キングオブカンフーン

壱(いち)

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しまった……、とはこういう時に使うんだろうか。

『いけません!マクシム様!!ここへは誰も立ち入れるなと陛下に言われて……!!』
『騒ぐな』

先程から起きるタイミングを見計らっていいれば、悪代官みたいな偉い奴が来たお陰で瞼を開けられないでいた。
どうすっかなー……、コイツが立ち去るまで待つべきか。
未だ続く言い争い、悪代官は素知らぬ様子だが続いていて正直、子供のように苛ついた。

『そこを退け』
『成りません!マクシム様!!』

微かに動く足の音。耳を澄ませば二人のもののみだと分かった。
言っていることは自己中極まりないが、気配からどうやら結構出来る奴らしい。

『おい』

徐々に眠る寝台まで近付いていたのか、声は俺の側で放たれた。

『起きてるんだろう』
『何を言って……彼はまだ』
「なんだ、バレてたんだ」
「へ?」


ごそりと布団らしきものから起き上がると、今まで彼を止めていた人物は背を俺に向けたまま驚いた声を出した。

「分からないのはコイツくらいだ」
「そ、そんな?!」

位置的に寝台の左側横にいる二人を起きた俺はまじまじと見てしまった。
いや、普通にして可笑しいだろ。
西洋の甲冑を軽装にし、肩から背へブルーのマントなんかしたのが一人と長袖のTシャツらしきものの上に胸元を編み上げたベストを着て、巻きスカートに下は膝上ほどのスパッツにロングブーツを履いた少年がいた。
映画か舞台衣装?騎士と従者のような出で立ちだ。

良く見れば騎士の方は、やたらと目鼻立ちの整ったパーツにシャープな輪郭。
髪は天然の蜂蜜色で瞳は澄み渡った晴れた空に良く似た青で……これが俗に言う白馬の王子さま?と首を傾げたくなる。
従者らしき少年は艶やかな栗色の髪に幼さの残った輪郭をし、茶系の明るい瞳。
目は大きめで鼻はすっと通り、ふっくらした唇。
アヌビスってこんな感じか。
それにしても、なんだこのスイートルームは。俺のいるベッドなんかキングサイズの天蓋付き。

テレビ番組でしか見たことないぞ。内心、動揺を隠せない俺をどう思ったのか、近付いた騎士の格好をした奴にいきなり剣で切りつけられた。

「マ、マクシム様!!」

慌てる少年を余所に俺はとっさに動き、近くにあった枕を囮に投げつける。呆気なく切り捨てられ、それに構わず次に布団らしきものを無礼な男に向かってめくり上げた。
形振り構っている余裕はない。相手は武器を持ち、こっちは武器を持ち合わせてない。

「お止め下さい殿下!」

大した効力もない制止の声。少年には悪いが、背に腹は代えられない。

「すまん、その短剣借りるぞ」
「え?!」

暴れる奴をなんとか布団にくるみ、踏みつけてベッドから降りた俺は制止する美少年から脇に持つ短剣を取り振り返ると。

「貴様!!」

踏みつけられたのがどうやら、頗(すこぶ)るほど感に障ったようでご立腹だ。先程確認した剣の切れあじと殺気にワクワクとした高揚が胸を占める。
ここがどこで、コイツ等が誰か知らないが。

「人に対して無闇やたらに剣を向けろって誰に習った」
「それを聞いてなんになる」
「お止め下さい殿下!!」
「お前は黙ってろ」

険しい顔は、妙に胡散臭い笑みをして俺に向かってきた。

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