上 下
56 / 130
竜王国

123.竜の巣③

しおりを挟む





「お手柄だな、ルン!」
 ルンはブルリと震えると俺の炎熱のローブのフードに戻ってきた。
 寒いのか? ルン。

 アイスドラゴンのドロップアイテムは魔石と牙だった。
 牙も素材にすれば短剣くらいは作れそうだ。

 宝箱に鑑定を通す。

 ~~~~~
 階層ボスの報酬
 罠・石化
 ~~~~~

「石化の罠だ。頼む、ミーシャ」

「うむ。任せろ」

 頼もしい言葉と共にミーシャが罠を解除していく。
 カシャカシャ……カチャリ

「うむ。これで大丈夫だ」

 宝箱を開ける。

 ~~~~~
 ドラゴンショートソード
 竜特効
 ~~~~~

 ~~~~~
 ドラゴンローブ
 炎熱耐性
 ~~~~~

 ~~~~~
 ドラゴンリング
 体力・魔力がアップする腕輪
 ~~~~~

 ~~~~~
 火精霊の腕輪
 火の魔力アップ、火精霊と交信できる
 ~~~~~

 その他、ポーション類。

「なかなか良いのが出たな」

 俺がまじまじと宝箱の中身を見ながら言う。

「うむ。ミーシャは剣が少し欲しいかもしれん」

「ミーシャは剣か。俺は今回もいいかなぁ」

「ぬ。それなら妾は火精霊の腕輪かのう? 新しい精霊と仲良くなれるかもなのじゃ」

 確かにゼフィちゃんは既に水精霊を従えているからな。
 うってつけかも知れん。

「マスター、ワタシも大丈夫です」

「あなた様、私も得には……」

 みんな遠慮しいだな。
 ティファなんかはメイド服にこだわりがあるみたいだけどさ。

「じゃあ、留守番組のお土産ってことで」

 俺が残りのローブと腕輪を預かる。

 俺たちは一旦、二十階層へと戻り、夜を明かすことにした。
 四十階層は寒くて敵わん。


 翌日。
 ティファが転移石に触れる。

「マスター。次は五十九階層です」

 皆でティファに触れ、転移する。

 五十九階層はこれまた洞窟のようだが、ところどころ壁から蒸気のようなものが吹き出している。

 道なりに進むとロックバジリスクというモンスターとエンカウントした。
 こいつは石化の魔眼を持っているので注意が必要だ。
 アインとドライには通用しないけどね。
 元々石だから。

「ワギャアオオオオオオオオオオオオオオン!」

 接敵からの威嚇の咆哮だ。
 竜種の咆哮には魔力が乗っている場合もあり、その場合はまともに食らうと硬直してしまうらしい。
 うちはアインとドライが前で受けてくれるから平気だけどさ。

 ズドオオン!
 ドライの鉄拳がロックバジリスクに刺さる。

 おりゃ。
 カッ! ズドォォン!
 俺の雷魔術が着弾!

「ワギャッ!?」

 お。効いたか?

「ふっ」

 ヒュガッ ヒュガッ ヒュガッ ヒュガッ
 ロックバジリスクの四つの目にアルカの魔力矢が入った!
 これで石化の心配は無くなったな!

「シッ」

 ザンッ ザクッ!
 空歩でロックバジリスクの頭上からミーシャが攻撃!
 ロックバジリスクの延髄に入った様だ。

 ロックバジリスクはザアっとドロップアイテムに変わった。
 魔石と爪を落とした。
 この爪は毒があるらしい。
 錬金術で使うか、武器にするかどっちかだな。

 魔力探査を皆で広げて敵の少ない場所を選んで進む。
 モンスターと何回か戦闘になった。
 少し遠回りになったが、結局はこっちの方が早いだろう。
 下に降りる階段を見つけたので降りていく。


 六十階層。
 階段を降りると少し開けた場所があり、バカでかい扉が見える。
 この中がボス部屋ということだろう。
 このバカでかい扉にはデカデカと竜が彫られている。
 こういうドラゴンが中にいるのかな?

 その手前の開けた場所で各自装備の確認等をする。

「皆、準備は良さそうか?」

 俺が皆を見回しながら言う。

「うむ。問題ない」
「異常なしです、マスター」
「あなた様、行けます」
「準備万端なのじゃ」
「ウォフッ!」

 ルンも俺の頭の上でミョンミョンしている。
 では、行くか!
 バカでかい扉を皆で開けると中には巨大なドラゴンがうずくまっていた。

 ~~~~~
 アースドラゴン
 竜種。とても強い
 ~~~~~

 なんだよ!? とても強いって。
 いくら簡易が頭につくからってめ過ぎだぞ鑑定さん!

 中はだだっ広く天井もそれなりに高い。
 アースドラゴンはパチリと目を開けると、爬虫類独特の瞳孔が俺たちを捉える。

「グロロロロロロロロロロロロロロ……」

 まるで地響きのような唸り声だ。

 ズンッ……
 起き上がると威容が凄い!
 羽根はないが、これぞドラゴンとでも言うようなたたずまいだ。

「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!」
 アースドラゴンが咆哮を上げる!
 ビリビリと鼓膜に響く!

 すると魔法陣のようなものが五つ、アースドラゴンの周りに現れた。

 ブオン ブオン ブオン ブオン ブオン
 鈍い音とともに魔法陣が展開されていく。

 ズンッ ズンッ ズンッ ズンッ ズンッ
 五匹の竜が召喚された!
 召喚魔法なんてあるのかよ!?
 俺はすかさず鑑定を通す。

 ~~~~~
 グランドドラゴン
 竜種。強い。
 ~~~~~

 強いんだって! 見りゃ分かる! もそっと弱点とか教えてプリーズ!
 この鑑定たまにポンコツなんだよな!

 アースドラゴンは、“まずはお前たちの力量を見せてみろ”と言わんばかりにその場に伏せた。

 いっぺんに相手しなくて良いってのは助かるが随分と余裕そうだな、おい。
 俺たちは五匹のグランドドラゴンと相対するのだった。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

チートな親から生まれたのは「規格外」でした

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:1,478pt お気に入り:517

月が導く異世界道中

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:51,262pt お気に入り:53,716

乙女ゲーム関連 短編集

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:1,462pt お気に入り:156

服を脱いで妹に食べられにいく兄

恋愛 / 完結 24h.ポイント:795pt お気に入り:19

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。