデール王国の精霊神社や商工ギルドに手紙を出しましたから」
 そんなの当たり前でしょ? みたいな仕草をされても俺聞いてないんだけど? そのくらい察しろって事? 無理無理、言わなくても分かるよね? って顔すんなよ。
 ……俺、シャルロッテに見限られないよね?

「しかし何で俺の領地には来なかったんだ?」
「レンリート伯爵領の領軍は精強にして防備は万全、3年前からそう言う噂をアデール王国内で流していますから」
「何? 聞いて無いぞ!? て言うかどうやって??」
「言ったら油断して軍備増強を渋ったでしょう? 後送り込んだ間者にやらせたに決まってるじゃないですか」
 うぐ、……確かにそんな噂がアデール王国で流れてると思ったらここまでの軍備の増強はしてないかも。
「て言うか間者って何? 俺知らないんだけど??」
「傭兵ギルドで育てて送り込んでいたんですよ」
「俺に内緒で?」
「……はぁ、本来なら貴方がやるべき事なんですけどね。私より上手く出来ます?」
「…………いえ(もう黙るしかねえよ!)」

「えーっと、それで俺はどう動けば良いんだ? ビアンカ達の回収に人を出すんじゃないのか?」
「向こうの傭兵ギルドを動かしました。現地の人達に任せましょう。私達がすべき事は戦争に対する対処です」
「それで大丈夫なのか?」
「知らない土地、それも敵地で満足に動かせる人がいるんですか?」
「兵を出すしかないんじゃないか?」
「はぁ、……ビアンカお嬢様は王都にいるんですよ? そこまで辿り着くのにどれだけ出兵させるつもりですか」
「うぐ、しかしそれじゃどうすれば……」
「さっさと戦争を片付けましょうね?」
 ……その見下す様な視線止めて貰えないかな?


 フォシュレーグ王国レンリート伯爵領隣り、アデール王国のブラン侯爵領アンガスの町にフォシュレーグ王国の兵が砦を超えて攻め込んで来た。
「町長! 国界の砦の兵士からの報告によると敵は5千を超えるとか、此方の兵はかき集めても千に届くかどうかです! とても敵いませんよ!?」
「何故だ! 我がアデール王国は今まさにフォシュレーグ王国に侵攻してると言うのに、何故この町は逆に攻められなければならんのだ!!」
 アレはレンリート伯爵領の領軍だろう。レンリート伯爵領の領軍は守りが固く兵も精強と聞く。砦を強化していて高い防衛力を誇っているのだから向こうから攻めて来るとは思わなかったのに、完全に計算外だ!
 しかし憤慨していても仕方ない。ラーダンス子爵領に攻め入っている軍と王都には知らせを出したが間に合う筈もない。どうすれば良いのか。
 クソ、こんな事間違っている。高貴な身分の私が何故こんな目に遭あわねばならんのだ。そうだ、兵に玉砕覚悟で戦わせてその間に逃げるか?
 私が生きている事こそが重要なのだ。民もその為の犠牲になるのなら光栄だろう。――よし、そうしよう。

 ……計画は失敗した。此方の兵共が包囲されたらあっさり降伏しやがったのだ。余りの不甲斐なさに怒鳴りつけてやったらお前がやってみろと言われフォシュレーグ王国の兵士達の前に突き出されてしまった。
 何という事だ! コイツら許さんぞ!! いずれ必ず国家反逆罪で一族郎党処刑してやるからな!?
「町長が玉砕を選んだのは潔いが兵の教育がなってなかった様だな」
「いえ大隊長、あの町長は兵を囮にして混乱させた隙に逃げようとしていた様です。屋敷を抑えたところ家の人間が逃げる準備をしていました」
「何っ!? 兵を囮に自分だけ逃げようとしていたのか!?」
「はっ! 町長の家の者が金目の物を持ち出す所を抑え、証言も得ました」
「~~屑がっ!!」
「大隊長、今はすべき事を優先して下さい! 我が国は今も侵略を受けているのですよ!!」
「むっ、そうであったな。よし、当初の予定通り町の兵士は武器防具を回収して町から出せ! 身内を連れて行きたいと言う者達は望み通りにさせよ! もう一生会えないと匂わせてなるべく多く町から出て貰うんだ。……穏便にな」
「「「はっ!」」」
「此方から持ち込んだ兵站と、町から出る兵士と家族の消費が減った分で食料に大分余裕が出来ますね」
「うむ、だが我々は最低限の兵士を残して次の町に向かわねばならん。明日の朝には出立するぞ」
「はい!」
 こうしてレンリート伯爵領領軍は次々と町や村を侵略して行き、兵士やその家族を追い出して行った。


 アデール王国が侵略して来てるのに兵を率いて動かす事も出来ないなんて……。シャルロッテのヤツめ、俺をストレスで潰す気か?
「しかし思い切った事をさせるなシャルロッテ。領内の衛兵まで駆り出すとは思わなかったぞ」
「兵士が足りないのですから仕方が無いじゃありませんか。それに最低限は残してありますよ?」
「だが傭兵を雇って衛兵の代わりに街町の治安維持に回すなんて……」
 前代未聞だぞ。後で周りの貴族共から何て言われるか分からん。考えるだけで胃が痛くなる。
「今のところ大きな問題は起きていませんよ。そんな事よりも他領の戦争の状況ですがラーダンス子爵領側は敵軍に動きがあったようですね」
「ああ、えーっと、この地点。領界の砦に残した俺の領兵と町で挟撃させるんで良いんだな?」
「ええ、ラーダンス子爵側も焚き付けたので其処でならウチの砦側と奪った町側、それにラーダンス子爵領側からの3方向から敵を攻めたてられます」
「……ラーダンスには何を言ったんだ?」
「ふふっ、大した事は。ただラーダンス子爵にはこのままですと此方が手柄を独り占めになると匂わせただけですわ」
 だからその冷たい笑顔を止めてくれ! 恐ろしい、3年前に軍備増強をさせられてから此処まで、全てシャルロッテの掌で転がされてるんじゃないか!?
 
「ラーダンス子爵側は良いとして、マルトア伯爵領に侵略してるアデール王国軍はどうするのだ」
「子爵の方は釣れたので其れを潰せば充分では?」
「……確かに戦果だけならそうなのだが、な?」
 マルトアの奴には色々ムカついているけど、だからと言ってアデール王国の侵略を受け入れる訳にはいかんだろ。
「大丈夫ですよ。ラーダンス子爵領側のアデール王国軍を片付けたらこれまで通りアデール王国の領地を削って行きましょう。その内マルトア伯爵領側のアデール王国軍もそれどころじゃ無くなりますから」
「何をしたんだ?」
「何もしてませんよ。……ただ今まで軍を3つに分けて幾つかの町と1つの街を抑えました。そこにいた兵はその家族と共に追い出しましたから彼等が逃げ込んだ先ではその予想外の食料の消費に苦労しているでしょう。軍の兵站に影響が出るくらいには」
 確かに、兵だけじゃなく家族までとなると既に万は超える避難民が出てる筈だな。リアースレイ精霊王国を敵に回したと言う情報も(シャルロッテから)聞いている。となれば商工ギルドの支援は受けられないだろう。
 商業ギルドもそれなりに準備はしていただろうがこの事態は想定外の筈だ。何よりシャルロッテなら敵の備蓄量もある程度把握していても不思議じゃない。
 クソ、ウチの領は勝っているってのに何で背中から嫌な汗をかかないとイケないんだよ。シャルロッテとは絶対に揉めたくないな。何とか爵位を受けて正式に俺の配下になってもらわないと。

 その後ラーダンス子爵領を攻めていたアデール王国軍は此方(シャルロッテ)の予定通り動いて我等に殲滅された。マルトア伯爵領側もアデール王国は兵の増援を出せなくなり、暫くして戦火が落ち着いたらしい。




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