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青天の霹靂
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しおりを挟む『貴方の父親は』
指定暴力団の総長です。
オーナーのいる応接室で対面し、単刀直入に切り出された内容は予想もしていなかったもの。
重厚のデスクにいたオーナーはそれを聞き何を思ったのかは分からないが、内容を察してか暫く部屋から退室してくれた。
要は、俺の親父って極道の親分さんだったわけね。
母さん極妻だったんだ……似合いすぎて怖い。思わず着物を着て強面の男たちに啖呵切ってるのを想像してしまう。
映画の極道シリーズが好きなのはそのせいなのか。
「なんだかなー……」
現実味がない。フィクションのものに思えて。
「夢だったらいいのに」
「皿洗いがか?」
うわっほい!
「さ、佐藤さん」
「悪いがゴミ捨て頼む。皿洗いは後でいいから」
「はい」
どんぐり目で驚いた俺に笑いを堪えつつ言った厨房の責任者、佐藤さんに軽く肩を叩かれて指示を受ける。
厨房にいるのが勿体ないほどの男前で悪戯が大好きなこの人は、偶に膝かっくんを仕掛けてくるお茶目さん。
「なんだ、やけに今日は暗いな」
「そういう佐藤さんは楽しそーですね」
ぐっ、すっげ重いよゴミ!
「おお、実は宝くじが当たっててな」
「マジで?!」
そりゃ嬉しい。
「いや、組違いだったっていう」
「ジャンボですか?」
4つのポリバケツにあるゴミ袋を結びながら聞く。
「百円くじ」
え。ポリバケツからゴミ袋を引っこ抜いていたのに、中へと滑って戻る。
折角ポリバケツから抜け出せたのに。
「それでも五万はあったから驚いた」
「……佐藤さん」
ホントに買ってたんだ、百円くじ。冗談かと思った。
「お、おめでとうございます」
へらっと笑ってしどろもどろに言うと頭をわしゃわしゃ乱暴に撫でられる。
そこへ佐藤さんを呼ぶ声が厨房の前方から響く。
「なにへこんでんのか知らんが、優しい俺が帰りに食事を奢ってやろう」
わーい!ここに働きだして初めてのお誘い。
出来れば洋和混合料理以外がいいよ。
「よっこらせ」
去っていった佐藤さんを見送った後、ゴミ袋を片手一個ずつ持って裏口から出た左側のダストへ入れる。
店から出て捨てに行かなくてもダストに入れれば一階のゴミ捨て場に到着するっいう、なんて便利なんだ。うちのマンションにも欲しいぞ。
「さてと」
まだゴミあるんだよね。フルーツの皮が盛り沢山に捨てられたゴミ袋は以外に重く、初めて捨てに行く時は小さい台車を使わせて貰った。
今は大分慣れて運べるようになったものの、四ついっぺんに持って行くのは流石に無理で台車を使う。まあ、忙しいとき以外はあまり使わないけど。
軽々目の前で片手二つずつ持って行く従業員がいたことには驚いた。
どんだけひ弱なんだ。
あんまり無理するとゴミ袋が破れるので、無理しないで状況を見て運べよと先輩従業員に言って貰った時は筋トレしようと心に誓った時、見事にその言葉で打ち砕かれた。
優しくされて筋トレどうでも良くなったな。
「ふう……っ」
ゴミ捨ても終わって厨房に戻るとマネージャーの高橋さんに手招きされながら呼ばれる。
今日は厄日ですか?
なんでこう店の偉い人に呼び出しくらうかな。もう面倒くさいから全部アイツのせいにしてやる。
ひょこひょこ近寄れば俺の訝しげな顔に苦笑を交えて高橋さんが言ったのは、衝撃的な事だった。
「今から個室に入ってくれ」
約十秒は沈黙して言われたことに応えられなかった。
「ご指名だ、ヨウ」
その言葉に、厨房にいた従業員は騒然とし驚きを隠せなかった。
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