拾った剣が精神汚染して来るんだけど!?⇔拾われた剣、主に振り回される!?

ゆうきゅうにいと

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第5章 くたくた迷宮探索の敵は移動とご飯?

第030話 幕間 レンリート伯爵の受難、戦後?

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「うぐぐ、クソ、クソッ! アデール王国の奴等め、何故レンリートの所を攻めずに此方に来たんだ!!」
 マトルア伯爵は激昂していた。突如アデール王国が我がマルトア伯爵領に進攻して来たのだ。何とか領都までは来させずに済んだが領地を削られてしまっていた。
 ラーダンス子爵領も攻められたらしいがレンリートの奴と組んで盛り返してしまったらしいではないか。
「これでは儂だけ間抜けの様ではないか! クソ、クソッ、レンリートめ! ラーダンス子爵領なんて助けずに此方を助けに来るべきであろうが! そんな事も分からんから彼奴は駄目なんだ!!」
 レンリート伯爵家にアドンの迷宮の暴走で散々迷惑を掛けておいて助けに来ないと荒れるマトルア伯爵に、執事や侍女達はただ怯え頷くだけだった。

「まさかレンリートの奴、アデール王国と組んでたのでは無いだろうな?」
 だがそう思うとしっくり来る。
「奴の所を攻めなかった事も儂の領地を削ったのも、ラーダンス子爵領を救って恩を売ったのも全て奴の仕込みか!?」
 奴はアデール王国と同じくリアースレイ精霊王国などと言う怪しげな国と手を結んでいる。アデール王国派と言っても過言ではないではないか。
「そう言えば奴は我がアドン領を勝手に再開発していたな。国賊から領地を奪い返すのも一興か」
 マトルア伯爵以外の誰もが「お前が元執事長のルシオスに荒れ果てた迷宮を押し付けた所為だろう」とは思ったが苦言を呈したルシオスの様に辺境に飛ばされ家族を奴隷にされては堪らないと口を噤んでいた。
 ――因みに戦争の経緯はシャルロッテの仕込みなので、ある意味マルトワ伯爵の予想は意味当たっていたりする。


「はあっ!? マトルア伯爵がアドン元男爵領の領有権を主張し攻めて来たぁ!!?」
 レンリート伯爵領の領主グランツは兵士からの報告に思わず立ち上がって叫んでしまった。
 でも仕方ないよな? 他国との戦争が落ち着いたと思ったら自国の貴族から侵略を受けるなんてとんでもない情報が飛び込んで来たんだから!
「それで此方に被害は?」
「はっ、シャルロッテ様の指示通り即座に避難指示を出し撤退しました。人的被害はありません!」
「なら良いわ。引き続き警戒を続けて頂戴。領軍が戻り次第戦線を固めてそれ以上の進軍を抑えさせるわ」
「了解致しました! 失礼します!」
 兵士はシャルロッテに敬礼して部屋から出て行った。領主の俺に目もくれずシャルロッテに。

「ああ~、シャルさんや」
「何ですか?」
「ええーと、気付いていたのか? 今回の事」
「いえ、流石にこのタイミングは予想外でしたね。ただあそこが発展すればあの愚物が手を出して来る可能性は危惧していました。今回はその対策が上手く行っただけです」
 確かに彼奴ならなんだかんだとイチャモン付けて来そうだな。その対策をしてたって事か……、俺に黙って。
「で? これからどうするんだ?」
「この資料を読み込んでおいて下さい」
 そう言って分厚い資料を手渡された。


 それから暫く経ちフォシュレーグ王国王城の会議室に、戦争に関わった主だった者達が集められた。
「結局、マトルア伯爵領は他領の援軍によってアデール王国軍の侵攻を抑える事には成功したが街を2つ取られ領地を削られたか」
「しかし陛下、国としてはレンリート伯爵もアデール王国のブラン侯爵領の一部を削り取ったので痛み分けと言った所でしょう」
「そうですね。ラーダンス子爵領は何とか盛り返して削られずに済みましたし」
「で? マトルア伯爵、戦争が終わったとは言え何故レンリート伯爵領に攻め入ったのだ?」
 周囲の冷ややかな視線がマトルア伯爵へと向けられる。戦争が終わったと言うのにマルトアの馬鹿が俺の領地、アドンの迷宮周辺に攻め入って来やがった事は王都に着いて直ぐに報告しておいたのだ。
 ――シャルロッテの言う通りに。
 まあ住民も(シャルロッテが)避難させていたらしいから人的被害が出なかったけど、賠償責任は果たして貰わないとな。
 宰相閣下が嫌そうにマトルア伯爵を見て尋ねてたからローゼンキッシュ宰相は味方になりそうだな。会議の前にシャルロッテに宰相に手紙を渡す様に頼まれたけどその成果、……だよな。
 でも何でその中身を俺が知らされて無いの? 戦争だってぶっちゃけシャルロッテが主導してたし、俺要らなくね?

「はっ、はい陛下。あ、あの領地は元々私の領地でして……、私が配下に与えた領地をコイツが無理矢理奪ったのです! ですから私は卑怯者のレンリートから奪われたモノを返して貰っただけなのです!!」
「そうですな、それに此奴は隣りの領地が攻められていると言うのに助けもしないで敵国に攻め入った。自領を広げる事しか考えていなかったのであろう」
 ああ~、ランドリッピ公爵はマトルア側か、まあ寄り親だし分かってたけどな。
「仮にそれが真実だったとしても、レンリート伯爵領に攻め入った事が正当化される訳では無いですよ?」
「宰相、ならばマトルア伯爵が奪い返した領地はレンリートへの罰としてマルトワに返してやれば良いではないか」
「罰と言いますがレンリート伯爵はラーダンス子爵領を攻めていたアデール王国軍と戦っています。それにアデール王国内部に侵攻して混乱させもしたでしょう。その功績も忘れてはいけません」
「自国も守らずに何が功績だ!! 此奴に功績なぞ無い! 儂は断じて認めんぞ!!」
 そう言ってランドリッピ公爵は陛下を睨み付けた。公爵は陛下の叔父だから陛下も頭が上がらないんだよな。

「ふむ、そう言っているがレンリート、お前に意見はあるか?」
「無いな!?」
 嫌あるに決まってんだろ!? 陛下の言葉に答える前に被せんじゃねえよ糞公爵が!!
「はっ、恐れながら発言させて頂きます。先ず私はマトルア伯爵から無理矢理領地を奪ったりはしていません」
「嘘を付くでないわ! あそこが元々マトルアの領地だった事は分かっておるのだ! これ以上の発言は見苦しいぞ! 口を慎め!!」
「陛下の問いに答えないなど私には恐ろしくて出来ません。せめて誠心誠意答えさせて頂きます」
「ぐぅ、~~このっ!」
 はぁ、ランドリッピ糞公爵め、俺に発言すらさせないつもりだったな。陛下の名を出せば止められないだろ? マトルアの奴も真っ赤になって睨み付けて来ちゃって、良い気味だ。
 まあこの問答もシャルロッテの対策通りなんだけどな。公爵や陛下よりアイツの方がよっぽど恐ろしいわ!!

 その後マルトア伯爵がアドンの迷宮を放置して度々レンリート伯爵領に被害を出していた事、補償もせず領地を切り離し部下に押し付けた事、俺が多額の資金を投入して再開発された事で利益が認められそうで奪い返そうとした事などを話していった。
 それだけじゃなく俺がアデール王国を侵略したのは敵国に侵攻中に逆に侵攻されているなんて情報が入れば混乱させる事が出来ると考えた事と、敵の備蓄を消費させて兵の増援を断つ事を狙った作戦だと言う事を説明した。
 勿論証拠も合わせて出してある、全てシャルロッテが用意した物だけど。
「ふむ、確かにこの資料通りなら効果があった様ですな」
「宰相! そのような資料信用出来んぞ!」
「それはこれから調べれば良いでしょう。それよりも先ずマトルア伯爵の事です。実はアドン元男爵領に関しては私も陛下も把握しておりましたから、マトルア伯爵の言い分が出鱈目なのは分かっていたのですよ」
「「なっ!」」
「うむ、確かアレはお前がレンリートの所への編入を許可したのだったな」
「はい陛下、レンリート伯爵の先程の発言が間違いない事を調べて許可致しました」
「ランドリッピ公爵、まだ何か言う事はあるか?」
「ぐぐっ、この馬鹿者がっ!!」
 ボカッ!「ヒイッ! いだぁっ!?」
 ああ~、やっと諦めたか糞公爵。マトルアの馬鹿に当たってるよ。




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